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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
27/59

ノエル――ブレンタ・マジェンダ

セリオンが教会に戻ると、そこにはアンジェラだけでなくスラオシャもいた。

「スラオシャ! 来ていたのか?」

「やあ、セリオン。久しぶりだね」

スラオシャが手を上げた。

「ノエルがブレンタにさらわれた」

「わかっているよ。ノエルは人質にされただけだ。その命を取られる心配はない」

「セリオン、あなたはどこにたどり着いたの?」

アンジェラが尋ねた。

「ああ、驚くべきことに、国の機関だったよ。王立錬金術アカデミア――そこがブレンタの研究所だったのだろう。例の宝石魔獣とも決着をつけてきた。もっとも、ジェルデボーゴが施設を破壊してしまったけどな」

「国の機関……なるほど……怪物の出どころは国だったわけですか。まあ、戦争用の生体兵器だったんでしょうか。アレッシア王女はこのことは?」

「ああ、知らないようだ。知ったら驚くだろうな」

「セリオン、ブレンタは何と?」

「この黒い宝石が案内してくれるそうだ。ブレンタは『闇の邪園』にいると言っていた。

セリオンは例の黒い宝石をスラオシャに見せた。

「これは……おそらく魔力を流すと起動するのだろう。これは『闇の邪園』へのパスポートというわけだ」

スラオシャが黒い宝石をセリオンに返した。

「いくのか?」

「ああ。ノエルを連れ戻しに」

「神の祝福がおまえにあるように」

「ありがとう。じゃあ、行ってくる」

「セリオン、必ず帰ってきてね」

「もちろんだ、アンジェラ」

セリオンが宝石に魔力を注ぎ込む。

宝石が黒い輝きを放った。

セリオンはその光の中に消えていった。



気づくとセリオンは青い草原の上に立っていた。

「ここが『闇の邪園』……どうやら一種の亜空間のようだな」

「その通ーりー! よくここまでたどり着いたねー! それは褒めてあげるよー!」

「おまえは?」

セリオンの前に大きなボールに乗った道化師が現れた。

「ふっふっふ! ぼくはピシュカ(Pischka)。悪魔ピシュカさ。ブレンタ様のところに行きたいようだけど、そいつはさせないよー! このぼくを倒してから行くんだねー!」

