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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
25/59

ノエル――キマイラ

貴族学院ではカウル先生が育児休暇中のため、代わりの先生が来た。

彼の名はアントニオ・アドリアーニ(Antonio Adriani)先生。

主に剣を使う男である。

ちなみに彼は金髪でイケメンだった。ゆえに、女子生徒から人気にんきがあった。

セリオンもこの授業に参加していた。

トビアスの姿はなかった。

彼はセリオンとの決闘後、不登校になってしまった。

どうやら実家に引きこもっているらしい。

生徒たちは練習用の剣を持ってそれぞれ、組になって剣を振るっていた。

剣も貴族のたしなみとして生徒は学ぶ義務があった。

セリオンから見ても、アドリアーニ先生は良く教えているように見えた。

この先生は口で指示するのではなく、必ず、自分が実戦してから教えるのだ。

つまり、手本を示すのである。

ノエルはルドミラと組みになっていた。

ルドミラは剣にもセンスを示したが、ノエルはあまりセンスがいいとは言えなかった。

ノエルは心が優しい少女だ。

それゆえ、相手を傷つける行為を本質的に嫌う。

そのためかあまり剣の腕は上達しなかった。

「ねえ、セリオン様?」

「なんだ?」

ルドミラがセリオンに話しかけた。

「よかったら、私とお手合わせできますか?」

ルドミラは妖艶な笑みを浮かべた。

ルドミラはまだ十歳だが、どこか大人びた魅力があった。

また、美しかった。

そのため将来、男たちがのどから手が出るほど彼女を欲しがることも、セリオンにはわかった。

「俺と剣を会わせたいのか。いいだろう」

セリオンは練習用の剣を手にした。

セリオンとルドミラが向かい合う。

向かい合い、剣を手にしていれば相手の力量が見えてくる。

セリオンはルドミラの能力を測定した。

十歳にしてはルドミラの剣は優れている。

彼女は剣にもかなりの才能がある。

一方、ルドミラのほうはセリオンのことを正確に測れないでいた。

セリオンには風が凪になったように、隙というものが存在しないのだ。

つまり、どう攻めたらいいのかわからないのである。

セリオンが強いのは知っていたが、これほど実力差があるとはルドミラには思わなかった。

ルドミラは大人相手でも勝ったことがあるくらい、剣の実力は優れている。

「来ないのか?」

「くっ! ……」

「まずは軽く打ち合ってみよう」

「わかったわ」

ルドミラが先に斬りこんだ。

もちろん、セリオンはそれを軽く防ぐ。

セリオンはルドミラに合わせて剣を振るった。

それは幻想的で美しい舞のようだった。

「さすがにやりますね、セリオン様! 私と斬り結ぶことができた人はそういませんわ!」

「ルドミラもなかなかの実力、技量を持っているな。いい剣筋だ」

「セリオン様に言わせると、嫌みに聞こえますね!」

ルドミラがより速く剣を振るう。

いつの間にか二人の周りには人だかりができていた。

「フム……二人ともいい剣を振るっているな……みんな! 二人の剣撃をよく見ておくように! これは大変な勉強になる!」

「ギャラリーが出てきたか。なら、少し本気を出そうか」

セリオンは本気の剣撃でルドミラの剣に斬りつけた。

「なっ!?」

ルドミラは驚いた。まったく剣筋が見えなかったからだ。

そして、ルドミラは二重に驚いた。

彼女の剣は切断されていた。

「そんな!? これは練習用の剣とはいえ、それなりの強度があるはずなのに!?」

「まあ、まだ甘いということだな、ルドミラ?」

そこに生徒たちの拍手が沸き起こった。

突然、パリーンと窓が割れる音がした。

モンスターが学院に侵入したのだ。

ライオン、ヤギ、蛇の顔を持ち翼にライオンの胴体、尾を持つ異形の怪物「キマイラ(Chimaira)」である。

「モンスターの襲撃か! 俺がここを抑える! アドリアーニ先生! 生徒の避難を!」

「わかった。君にモンスターの相手は任せる! 私は生徒たちを守る!」

アドリアーニ先生は生徒たちを引率した。

そのあいだ、セリオンはキマイラと対峙していた。

キマイラの注意をこちらへと向かわせるためだ。

キマイラは浮遊した。

キマイラは口から炎の息をはきつけた。

セリオンはそれを蒼気で斬り裂く。

キマイラはヤギの口から氷の息をはいた。

氷が弾幕となってはきだされる。

セリオンは蒼気で薙ぎ払った。

キマイラは蛇の口から毒の息をはいた。

セリオンは蒼気で斬り払う。

セリオンはジャンプした。

そしてキマイラを叩き落した。

キマイラが悲鳴を上げる。

キマイラは態勢を立て直した。

キマイラはセリオンにかみつこうとしてくる。

セリオン蒼波斬を放った。

キマイラは蒼気の刃で致命傷を受けた。

キマイラは倒れ、黒い粒子と化して消滅していった。

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