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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
セリオンの章
49/59

セリオン――ベヘモト

時は現在、ヴァナディース。

場所は大聖堂付属の庭にて。

セリオンは小さなスコップを持って花を植えていた。

「セリオン、そっちからきれいに並べてね」

セリオンの母ディオドラがセリオンを諭すように言う。

ディオドラは今36歳。孫がいるとは思えない年齢だ。

「ああ、わかっている。シエルとノエルも、まっすぐになるように花を並べるんだぞ?」

「うん、わかってる、お兄ちゃん」

「任せて! 土いじりは久しぶりだけどこんなの簡単だよ」

シエル、ノエルが言う。

セリオンたちは庭で花を植えている最中だった。

植えている花はパンジーだ。

庭にはブルーダーやシュヴェスターが花を植えることがある。

それらの花はアイリスやグラジオラスなどであった。

色とりどりの花が植えられている。

セリオンは穴を掘ってパンジーに土をかぶせた。

セリオンにとってこうしたことは憩いの営みだった。

「それにしても母さんはさすがだな。手慣れているというか……」

セリオンがディオドラの方を見ながら言った。

「フフフ、それはね。テンペルに来る前から園芸をやっていたからよ」

ディオドラがほほえんだ。

そこに一人の影ができた。

「おまえたち、楽しそうにやっているな」

影のぬしはアンシャルだった。

アンシャルはいつも白いコートを愛用している。

「あら、兄さん。兄さんも手伝ってくれるのかしら?」

アンシャルは苦笑いを浮かべて。

「ははは。園芸なんて最近私はやっていないな。だが、こうしてみんなで花を植えるのもいいものだな」

アンシャルが感慨深く話した。

アンシャルはディオドラの兄だ。セリオンにとってはおじに当たる。

しかし、セリオンはアンシャルに対して「兄」のような感情を持っていた。

「ここからはまじめな話だ。セリオンを借りるぞ?」

「なんだ、アンシャル?」

セリオンは道具を置いて、アンシャルがいる木のもとに向かった。

「セリオン、おまえに任務ができた」

「任務?」

「シュピッサウ(Spissau)で魔物が現れたそうだ。今のところ人に被害はない。農作物を荒らされているらしい。目撃情報によれば、背の高い大きな魔物だという。テンペルに討伐依頼が来た」

「わかった。すぐに出発する」

「ああ、頼んだぞ」

セリオンはディオドラのもとに行き事情を説明しようとした。

「母さん、仕事ができた。俺は行くよ」

「あら、そう……気をつけてね」

「ああ、安心してくれ」

「ああ、それとセリオン」

アンシャルが何か付け加えようとした。

「なんだ?」

「映画の製作は順調だが、けがをしないようにな。主役の交代はもうできないぞ。まだ、撮影していないシーンが残っている」

「わかっているさ!」

セリオンは振り返って答えた。

それから前に歩いて行った。

アンシャルはそんなセリオンの姿を見つめていた。

「まあ、大丈夫だとは思うがな……」



セリオンはバイクでシュピッサウまでたどり着いた。シュピッサウはのどかな村で、日が穏やかにかかっていた。

村も平和そうだ。

だが、田舎にはモンスターの被害も多い。

都市部ではめったにモンスターを見ることができないが、田舎ではモンスターが人里離れた所から現れることがある。

セリオンは村の長老からモンスターの話を聞いていた。

「そのモンスターは夜に現れるのですよ」

「夜に、ですか?」

長老は一人暮らしの家で、セリオンにお茶を出してもてなした。

セリオンは湯飲みに口をつける。

「そのモンスターは夜にやってきて、農作物を食べているようなんですじゃ」

「今のところ、人が襲われてはいないのですね?」

セリオンが確認した。

「はい、今のところは。ですが、農作物の被害も甚大なものです。わしら農民は農作物を売って生計を立てております。このままでは村は経済的に破綻してしまいます」

「そうですね、わかりました。俺がこれから夜の村を見張りましょう。ライトはありますか?」

「旧式のものでしたら」

長老は魔石をエネルギーとして動くライトをセリオンに渡した。

セリオンはそれが動くかどうか確かめた。

「今日から枕を高くして眠れますよ」

そして、その日の夜になった。

セリオンは長老の家で、仮眠を取り、夜に備えていた。

セリオンは外に出た。

もう周囲は夜の闇に覆われていた。

肌に寒さが押し寄せる。

セリオンは夜の村を巡回した。

セリオンは昼に村の位置を測っていた。

そのため迷うことなく移動できた。

セリオンはゴソゴソとした音を聞いた。

「なんだ? あっちから音が聞こえるぞ?」

セリオンは音がする現場に向かった。

そして黒い体にライトを当てた。

モンスターはライトでひるんだ。

どうやらモンスターはキャベツを食べていたようだ。

「こいつはベヘモト? いや、少し小さいな。レッサー・ベヘモトか」

セリオンは大剣を出した。

レッサー・ベヘモトは口を開いて牙を見せた。

セリオンを威嚇しているようだ。

だが、それに屈するセリオンではない。

セリオンは大剣に雷光をまとわせた。

「雷光剣」の構えだ。

「この一撃で決める! 沈め! 雷光剣!」

セリオンは必殺の一撃をベヘモトに叩きつけた。

ベヘモトが悲鳴を上げて倒れる。

ベヘモトが倒れるとズシーンという音がした。

「ふう、こいつが討伐依頼のモンスターか」

ベヘモトは青い粒子と化して消えていった。


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