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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
36/59

ノエル――ジェラルド

「おい、てめえ、見ない顔だな? どこからやってきた?」

セリオンとノエルに町の不良と思える男が声をかけてきた。

ほかに男を二人連れている。

「なんだ、おまえは?」

セリオンはノエルの前に立ちはだかった。

「俺はジェラルド(Geraldo)。この町のボスだ。最初の質問に答えてもらおうか? どこから来た?」

「王都ルブリアナだ」

「へえー。そうかい。ここいらのことが知らねえなら教えてやるよ。この町はジェラルド団が牛耳っているってな。仕事についている奴は俺たちに税金を払うって決まりがあるんだよ」

ジェラルドがにやりと笑った。

「税金だと?」

セリオンが身をこわばらせた。

ノエルは怖そうな顔でセリオンの陰に隠れた。

「おまえらは観光にでもきたんだろう? だったらカネを払え!」

「ふざけるな! おまえたちに支払うカネは一文たりともない!」

セリオンは大剣を出した。

「ハッハッハ! 力で押し切ろうってか! いいねえ! じゃあ俺たちも剣を抜くとするか! ありガネを置いて去るんだったら見逃すぜ?」

「逃げ帰るのはおまえたちだ」

セリオンにジェラルドが剣を突き付けた。

セリオンはそれをあっさりかわす。

ジェラルドは剣でセリオンを斬りつける。

それもセリオンはあっさりかわす。

「くそっ! よくかわしやがる!」

セリオンはジェラルドと向かい合って、ジェラルドのおおよその強さを見切っていた。

ジェラルドはこの町のボスと名乗った。

しかしセリオンは数々の強敵を倒してきた。

セリオンは青き狼だ。

セリオンは剣聖だ。

そのセリオンにとってジェラルドの剣は腕力ばかりが先走っている荒くれの剣だった。

ジェラルドが剣で薙ぎ払う。

セリオンはあっさりとかわす。

しだいにジェラルドの剣が乱暴になった。

もはや理性などなく感情のままに剣を振るう。

そんなジェラルドの剣などセリオンには通じなかった。

「くそがああああ!!」

ジェラルドが暴力的に剣を振り下ろす。

「さて、遊びはここまでだな」

「遊び、だと!?」

ジェラルドは驚愕の顔を見せた。

セリオンはジェラルドに大剣で打ちつけた。

みねうちである。

「がっ!? くそったれ!」

ジェラルドはなおもセリオンに斬りつけてくる。

セリオンはそれをたやすく受け止めた。

ジェラルドはつばぜり合いで勝とうとするがセリオンのパワーの前に逆に押しやられてしまう。

セリオンはさらにジェラルドを打撃した。

「ぐえっ!? ちくしょう……てめえ……いったい何者だ!?」

「俺はセリオン。セリオン・シベルスク。青き狼だ」

「青き狼……!? ツヴェーデンの剣聖か!」

「いい加減にあきらめろ。おまえでは俺に勝てない」

「くっ!? いいだろう。今は見逃してやる! このオトシマエは後でつけてもらうぜ! おい、行くぞ!」

ジェラルドは悪態をつきながら手下二人と共に去っていった。

「ふう……少し大人げなかったか? 大丈夫か、ノエル?」

「うん、大丈夫だよ」

「さて、バカは追い払ったことだし、宿屋で食事を取るか」

セリオンとノエルは宿屋で受付を済ませて、昼食をいっしょに取った。

部屋は別々で支払いはセリオンが済ませた。

セリオンはテンペルからの給料以外に魔物退治などをしているのでおカネは多く持っている。

収入に余裕はあるのだ。

テンペルは能力給のため、戦闘能力が高い騎士は収入も多い。

セリオンは外に一人で出かけようとした。

そこにノエルとはち合う。

「あれ? セリオンさん、出かけるの?」

「ああ、ちょっとな。ノエルはこの宿から外に出るなよ? 一人での外出は危険だ」

「うん、わかった……」

セリオンはノエルを残して外に出た。

セリオンはジェラルドのことを気にかけていた。

あの手のやからは執念深い。

あえて一人になることで。再度の襲撃を誘発するつもりだった。

セリオンは町を見て回った。

昼食のことをセリオンは思い出していた。

漁業が盛んなだけあって、昼食は魚だった。

セリオンは背後に二人の人間がついてくる気配を感じた。

「二人、か……」

おそらくジェラルドの部下だろう。

宿屋から出てきたところからつけられていた。

セリオンはあえて襲われるように港に向かった。

港で海を見ながら過ごしていると、町の不良たちが大勢集まってきた。

「来たか」

セリオンは一人で短くつぶやく。

「よお! 昼間はよくもやってくれたな」

そこにジェラルドが現れた。

セリオンは無言で大剣を出した。

「昼間はやられたが今度はそうはいかねえ! この数を見ろ! これが俺様の部下たちだ! ざっと40人はいるぜ? この数の俺たちをてめえは倒せるか……!?」

セリオンは無言で不良たちに攻撃を仕掛けた。

一撃で十人が吹き飛び、海に落ちた。

幸い、彼らは泳げるらしい。

セリオンはさらに剣を振るい、ジェラルド以外の連中を海に叩き落した。

ジェラルドは一人だけになった。

「なっ!?」

ジェラルドは呆然と立ちすくんだ。

「俺は戦争で戦ったこともある。戦場に比べれば、この程度の不良など敵ではない。

「…………」

ジェラルドが冷や汗を流した。

「これ以上続けるなら、真剣で相手をするぞ?」

「くそったれ!」

ジェラルドは部下を置き去りにして一人、逃亡した。

そこに一人の若者が現れる。

「すいません、セリオンさん。ジェラルドさんがご迷惑をおかけしました」

その若者は丁重な態度だった。

「君は?」

「ぼくはアンジェロ(Angelo)。ジェラルドさんの友人です」

「おまえみたいな丁寧な奴があいつの友人なのか?」

「まあ、いろいろとありまして。ジェラルドさんにはぼくから言っておきますので、セリオンさんは安心してください」

「おまえを信じろと言うのか?」

「まあ、信じてもらえないのも無理はないでしょうね。ジェラルドさん、根はいい人なんですよ」

「本当にあいつがいい奴かはおいておいて、俺に武器を向けるな。特に人質を取ったりしたら、俺は間違いなくジェラルドを斬り殺す」

「はい、わかりました。そう伝えておきますね。それじゃあ」

アンジェロは去っていった。

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