表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
ノエルの章
20/59

ノエル――セバストス

暗い密室の部屋で、何者かが会議を開いていた。

「皆の者、良く集まってくれた。我々は同志だ。先日の国王の振る舞いを見たか?」

「はい。国の民のことを何とも思わず、自らの保身しか考えていない愚か者です」

「やはり我々が立つしかないでしょう」

「あなたが皆を指導してください、アントニヌス(Antoninus)将軍!」

将軍と呼ばれた男はため息をついた。

「この国は乱れている。この国に真に秩序と平和をもたらすことができるのは我々をおいてほかにはない。我々は決起する! 我々が新しい政府を作るのだ!」

「「「おおおおおおお!!!」」」



ノヴァ―ルの軍がクーデターを起こした。

「我々は革命闘士だ。これより、『革命統合評議会』が新政府を樹立する。国民は我々の政府に無条件で服従するように」

アントニヌス将軍が言い放った。軍はまず王宮を占領した。

軍は国王の身柄を拘束できると思っていたが、国王は事前に情報を得ていたのか、逃亡していた。

どうやら変装してヴェルテ共和国に行ったもよう。

評議会はヴェルテ側に国王の身柄引き渡しを求めたが、拒否された。

軍は『革命軍』を名乗り始めた。

革命軍は王族を捕らえると、次々と殺害していった。

国民は震撼した。

この現実に多くの人はついていけなかった。

いったいなぜ、軍はクーデターを起こしたのか?

革命軍の答えでは今の国王に政治は任せておけない、と考えたからであった。

先のモンスター討伐でも、国王は逃亡しようとするなど、為政者としては失格だと。

ノヴァ―ル王国改めノヴァ―ル人民共和国の樹立を革命軍は宣言した。

アントニヌス将軍は壮年の軍人で軍事のベテラン、プロフェッショナルであった。

アントニヌス将軍は呼びかけた。

これより、人民の、人民による、人民のための政治が行われる。

王族や貴族制はすべて廃止する。

国王の支配は終わりを告げる。

すべての機関の上に「革命統合評議会」が君臨する。

そして、軍が政治を主導する。

つまり「軍事政権」であった。

軍への批判は禁止された。

アントニヌス将軍は常備軍を設立することも表明した。

結果的に国民への税金は増えた。

まず革命軍は憲法を制定することから始めるという。

しかしうわさでは人権を王制時代よりも抑圧する憲法を制定するつもりらしい。

国民のあいだに不安が流れた。

いったいこの国はどうなってしまうのだろう、と。



ルブリアナ支部教会にノエルとルドミラがやってきた。

貴族学院は閉鎖された。

セリオンとアンジェラは二人を暖かく招き入れた。

革命統合評議会は人権を抑圧する憲法を制定するつもりらしい。

これでセリオンの立場は決まった。

騎士団はまだ軍と衝突していないようだが、軍からは騎士団の解体が主張されている。

騎士団長のロベルト=カルロ(Roberto-Carlo)は軍への対策で大忙しだった。

革命統合評議会は国民が集会をしようとしているという情報を入手した。

「いかがいたしましょうか、アントニヌス将軍?」

アントニヌスはデスクの上で手を組みながら。

「国民のわがままを放置することはできぬ。ネロ(Nero)大佐に鎮圧を命じよ」

国民はエウフェーミア(Eufemia)さん(職業・教師)による「平和的」な集会を催していた。

エウフェーミアは軍の横暴を批判、軍は暴力で国民を支配しようとしている!