「おまえを倒せばいいのか。なるほど、シンプルでわかりやすい。いいだろう。おまえの相手になってやる」

セリオンは大剣を構えた。

「これでもくらえー!」

ピシュカが石の槍を投げつけた。

それのはかなりのスピードがあった。

「なめるな!」

セリオンは硬石槍を叩き落す。

ピシュカは両手を前に突き出して、硬石槍を連発してくる。

石の槍がセリオンを襲った。

セリオンはそれらを大剣ではじき飛ばしていく。

「なかなかやるなー! これならどうかなー?」

ピシュカの岩石弾。

岩石がセリオンに向けて飛来する。

万一くらうようなことがあれば、岩石に押しつぶされるだろう。

それらの岩石をセリオンは蒼気の刃で叩き斬った。

岩石はすべてセリオンによって斬り刻まれた。

「くらえー!」

ピシュカの土衝波。

ピシュカは土の波動をセリオンに向けて放った。

土衝波は地面を盛り返していく。

セリオンはすばやくこの攻撃の範囲を見破って横によけた。

「どくどくだー!」

ピシュカの毒弾。

ピシュカは毒の弾をセリオンに発射した。

それをセリオンは蒼気の刃で斬り裂いた。

「石をたくさん出してやるー!」

ピシュカの多弾・石弾。

初級魔法だが頭にくらったりしたら致命傷になる。

セリオンは飛来してくる石弾を膨大な蒼気で迎撃した。

ピシュカの獄門。

闇の門が開き、生命エネルギーを吸い取ろうとする。

セリオンは光の大剣で獄門自体を斬り捨てた。

「うわっ!? あぶないなー! これならどうだー!」

ピシュカは多くの毒の槍を形成した。

「毒の槍で串刺しになっちゃえー!」

ピシュカが叫ぶ。

セリオンは飛来する毒の槍を光の大剣で次々と斬り払った。

「毒紋をくらえー!」

セリオンの足元に毒の紋章が描かれた。

紋章から毒が吹き出る。

「はっ!」

セリオンは毒の紋章に光の大剣を刺して、紋章を消した。

セリオンはピシュカに光波刃を放った。

光の刃がピシュカを斬る。

「うわああああ!? 痛いー!?」

セリオンは大きくジャンプして、ピシュカに光の大剣を突き付けた。

「がああああああああ!? なっ!? まさか!? このぼくが!? そんな……!?」

ピシュカは青い粒子と化して消えていった。

セリオンは邪園の奥にある研究施設風の建物に目を向けた。

「あそこに建物があるな。あそこにブレンタがいるのか?」

セリオンはその建物に向かって歩いてみた。

しかし、ふしぎなことに、いくら近づいても建物に近づくことができなかった。

「これは幻術か?」

建物はまるで蜃気楼だった。

青い草原と白い大地がどこまでも広がっていた。

「まずいな……この幻術を破らない限り、永遠にこの邪園から出られないぞ。なら、試してみるか!」

セリオンは神剣に光の力をまとわせた。

そしてその光の刃を何もない空間に放ってみた。

すると、ガラスの割れる音がした。

「幻術は破られた、か」

気が付くと、セリオンは建物の前にいた。

鏡のような扉を開ける。

室内に入ると、レンガのフロアの中にいた。

そして三方に絵がかかっていた。

「ここはブレンタの研究所だろうか? だとしても、ブレンタはどこにいるんだ?」

セリオンは目の前にある絵のもとに行った。

そこには玉座に座るブレンタが描かれていた。

セリオンはその絵に触れてみた。

すると、セリオンは吸い込まれて別のフロアに移動した。

セリオンは格闘場のような場所にやってきた。

そこにはブレンタが立っていた。

「ブレンタ!」

「フッフッフ! よくここまで来たねえ! ほんとによく来れたものだよ。全ての事件の黒幕のあたしのところまでねえ」

「ブレンタ、俺はおまえを許さない!」

セリオンは大剣を出した。

「アッハッハ! ならどうするんだい?」

「すべてはおまえの命で支払ってもらう! 俺はお前を殺す!」

「アッハッハッハ! できるかねえ!」

ブレンタは背中についていたメイスを取った。

「それじゃあ、ぼちぼちと始めようじゃないか! 行くよ!」

ブレンタはセリオンに急接近してきた。

ブレンタは大きく振りかぶってメイスでセリオンを打撃する。

セリオンは間合いを正確に読んでブレンタの攻撃をかわした。

セリオンの斬り。

今度はブレンタがガードする。

ブレンタはセリオンの攻撃をメイスでガードした。

ブレンタはセリオンにメイスを叩きつける。

セリオンは後ろに跳んで回避した。

さらにブレンタは踏み込んで、メイスを横に薙ぎ払う。

