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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
40/59

ノエル――闇の魔道士

セリオンとノエルは観光のため、オベリスクの広場を訪れた。

ここはかつてノヴァ―ルを統一しかけたフェデリーコ(Federico)王が処刑された、歴史的場所であった。

「セリオンさん、すごいね。オベリスクって塔みたいに建っているんだね」

「そうだな」

セリオンは短く答えた。

セリオンにはノエルが嬉しがっているように見えた。

それがセリオンには嬉しかった。

セリオンには少しノエルを一人にしすぎていたと思っていたからだ。

セリオンは海に目を向けた。

今日は海も静かで、カモメが空を飛んでいた。

「きゃああああ!?」

ふと、ノエルの悲鳴が聞こえた。

セリオンとノエルのあいだに三人の魔道士がいた。

そのうちの一人がノエルを連れていた。

ノエルは魔法の玉の中に入れられていた。

「おまえたち、何者だ?」

セリオンが問いかける。

そのうちの一人が答えた。

「私はウンベルト(Umberto)。闇の魔道士だ。この娘は預かった。返してほしくば、おまえが我らを追ってくるがよい」

「くっ! ノエルをさらわせはしない!」

セリオンが前に出ようとすると、二人の魔道士が立ちはだかった。

「私はアンブロージオ(Ambrogio)」

「私はコルネーリオ(Cornelio)」

二人ローブを着ていてフードをかぶっていた。

「セリオン・シベルスクよ。まずは私たちの亜空間に招待しよう」

オベリスクの前でセリオンは亜空間に捕らわれた。

そこは夜の城だった。

「くっ! ここはどこだ? 白い城の中のようだが?」

セリオンの後ろには赤い階段があった。

「ぬう!? きさま、何者だ?」

セリオンの前に首のない白い、大きな鎧騎士が立っていた。

それはデュラハンだった。

「デュラハンか。おまえこそ何者だ?」

「わしか? わしはこの国の王フェデリーコ! わしはわしの帝国を建てる! そして皇帝となるのだ! それを阻むものはこのわしが許しはせん! きさまもわしの邪魔をするのか? ならば叩き斬ってくれるわ!」

