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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
43/59

ノエル――ネツァク・マンティシュク

バスは古代遺跡に到着した。

調査員たちは機材を持って、遺跡の中に入っていった。

セリオンはアンジェーリカの護衛を務めることになった。

セリオンは大きな壁画の前で歩みを止めた。

「これは……いったい、何の壁画なんだ?」

「おそらく、ベルツェブルを描いた壁画でしょう」

「ベルツェブルとは何者なんだ?」

セリオンは隣のアンジェーリカに尋ねた。

「はい。千年前に出現したとされる大悪魔と呼ばれています。破壊を司ることから『破壊魔』ベルツェブルとも言われています」

「破壊の悪魔、か……」

「古代ベルツェブル教については今でも謎が多いんです。私たち調査団でもわからないことがあります。そのためこうして古代遺跡の調査にやってきたわけです。

今回の調査で古代ベルツェブル教について新しいことがわかればいいのですが……」

アンジェーリカはセリオンと共に奥へと進んだ。

一方団長のバルダッサーレは遺跡の外側にある水路の上にいた。中央の通りを通って、広く開かれた所へと入る。

「ここは広いな。いったいなんのためにこんな所があるんだろうか?」

「先生、柱の素材を調べてみましょう」

「うむ、そうだな。さっそく調べてみよう」

「おっと、おまえたちにはここで死んでもらおうか」

「誰だ!?」

バルダッサーレが後ろを振り向いた。

そこにはカマキリの姿をした人型の悪魔が立っていた。

彼は手に大きな鎌を持っていた。

「俺様はネツァク・マンティシュク(Nezak Mantischk)。私怨はないが、おまえたちにはここで死んでもらおう」

「なぜだ? 古代ベルツェブル教の真実がそんなに危険なのか?」

バルダッサーレ団長はネツァクに立ち向かうように言った。

「クックック! これ以上おまえたちが生きている必要はない。さあ、では死んでもらおうか!」

ネツァクが大鎌を上にかかげた。

大鎌が漆のように深い闇を発した。



セリオンとアンジェーリカは遺跡を奥へと入っていった。

セリオンはそれを不審に思った。

「……よく迷わず、歩くことができるな。おまえはもしかしてこの遺跡を知っているんじゃないか? いい加減に正体を現したらどうだ?」

「あら? ばれていましたの? さすがはセリオンさんですわね?」

アンジェーリカが妖艶な笑みを浮かべる。

アンジェーリカは振り返ってセリオンを見ると、メガネを投げ捨てた。

「もう少し奥に行った所で仕掛けたかったんですが……もういいでしょう。私の正体は現代のベルツェブル教団の人間ですわ。名はウラニア(Urania)。アンジェーリカはスパイとしてのコードネームでしたの」