セリオンの大剣とブレンタのメイスが交差した。

今のところ二人は様子見だった。

二人とも相手の力量を測るために、攻撃を繰り出している。

二人はいまだ身体強化すらしないで戦っていた。

「少し強く、行くよ!」

ブレンタがメイスで突きを放った。

セリオンはスライドするかのようにブレンタの攻撃をかわした。

セリオンの反撃。

セリオンはあえてブレンタにガードさせるよう斬りつけた。

ブレンタはガードする。

これもセリオンの狙い通り。

セリオンはブレンタのあしを狙って大剣を振るった。

ブレンタはバックステップでセリオンの斬りを回避する。

セリオンが追撃する。

セリオンの鋭い斬撃がブレンタを襲う。

ブレンタはメイスで防いだ。

「うっ!?」

ブレンタは自分のメイスを見た。

メイスに傷ができていた。

「やるじゃないか……このメイスに傷をつけるなんて……さて、じゃあ、少し本気を出すとしようか! あんたも様子見はやめておきな!」

ブレンタがメイスに魔力を送り込む。

「はっ! 力砕撃りきさいげき!」

ブレンタの力を加えた打撃がセリオンに叩きつけられた。

セリオンはそれをガードした。

「くっ!?」

セリオンの体に圧力が加わる。

セリオンの足場はひびが入って砕けた。

セリオンは身体強化でブレンタの攻撃を受け止めた。

生身のままではブレンタの圧力でつぶされていただろう。

「まさか、これを受け止めるなんてねえ! でも、こいつはどうだい?」

ブレンタがメイスに炎をまとわせる。

火炎棍かえんこん!」

ブレンタが炎のメイスを叩きつけた。

セリオンは氷結刃を出して、ブレンタの火炎棍を相殺する。

力の強さではセリオンのほうが上だった。

セリオンが力でブレンタのメイスを押しのける。

「ちいっ!」

ブレンタは不利と思ったのか、セリオンと距離を取った。

セリオンは大剣に蒼気を送る。

セリオンは蒼気の刃を飛ばした。

「蒼波刃」である。

「フン!、そんな攻撃など!」

ブレンタはメイスに炎をまとわせる。

ブレンタは炎の刃を蒼波刃に向けて放った。

二つの斬撃が飛ばされた。

二つの斬撃はスパークを発生させながら、爆風を引き起こした。

ブレンタは炎熱棍えんねつこん――熱量を持つメイスでセリオンを攻撃した。

セリオンはブレンタの攻撃を見切ってすばやくかわした。

「まだ、まだ、続くよ!」

ブレンタはメイスを持って、炎をまとい、くるくると回転し、上昇した。

ブレンタの技「火竜昇かりゅうしょう」である。

セリオンはそれをガードした。

さらにブレンタは落下の際、炎を下方に向けて放つ。

ブレンタの技「火竜墜かりゅうつい」である。

セリオンはこれも大剣で防いだ。

「クックック! 楽しいじゃないか! これでもくらいな! 炎撃!」

セリオンに炎が襲いかかる。

セリオンは神剣の魔法を斬る能力を発動し、炎撃を斬った。

「なっ!? 魔法を斬っただって!? なんだい、その力は!?」

ブレンタが驚愕した。

「だけどそれだけじゃあ、あたしの魔法は止められないよ!」

ブレンタは左手の上に火球を形成した。

「アッハッハ! 生徒の火球よりもっと威力も洗練さもあるよ! これをくらうがいい!」

セリオンは火球に斬りつけた。

そしてセリオンの姿は爆炎に呑まれる。

「アッハッハッハ! バカだねえ! 火球は爆発こそ、真骨頂なのさ!」

しかし、爆発の中から無傷のセリオンが現れた。

「なっ、なんだって!? 無傷!? そんなバカな!?」

「俺には氷の上位技がある。それならおまえの炎に対抗できる」

「そんなまぐれは効かないよ! くらいな! 火炎槍!」

炎の槍をブレンタはセリオンめがけて放った。

「氷星剣!」

セリオンは氷の輝く刃でブレンタの炎を迎撃し、斬り払った。

「くっ!? なら、こいつを使うまでさ! 火竜爆転撃かりゅうばくてんげき!」

ブレンタは垂直にジャンプすると、炎のメイスを回転させて、セリオンに投げつけた。

蒼気を緻密にかつ細く鋭く形成すると、その刃でブレンタのメイスを斬り裂いた。

ブレンタのメイスが高い音を立てて落下する。

「……底が見えないねえ、あんたは。いいじゃないか! あたしも本気の自分を見せてあげるよ! より苦しく死ねることを光栄に思うんだね! はああああああああ!!」

ブレンタは全身の魔力を高めた。

ブレンタは全身を変質させた。

ブレンタの体が青くなり、顔は獣のようになった。

獣魔じゅうま・ブレンタである。

「があああああああ!!」