彼女は軍は解体されるべきだと主張した。

そこにネロ大佐とその指揮下の部隊がやってきた。

「いったいあなたがたは何ですか! 私たちは平和的に集会を催しているだけです!」

「ふざけるな! 平和的だと? 軍への批判はすべて禁止する!」

「聞きましたか、みなさん! 軍は集会の自由や表現の自由を抑圧するつもりです!」

集会は危険な様相を呈してきた。

「きさまら、いい加減にしろ! これ以上ふざけたことをぬかすと、抜剣するぞ!」

ネロ大佐は剣の刃を見せるように抜剣した。

エウフェーミアは逮捕され、投獄された。

集会は暴力をちらつかされ解散された。

この事件を知った国民は激怒した。

国民はデモとなって、革命政府が置かれている旧王宮前になだれこんだ。

軍はついに国民に剣をむけ、攻撃させた。

デモは力でつぶされそうになった。

革命統合評議会は古代の秘密兵器を使うことにした。

デモ隊の前に機動兵器「セバストス(Sebastos)が出現した。

「うわあ!? なんだ!?」

「どこから出てきたの!?」

セバストスは胸部を開き、「バスターキャノン」を発射した。

人が焼き焦げる匂いが立ち込めた。

多くの人々が殺された。

さすがにセバストスにはデモ隊もかなわず、一目散に逃げ始めた。

逃げる国民に向けて、セバストスはフィンガーレーザーを発射した。

「それ以上やらせはしない!」

そこにセリオンが現れた。

セリオンはセバストスに立ち向かった。

「フン! なんだ、きさまは? この兵器の力を見たであろう? それでも逆らうのか?」

革命軍の士官があざ笑った。

「力による暴力的な政治など俺は断じて認めない!」

「フッ! いいだろう! セバストスよ! このカスを始末しろ!」

セバストスはセリオンの方向を向いた。

機動兵器セバストス――銀色のボディーに、ホバークラフトを備えたロボットで、アームが外れるようにできていた。

セバストスのフィンガーレーザー。

レーザーが十本弧を描いてセリオンに飛来する。

セリオンはすばやく動いてそれをかわした。

セバストスのミサイル。

ホーミング性能を持つミサイル四発。

それがセリオンに向かって飛んできた。

セリオンは速く走りセバストスの後ろへと回り込んだ。

それから大ジャンプしてセバストスを跳び越えてミサイルをやり過ごした。

ミサイルはセバストスに命中した。

セバストスのロケットパンチ。

セバストスはアームを固定して、セリオンに狙いを定めて発射した。

セリオンはすばやくよける。

ロケットパンチは空振った。

セバストスはアームを分離させてセリオンを追いつめようとする。

アームをセリオンは斬りつける。

「硬いな……剣による攻撃は通じないか」

セバストスは胸部バスターキャノンを撃ちだした。

狙いはセリオン。

アーム分離はこのための布石だったのだ。

しかし、バスターキャノンはセリオンによけられた。

セリオンは大剣に雷をまとわせた。

セリオンの技「雷鳴剣」だ。

セリオンは雷電を伴う斬撃をセバストスに打ち付けた。

それはすさまじい威力だった。セバストスは各部をショートさせた。

セバストスのAIはいかれて、味方を攻撃するありさまだった。

「うおおおお!? 何をする!?」

「うぎゃああ!?」

「がああああ!?」

セバストスがフィンガーレーザーを味方に浴びせる。

セバストスは完全に暴走したようだ。

「雷鳴剣が効きすぎたか……だがセバストスの弱点はわかった。「あれ」だ」

セバストスは胸の核を露出させていた。

セリオンはその核めがけて必殺の一撃「雷光剣」を叩き込んだ。

セバストスの核がはじけ飛んだ。

セバストスは機能停止した。

そして人形のように倒れた。

「まずい! 爆発する!」

セバストスは爆発を起こした。

無残に機械の部分が露呈する。

「そんな……セバストスがやられるなんて……!?」


革命評議会は一気に絶望に落とされた。

切り札であったセバストスを撃破されたからであった。

「セバストスが倒された!? そんなバカな!?」

アントニヌス将軍は動揺した。

「…………」

部屋に沈黙が訪れる。

まだだ。まだ打てる手はあるはずだ。

彼らの理性はまだ終わっていなかった。

そこに一人の宝石師が現れた。

「まっ、こいつら程度じゃここらが限界かい。さっ、自分で自分のケリをつけな」

宝石師が指をくいっと引っ張る。

その瞬間、アントニヌス将軍たちは剣で自分の心臓を貫いた。

彼らはこの宝石師に操られていたのだ。

全ての幕が下ろされた。

そして宝石師――彼女はつぶやく。

「青き狼、剣聖セリオンか……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