フェデリーコは大剣を上に上げてセリオンに斬りかかってきた。

セリオンはとっさに大剣を出した。

「死ねい!」

フェデリーコが大剣をおろす。

それをセリオンは一太刀で受け止めた。

「ほう、今のを受け止めるか。だが、これはどうだ? 闇黒剣!」

フェデリーコの剣が闇に染まった。

フェデリーコは闇の大剣でセリオンを薙ぎ払う。

セリオンはこの攻撃もガードした。

セリオンの大剣は光輝いていた。

「光輝刃」――セリオンの光の大剣である。

「きさま、光の剣の使い手か! おもしろい! ならば我が闇の技を受けよ!」

フェデリーコは闇の大剣で突きつけてきた。

セリオンはそれをすらりとかわす。

それはまるで流れるような動作だった。

「くう! これすらかわすか! だが、これで終わらせてやろう! この私と剣を交えたことを、あの世で誇るのだな!」

セリオンは不吉な感じがしてその場から後退した。

そこでは空間が歪んだように見えた。

「今のはいったい!?」

「クハハハハハ! 今のは空間歪曲だ。この攻撃、どこまでかわせるかな?」

フェデリーコは再び空間歪曲を出してきた。

セリオンはあえて前に出た。

セリオンは光の大剣でフェデリーコを一薙ぎする。

「ぐうおおおおおお!?」

「終わるのはおまえのほうだ! くらえ! 光子斬!」

セリオンの大剣が光子で満ちる。

光の粒子が刃にまとい、フェデリーコを斬り裂く。

「ぐああああああ!? こんな!? こんなバカな!? わしは……わしは……このわしは!? ぐおあああああああ!?」

フェデリーコは白い粒子と化して消えていった。

「死霊の最期か」

セリオンはフェデリーコが消えるのを見守った。

「それにしても、ここはどこだ? あれが門か? とにかく、外に出てみよう!」

セリオンは白の外に出てみた。

そこは昼だった。

そしてそこはオベリスクの広場だった。

多くの人々でつめかけていた。

セリオンも人の中に入り込んだ。

セリオンは周囲の人々の声に耳を傾けた。

「いよいよ、あのフェデリーコ王も終わりか」

「まあ、あれだけ正教にたてついたんだ。処刑はまぬがれないな」

「すみません、ここでは何をしているのですか?」

セリオンが尋ねた。

「ん? あんた知らねえのか? 正教に反旗を翻した王フェデリーコの処刑が行われるんだよ。あそこを見てみな」

「あれは……」

そこにはギロチンの台につながれた男がいた。顔はよく見えなかった。

「あれがフェデリーコ? おかしい、さっきは……これは、まさか過去の映像なのか?」

人々は高いところに据えられたギロチンを見守っていた。

そして刑は執行された。

フェデリーコ王の頭が落ちた。

そしてすぐに夜になった。

夜空は満点の星々であった。

セリオンの前に闇の魔道士アンブロージオとコルネーリオが現れた。

「いったい何を見せたかったんだ? フェデリーコの処刑の場か?」

「フォッフォッフォ! なあに、ただの道楽よ」

「ハハハハハハ! どうでしたか、王の処刑の場は?」

「……あまりいい見せ物ではないな」

「さてと、きさまをここから出すわけにはいかん。きさまの存在はあのお方にとって邪魔となりうるのでな」

「安心してください。すぐにあの世に送ってあげますよ!」

セリオンは二人の前で大剣を構えた。

「あの世に行くだと? それはおまえたちのことだ!」

アンブロージオは炎の槍を放った。

セリオンはそれを一刀のもとに斬り裂く。

コルネーリオが風の刃を放つ。

セリオンはそれを大剣で斬り払った。

アンブロージオが炎をセリオンの足元から噴出させる。

炎属性中級魔法「火炎噴」である。

炎がセリオンの足元から噴出した。

セリオンはかんいっぱつ、バックステップで回避する。

コルネーリオが風の槍をセリオンに放った。

風の槍はセリオンを貫くべく一直線に迫る。

風属性魔法「風翔槍」である。

セリオンはそれを待ち構えて大剣の一薙ぎで消し去る。

セリオンの大剣――その名は神剣サンダルフォンは魔法を斬る力がある。

これは魔道士殺しともいえる武器なのだ。

アンブロージオとコルネーリオが魔法のレベルを上げてきた。

コルネーリオは竜巻を、アンブロージオは炎爆を出した。

どちらも上級魔法である。

セリオンはダッシュで炎爆をかわし、大剣で竜巻を斬り捨てた。

「くっ! やりますね……ならパワーで押し切らせてもらいますよ! 風衝!」

「フォッフォッフォ! 灼熱の砲をくらうがよい!」

アンブロージオは灼熱砲を、コルネーリオは風衝をそれぞれ出した。

二人の同時攻撃。

セリオンは蒼気を出して、飛来した二つの魔法を消し去った。

セリオンは蒼気の刃を形成すると、それを飛ばした。

二人はバリアを張ったが、蒼波刃はそれを破って二人に命中した。

二人は倒れた。

「わしらが敗れるとは……」

「な、なぜ、私たちが……」

二人は倒れて死んだ。



セリオンはオベリスクの広場に戻ってきた。

周囲は暗く雨が降っていた。

「ノエルがいない……ノエルはどこだ?」

「フハハハハハ! よく戻って来れたな、セリオン・シベルスク!」

声が上空から聞こえた。

「この声……ウンベルトか!」

「フハハハハ! ノエルと私は半円劇場にいる! ノエルを返してほしくば私のところまで来い!」

「ウンベルト! おまえとの戦いの決着をつけてやる! 行くぞ!」

セリオンは走って半円劇場に向かった。

空は雷が光ってとどろき、雨はより勢いを増していた。

半円劇場の中心にはウンベルトがいた。

そして、その隣に、闇の玉に捕らわれたノエルがいた。

「フッハッハ! よく来たな、セリオン・シベルスクよ!」

「きさま……ノエルをどうするつもりだ?」

「フハハハハ! 簡単なことよ! この娘は復活したヒュドラのためにイケニエとするのだ!」

「ヒュドラ? 魔竜ヒュドラか?」

「我々はヒュドラに仕える者! ヒュドラの復活をもくろむのはこの都の領主ミケーレだ!」

「ミケーレが? そんなこと、俺がさせると思うか?」

「フフン! ゆえにわれらはきさまを排除する必要があるのだ! 見るがいい! 闇の真髄によって変化した、我が姿を!」

ウンベルトが姿を変えた。その姿は紫の悪魔のようだった。

「イヒヒヒヒ! この姿こそこのわしの本当の姿! 恐ろしかろう! さあ、恐怖せよ! 青き狼よ!」

「フッ、それはどうかな?」

セリオンは恐れなかった。

セリオンは竜を前にして威圧されても恐れないだろう。

そんなものはセリオンには通じないからだ。

ウンベルトは闇の弾を放った。

セリオンはそれを大剣で迎撃する。

「イヒヒ! 闇の槍で突き刺されよ!」

ウンベルトは闇の槍を出した。

闇の槍はセリオンに向かって真っすぐに飛んできた。

セリオンは光の大剣を出して、迎え撃った。

「よく防ぎおるわ! なら、これはどうだ? 獄門!」

闇の門が開かれた。

門は開くと、セリオンから生命力を奪い取ろうとする。

セリオンは獄門に近づくと、それを真っ二つに斬り裂いた。

「闇力!」

闇の魔力がドーム状に展開する。

しかし、セリオンは光の大剣で闇力を無力化する。

ウンベルトの表情に陰りが現れた。

「くっ!? これも効かぬか……なら、これで終わりにしてくれる! 闇爆!」

ウンベルトは闇の爆発を引き起こした。

セリオンは後退してウンベルトと距離を取る。

「そんな攻撃などくらうものか!」

「フン! さかしい奴! 暗黒竜!」

闇の竜がウンベルトを取り巻きアギトを開けた。

闇の竜は天に向かって吠えると、セリオンめがけて一直線に飛んできた。

セリオンは闇の竜を光の大剣で受け止めた。

「くう!?」

セリオンが顔をしかめる。

「クヒヒヒヒヒ! そのまま闇の竜に呑まれるがいい!」

セリオンの大剣に光子が満ちた。

光の粒子は集まり爆ぜた。

「光子斬!」

光子の刃が闇の竜を斬り裂き、無力化していく。

「なっ、なんだと!?」

セリオンは驚愕するウンベルトに接近した。

そして光子斬でウンベルトを斬った。

「うぎゃあああああああ!?」

ウンベルトが絶叫を上げる。

「こんなバカな!? こんな……こんなことが……がはああっ!?」

ウンベルトは紫の粒子と化して消滅した。

後には玉から解放されたノエルが横たわっていた。

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