ノエル――ジェラルド2
シュラクーザに戻ると、セリオンは赤い宝石を売って換金した。
それは三百万ルーピという大金だった。
それをガブリエーラのもとまで持っていくと、ガブリエーラからは受け取れないと言われた。
セリオンははんば強引に寄付した。
そしてこのおカネは毎年少しずつ使うようにアドバイスした。
急に大口の寄付があったとなると、寄付金を削減される可能性があった。
ガブリエーラは賢いから大丈夫だと思うが……
そのほかにセリオンはガブリエーラに薬草の作り方を教えた。
そうすれば孤児院が自らおカネを稼ぐことができるからだ。
そうしてまったり日々を過ごしているとき……
「大変だよ、あんちゃん!」
「? どうした?」
「ラファエーレが、町の不良にさらわれたんだ! 不良街に連れていかれちゃったよ!」
「!? なんだと!? わかった、俺が行く! おまえたちは待っていろ」
セリオンは外に跳び出した。
そしてまっすぐ不良街に入った。
不良街は名前通り、不良たちの街である。
シュラクーザの不良たちがここに集まってくる。
この場違いな所でセリオンは目立ってしまった。
そこに不良二人がセリオンの前に現れた。
「あんたかい? あのガキを探しているのは?」
「ラファエーレのことか?」
「そうそう、そのガキのことだよ」
「今からジェラルドさんの所に連れて行ってやる。安心しろ、俺たちはあんたに手を出さねえよ」
セリオンは二人の不良の後について行った。
街の不良たちの視線がセリオンに突き刺さる。
セリオンはすたれた教会に入った。
そこには大勢の部下を引き連れたジェラルドがいた。
そばにはアンジェロもいる。
「よお、大将! よく来たな。待っていたぜ」
「んんんんんん!?」
「ラファエーレ!」
ラファエーレは縄で縛られ、口にさるぐつわをされていた。
「はっはっは! さて、よく来たな、セリオンさんよ」
「ラファエーレを返してもらおう」
「はっはっは! もちろん、返してやるぜ! 俺はな、新しい力を手に入れたんだ。この力をあんたで試したくてね、それでこのガキをさらわせたんだよ」
「ラファエーレをさらう必要があったのか? 直接俺に言えばいいだろう?」
「ははっ! あんたみたいな頭も切れる奴は理由をつけて逃げるかもしれないだろ? だからだよ。さあて、俺の力、この大勢の前で見せてやるよ」
ジェラルドは剣を手に取った。
セリオンも大剣を出した。
「さて、行くぜえ!」
ジェラルドは剣を振るった。
その剣には黒い炎がまとわれていた。
「その炎は!?」
「ははは! 邪炎――黒い炎だ!」
ジェラルドが黒炎の剣を振り回す。
ジェラルドの剣はプロフェッショナルではない。
彼の剣は洗練されていない。
たとえるなら、荒ぶる牛のような剣筋だった。
「ははは! 楽しいなあ!」
ジェラルドがセリオンに斬りつける。
セリオンはジェラルドの攻撃を大剣でガードした。
セリオンはジェラルドの剣を観察していた。
ジェラルドの邪炎剣が振るわれる。
「くっ!?」
「くらいな! 邪炎波斬!」
ジェラルドが黒い炎を飛ばしてきた。
セリオンは氷の刃を出してジェラルドの黒い炎を切断した。
「この程度は効かねえか? なら、こいつはどうだ? 邪炎波!」
ジェラルドは黒い炎の波をセリオンに向けて放った。
黒い炎は一直線にセリオンに向かう。
セリオンは燃え盛る炎の波を迎え撃った。
セリオンは蒼気の刃を形成し、蒼気の斬撃を繰り出した。
「蒼波斬!」
ジェラルドの黒い炎は霧散した。
「なんだとお!?」
「これまで、か?」
「くっ! いうじゃねえか! こいつをくらいやがれ!」
ジェラルドは黒い火炎弾をセリオンを狙って撃った。
一発、二発、三発……
セリオンは光の大剣を出し、黒い火炎弾を無力化した。
「死にやがれ!」
ジェラルドが黒い炎の斬撃を繰り出した。
セリオンは蒼波斬で迎え撃つ。
二人の剣が火花を散らした。
セリオンはジェラルドの剣を見切っていた。
セリオンはジェラルドの剣をはじき飛ばす。
「おわっ!?」
セリオンは大剣をジェラルドに突き付けた。
「くそっ! この俺が……!?」
「ラファエーレは連れていく。文句はないな?」
セリオンはラファエーレを解放すると、憎々し気にこちらをにらみつけるジェラルドの視線を無視して孤児院に帰った。