「では地上の団員たちは……?」

「ウフフ……今ごろ、皆殺しにされているでしょうね。私たちにとって、古代ベルツェブル教の秘密が明らかになることは都合が悪いんですの」

「それで、俺をどうするつもりだ?」

「フフフ! あなたには恰好の相手を出して差し上げます。いでよ、ウロボロス(Uroboros)!」

漆黒の闇が広がった。

闇はその中から一匹の竜を出した。

その竜は丸くつながっており、口は尾をかんでいた。

セリオンはすぐさま大剣を出した。

「ウロボロス……原初に存在したとされる古代の蛇か!」

「さあ、ウロボロス! この男を殺しなさい!」

巨大な蛇が口から尾を離して咆哮する。

ウロボロスの咆哮には敵をすくませる効果があった。

しかし、セリオンにはそのプレッシャーは感じなかった。

セリオンはいく体もの竜と戦ってきた。

いくつもの竜と死闘を演じてきた。

そのセリオンにウロボロスの咆哮は通じなかった。

セリオンはウロボロスに近づくのは危険だと判断し、やや距離を取って蒼気の刃を放った。

蒼気の刃はウロボロスに命中すると、ウロボロスに傷をつけた。

ウロボロスが悲鳴を上げる。

ウロボロスは長い尾でセリオンを打ちつけてきた。

セリオンはとっさに横に跳んで回避した。

「当たるか! そんな攻撃!」

ウロボロスはギロリとセリオンをにらみつけてきた。

ウロボロスの目が妖しく光った。

セリオンは考えるより先によけていた。

ウロボロスのが目からレーザーを撃ったのだ。

「速いな……」

ウロボロスはセリオンを見つめると、レーザーの嵐を放った。

セリオンは蒼気を展開してそれを防ぐ。

ウロボロスが口に紫色の煙をたくわえた。

それは毒の息だった。

この息は吸い込んだだけで呼吸困難になるという力があった。

ウロボロスは毒の息をはいた。

セリオンは集中して膨大な蒼気を集めた。

蒼気を集めると、セリオンは毒の息に全力で蒼気を叩きつけた。

蒼気の波が毒の息を拡散させていく。

ウロボロスは口から闇の息をはいた。

これがウロボロスの切り札だった。

しかし、セリオンは光を収束すると、光の大剣でこの攻撃を無力化した。

「これで、終わりだ!」

セリオンはウロボロスに接近すると、蒼気を極限まで収束した刃でウロボロスの首を切断した。

ウロボロスは動かなくなり、活動を停止した。

そして黒い粒子と化して消えた。

「そんな!? ウロボロスがやられるなんて!?」

ウラニアが驚愕した。

「今のがおまえの切り札か? おまえにはシベリウス教会までついてきてもらおうか。そこで話を……」

すると、ウラニアの影がすうっと伸びた。

セリオンはすぐさま大剣でガードした。

影の中から緑色のカマキリのような男が大鎌で斬り上げてきた。

セリオンは距離を取る。

「今のをかわすか。さすがだな、セリオン・シベルスク?」

緑の男がそう言った。

「その鎌についている血は……?」

「クックック! そうよ! 調査員たちの血よ! 最高の殺戮だったぜえ!」

「ネツァク・マンティシュク……」

ウラニアがつぶやく。

「ウラニア様、ここはお引きください。こ奴めはこのネツァクが抹殺してご覧に入れましょう」

「わかりました。ここは任せましたよ」

そう言うと、ウラニアは走り去った。

「ネツァク……おまえが調査員たちを殺したのか?」

「クックック! その通り。この最凶の俺様がなあ! さあ、殺し合おうぜ、セリオン・シベルスク! 命のやり取りをなあ!」

ネツァクがセリオンに急接近し、大鎌を振るう。

セリオンは紙一重でそれをかわす。

「ウヒャハハハハ! やるじゃねえか! だが、そのまま俺様の攻撃を受けられると思うなよ?」

ネツァクは鎌の刃を宙から叩き落とす。

セリオンはそれを大剣で防ぐ。

ネツァクは鎌を横に持ち替えてそのまま一閃、鎌を振るう。

セリオンはすぐさま後方に跳びのいた。

ネツァクの一撃が宙をかする。

「クックック! いいねえ! 最高だぜ! 殺し合いはよ!」

ネツァクが大鎌に魔力を流し込んだ。

大鎌が黒い魔力をまとい禍々しく形成されていく。

闇黒鎌あんこくれん!」

ネツァクの攻撃がセリオンへと飛来する。

セリオンは光の力を大剣にまとわせると、光の斬撃「光波刃」を出した。

光波刃と闇黒鎌がぶつかり合いはじけ飛ぶ。

セリオンとネツァクは同時に地面を蹴った。

セリオンの大剣とネツァクの大鎌が衝突した。

「オリャアアアア!」

ネツァクがセリオンを斬り刻むように大鎌で斬りつけてくる。

セリオンはそのすべてを見切り、大剣で受け流す。

セリオンの反撃が始まる。

セリオンは光の大剣でネツァクを攻撃した。

「グオオオオオオオ!?」

とたんにネツァクが追いつめられていく。

ネツァクの額には冷や汗が浮かんでいた。

セリオンはネツァクの大鎌に強力な一撃を叩き込み、その大鎌を分断した。

「なんだと!?」

ネツァクが驚愕する。

「さあ、これでとどめだ!」

セリオンが大剣を振り下ろす。

ネツァクはニイッと顔を歪めた。

「!? それは!?」

セリオンの大剣はネツァクの黒い小鎌こがまに防がれた。

ネツァクはそれを二つ交差させていた。

セリオンは接近戦は危険と判断し、後退する。

「逃がすかよう! くらいやがれ!」

ネツァクが小鎌を投擲する。

セリオンは一本をジャンプで、もう一本をしゃがんでそれぞれ回避する。

ネツァクの腕がカマキリのような腕になった。

ネツァクはそれを分離してセリオンに発射した。

セリオンは光輝刃で受け止めた。

そしてそれを払いのける。

セリオンはネツァクの隙を認めると、光波刃をネツァクに向けて放った。

「グオ!?」

それは致命傷だった。

「クッ、くそ! 最凶の俺様がやられるとは……しかしきさまには無力だ。必ずベルツェブルは復活する。その力の前にきさまはなすすべを持たないだろう! クハハハハ! あばよ!」

ネツァクは黒い粒子と化して消滅した。

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