ブレンタの咆哮――セリオンを威圧する。

ブレンタは両手に炎を形作った。

ブレンタはセリオンに火炎弾を二発放った。

セリオンは飛来する火炎弾を氷星剣で斬り払う。

「これで、死にな!」

ブレンタは火炎槍を投げつけた。

「無駄だ!」

セリオンは氷の剣で火炎槍を迎撃した。

「あたしも魔力の出し惜しみはしないよ! くたばりな! 魔炎撃まえんげき!」

ブレンタは大きな炎の塊をセリオンに向けて出した。

セリオンはそれが着弾する前に、氷の剣でそれを斬り裂いた。

「これもダメかい! なら、くびり殺してあげるよ!」

ブレンタは口を開き、口に熱エネルギーを収束した。

「があああああああ!!」

咆哮と共にブレンタは口から熱戦をはいた。

熱線が室内を薙ぎ払う。

セリオンは床に倒れこんで、熱線を回避した。

「一撃技が通用しないかい! ならば、数で攻めようじゃないか!」

ブレンタの多弾・火炎弾。

数多くの火炎弾がセリオンに迫り来る。

「アッハッハッハッハ! さあ、逃げ場はないよ!」

セリオンは火炎弾を引き付け、それを蒼気の斬撃で迎撃した。

「えーい、これでもくらいな!」

ブレンタの火炎噴。

炎がセリオンの足元から噴出する。

セリオンは一歩後退してこの攻撃をかわした。

「炎がだめなら闇で行くよ! 闇力!」

ブレンタの闇力。

紫のドームがセリオンを包み込む。

セリオンは消えたかに見えた。

「はっ! しょせんはこの程度……!?」

闇力の中から、セリオンが姿を現した。

セリオンは光の大剣を持っていた。

「ええい! 忌々しい! とっとと失せな!」

ブレンタは闇黒槍を出した。

セリオンは光波刃を出して闇黒槍を防いだ。

「死にやがれ、大火球!」

ブレンタが大きな火球を出した。

学院の生徒ではひねり出すこともできないだろう。

大火球がセリオンに向けて撃たれた。

セリオンは蒼気を収束する。

それから蒼気の刃を鋭くして大火球を斬り裂いた。

「がーおー!!」

ブレンタが口から炎の息をはいた。

セリオンは氷結刃でそれを切断する。

さらにブレンタは灼熱の息を出してきた。

これは炎の息の上位版だ。

それがまるで火炎放射のように発射された。

セリオンは氷星剣を出して、この息も無力化した。

「今まで、よく生き残ったとほめてあげるよ。でもね、こいつでフィナーレさ。こいつがあたしの最強の魔法だよ! 魔封剣まふうけん!」

ブレンタの上空に巨大な剣が現れた。

この剣は闇をまとっていた。

「さあ、死にな!」

魔封剣がセリオンに向けて発射された。

セリオンは全力の蒼気で魔封剣に立ちはだかった。

セリオンは全力の蒼気を叩きつけた。

魔封剣にひびが入った。

「なっ!?」

ブレンタが驚愕する。

「はああああああ!!」

セリオンは徹底的に蒼気を叩きつけ魔封剣を砕いた。

「そんな……そんなバカな!?」

ブレンタの目が大きく見開かれた。

「これまで、か?」

セリオンが大剣をブレンタに見せる。

「くっ!? なめんじゃないよ! あたしのさらなる闇を見せてあげようじゃないか! はあああああ!!!」

ブレンタの体が膨れ上がった。

ブレンタは赤紫の巨大な牛のような姿に変身した。

「ガアアアアアア!」

鬼獣きじゅう・ブレンタである。

ブレンタの目から光線が出た。

ブレンタの目が妖しい光を出し、光線を出したのだ。

セリオンはすばやくよける。

ブレンタの闇の息。

セリオンは大剣に光をまとわせ、光の大剣で薙ぎ払った。

ブレンタの熱線。

ブレンタは口から熱戦をはいた。

セリオンは大きくジャンプしてかわした。

セリオンは光の力を集めた。

そして、ブレンタに連続で斬りつけた。

セリオンの天地神気斬である。

ブレンタの体は次々と乱れる斬撃によって斬り刻まれていった。

セリオンはとどめとばかり、光子斬を放つ。

致命傷だった。

ブレンタは元の姿に戻った。

ブレンタは死んでいた。

「ブレンタは死んだか。そうだ、ノエルは?」

ブレンタの体から緑の宝石が出てきた。

緑の宝石は割れて、ノエルを中から出した。

「ノエル!」

「うーん……」

「ノエル……どうやら無事のようだな」

セリオンはノエルを背負った。

すると亜空間に激震が走った。

「この空間が崩壊しようとしている」

ブレンタの亜空間「闇の邪園」はこうして崩れ去った。

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