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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
セリオンの章
53/59

セリオン――幽霊船

シベルスクスは甲板かんぱんの上で、風に当たっていた。

心地よい潮風だった。

空は快晴でいい天気だった。

しかし、シベルスクスの視線の先には黒い雲が立ち込めていた。

じきに嵐が来そうだ。

シベルスクスは嵐の備えようとしたとき――

「あら? あなたからは清らかな光の波長を感じるわね?」

「誰だ?」

シベルスクスは後ろを振り返った。

だが、人の姿は見当たらない。

「? どこにいるんだ?」

「上よ、上! もっと上!」

シベルスクスは視線を上に上げた。

「なんだ?」

シベルスクスは光の球のようなものを見た。

「これは……」

光の球はその中から小さな少女を出した。

「初めまして。私は妖精のルキア(Lukia)あなたは?」

「俺か? 俺の名はシベルスクスだ。妖精か……初めて見るな」

「ふーん、そうなの。ねえ、あなたも旅をしているの?」

「ああ、そうだ」

「じゃあ、それなりに強い?」

「ポリナイケス島では二番目に強かった」

「それってどれくらい?」

「島で一番強かったのが、俺の師匠だったんだ」

「ふーん、そう。でも確かにあなたからは強いオーラを感じるわね。そろそろ嵐が来るわ。それと同時に恐るべき魔の存在もまたやってくる」

「魔の存在?」

ルキアはあえてそう言ったようだった。

「そう、『幽霊船』よ」

「幽霊船って、おとぎ話に出てくる?」

「それとは違うわよ。本物の幽霊たちが操っている船よ。見て! あそこに幽霊船が見えるわ!」

シベルスクスは手すりにつかまって、黒雲の遠くを見た。

「あれは……」

シベルスクスの目に蛇をかたどったレリーフがついている船を見つけた。

「きっと今に、こちらの船に、あの船が干渉してくるわ。あっ! もう来てる!」

ルキアが驚いた。

「いったい、どういうことだ!?」

「おいおい、シャレになねえよ!?」

「船が動かなくなっちまった!?」

「帆は!? かいは!? 風は!?」

シベルスクスは船乗りたちの声を聞いた。

船長たちはもう終わりだと絶望する。

「おい! このままだとまずいんじゃないのか? あの船はどんどん嵐と共に近づいてくるぞ?」

海が荒れ始めた。

波が高くなる。

黒雲はかなり早くシベルスクスの上空に到達し、雨を降らせた。

「……ねえ、あなたに勇気はある?」

「勇気?」

「つまり、あの船に乗り込む勇気があなたにはある?」

「あの船のせいで、この船の動きが阻害されているのか……俺は神剣グランツァイドを持っている! ああ、あの船に行けるなら行くさ!」

「それならO.K.ね! じゃあ行くわよ! 私と共にあの船に行ってほしいの。それじゃあ、行くわよ!」

ルキアが光の粒子を振りかけた。

なんとその瞬間に、シベルスクスは幽霊船の甲板にいた。

「すごいな! もう幽霊船の上にいるのか?」

「さあ、幽霊船の中を探索しましょう!」

「ああ、そうだな」

シベルスクスはルキアに続いて船の中へと入っていった。

船の中は意外なことにきれいだった。

家具、調度品がきちんと置かれている。

「こんなところに、本当に幽霊なんて……!?」

シベルスクスは周囲の気配を感じ取った。

敵意を露骨に向けているものがいる。

しかも、その敵意はじわりじわりと近づいてくるようだった。

シベルスクスはグランツァイドを出した。

シベルスクスが十字路に差し掛かった時、「敵」が襲いかかってきた。

「グールか!?」

シベルスクスはグールの群れに出くわした。

青白い肌に、鋭い牙と爪を、グールは持っていた。

シベルスクスはグランツァイドの神聖なる力を発動させた。

グールたちは怖気ずき、後ずさった。

シベルスクスはグールの群れに斬りこんだ。

たちまちグールが浄化され消えていく。

神聖な剣はアンデッドには無類の強さを発揮した。

「さすがね! やるじゃない!」

ルキアが称賛の言葉を口にした。

「もっと奥に進もう。そこに不浄な気配を感じる」

シベルスクスは階段を下に降りた。

そしてある一室の前で立ち止まった。

「ここだ。不浄な気配はこの部屋から感じる」

シベルスクスが立ち止まったのは船長室だった。

「ここに幽霊の親玉がいるのね。入りましょう!」

シベルスクスとルキアは船長室に入った。

そこには青い服を着ていた人物がいた。

「おまえが幽霊船のあるじか?」

「カカカ……その通りダ。我がこの船のあるじよ」

青い服の人物が振り返った。

「ひっ!?」

ルキアが声を出した。

その人物はガイコツの顔をしており、全身が骨だった。

「クカカカカカ! 我が姿を見て驚いたカ? 我はヴァイス・ゲシュペンスト(Weißgespenst)なり。グールどもに八つ裂きにされた方が幸せだったかもしれんな。よかろう。我が相手をしてやろうではないカ!」

ヴァイス・ゲシュペンストは長い杖を持っていた。

その杖の先に魔力が集まる。

氷が形成された。

ヴァイス・ゲシュペンストは氷を結晶状にして杖先から撃ち出してきた。

「甘い!」

シベルスクスは神剣グランツァイドで氷の結晶を叩き返した。

氷の結晶が窓をぶち破って外に出た。

「フハハハハハハ! 無駄なことよ! 我が魔力の真髄をとくと見せてやろウ!」

ヴァイス・ゲシュペンストは杖先から三つの氷の結晶を出した。

三つの氷の結晶はシベルスクスに飛んでいく。

シベルスクスはタイミングを見計らってから氷の結晶を三つとも神剣で斬り払った。

「カーカカカカカ! やりおるわイ。なら、これはどうジャ? 氷結槍!」

氷の槍が形成された。

氷の槍はシベルスクスの胴へと向かった。

シベルスクスはそれを神剣で砕いた。

シベルスクスはそのままヴァイス・ゲシュペンストに斬りつけた。

シベルスクスの斬撃はヴァイス・ゲシュペンストの半身を斬り裂いた。

「グギャアアアアア!? よくも! よくもやってくれたな! 氷結降弾!」

氷の結晶がシベルスクスの上から降り注ぐ。

シベルスクスは神剣を上に上げた。

光を伴う剣が天井まで上がった。

シベルスクスはそのままヴァイス・ゲシュペンストを一刀両断にした。

「グギャッ!?」

それがヴァイス・ゲシュペンストの最期だった。

「やったあ! ボスが倒されたのね!」

ルキアが喜んだ。

そのとたんに幽霊船が大きな揺れに見舞われた。

「!? どうした!?」

「ボスが倒されたため、この船が消えようとしているんだわ! いけない! 早く脱出しましょう! 甲板に急いで!」

「ちっ!」

シベルスクスは急いで甲板に戻った。

そしてルキアの術で元の船に戻った。

幽霊船が消えたことで、船の自由も効くようになった。

シベルスクスは船員たちから感謝された。

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