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Das Heldenlied   ヘルデンリート 20 Die Hymne  作者: Siberius
シエルの章
11/59

シエル――サタニスト

平常の学校授業。

教師は担任のルキウス(Lukius)先生で、ヴェルテ語の授業をしていた。

生徒たちは教科書とノートを広げて、黒板に書かれたことをノートに写していく。

ルキウス先生はまじめでユーモアの感覚に乏しかったが、良い先生でもあった。

そんな午前中の授業はけだるくあっと言うまにすぎていった。

そんな日常のことである。

「きさまら、そこを動くな!」

「抵抗すると殺すぞ!」

何者かがシエルのクラスに侵入した。

「なんだ、おまえたちは! 生徒に手を出すことはこの私が許さんぞ!」

ルキウス先生が強く前に出た。

「バカめ! これでもくらえ!」

「ぐおおおおあ!?」

ルキウス先生は侵入者が放った闇黒弾を受けて窓際まで吹き飛ばされた。

「ルキウス先生!」

誰かがルキウス先生のことを呼んだ。

いや、むしろ叫んだと言っていい。

「きさまらもわかったか? あの男のようになりたくないなら、我々サタニストの命令を聞いてもらおう」

「我々はサタニストだ。サタン様に仕えている。この教室は我々サタニストの管轄下に置かれる。無駄な抵抗はしないことだ」



「速報です! サタニストと名乗るグループがクヴィンツ初等学校を占拠しました! 生徒を人質に取っている模様です!」

「なんだって!?」

「まさか、シエルちゃん!」

教会の中に取り付けられたテレビを見てセリオンとセレネが声を上げた。

「一週間前はサタンを崇拝するテロリストどもが教会を占拠したばかりだ。それで、また占拠事件か。それもシエルが通う学校とはな。サタニストか……」

「セリオン、あなたは学校に向かって。この事件を解決してちょうだい」

「簡単に言ってくれるな。まあ、いいさ。テロリストどもの時は陽動に引っかかってしまったし、サタニストどもの裏をかいてやるのも一興か」

そうしてセリオンは学校に向かった。



体育館に人質の大部分が集められた。サタニストの騎士たちが黒い剣で人質を威圧する。

サタン騎士たちはその場を支配した。

サタニストは抵抗した教師オック先生を殺害した。

それは人質となった子供たちに恐怖を植え付けた。

人質はまだあどけない子供たちばかりだった。

今回は軍が、学校を封鎖していた。

セリオンはひそかに学校に侵入すると、体育館に入った。

「なんだ、おまえは!?」

「サタニストに敵対する者だ」

「どうやら、死にたいようだな」

「サタン様、万歳!」

「抵抗する気か。なら見せしめに殺してくれる!」

いっせいにサタン騎士たちがセリオンに襲いかかった。

セリオンはニイッと笑った。

サタン騎士たちはセリオンに次々と屠られていった。

「なんだ、こいつは!?」

サタン騎士たちは動揺した。

「悪いな。俺はセリオン。青き狼セリオン・シベルスクだ」

「セリオン……シベルスク!?」

「我々の怨敵の名だ!」

セリオンは残りのサタン騎士たちを残らず倒した。

「まっ、待て! これ以上暴れるなら、こいつらを殺すぞ!?」

生き残りのサタン騎士たちが剣を生徒に向けた。

「こいつらを殺されたくなければ武器を捨てろ!」

セリオンはサタン騎士たちが追いつめられてこの手の手段に走ったと看破した。

心理的に有利なのはこちら側だ、そうセリオンは思った。

セリオンは身体強化して、一瞬にしてこれらのサタン騎士たちを殺害した。

すべてのサタン騎士たちはセリオンによって全滅された。

人質の大部分が解放された。



「あれは、生徒たちじゃないか! おい! こんなことは計画にはなかったはずだぞ!? 体育館に集められた生徒たちが解放されてしまったぞ! くそが! なめてかかるからだ! いったいあそこにいた騎士たちは何をしていた!?」

シエルの教室でレクス(Rex)がしゃべった。

レクスはサタニストのエリートだった。

シエルの教室で安ど感が広がった。

「ルキウス先生よお……あんたには人質としてついてきてもらうぜ? わかってんな?」

レクスはルキウス先生に視線を向けた。

「……いいだろう。これも生徒をたちを守るためだ。それならば喜んで人質になろうじゃないか。生徒に危害を加えることはこの私が許さんぞ!」

「へいへい、わかったぜ」

レクスはルキウスの背中に剣を突き付けると先に歩かせて教室から出ていった。

教室には数人のサタニストが残された。



セリオンは校舎の中に入った。

体育館の人質は無事に解放され、軍と共に合流し、主にメンタル面での治療を受けていた。

「これは……何かがいる! いったい何者だ!」

セリオンは大剣を構えた。

突如魔法陣が浮かび上がった。

「亜空間への入口か!」

セリオンは亜空間に吸い込まれた。

セリオンは周囲を見わたした。

どうやら雷雨の中学園の屋上にいるようだった。

セリオンの前に一体の悪魔がいた。

牛の頭に屈強な体、毛の生えた下半身をしていた。

これはトイフェル・ヘル(Teufelherr)だった。

トイフェル・ヘルは敵意をむき出しにした。

「いいだろう。かかってこい。この俺が相手をしてやる」

セリオンはトイフェル・ヘルに鋭い視線を向けた。

まずはトイフェル・ヘルが攻めてきた。

その豪腕を振り下ろして、セリオンを叩き潰すつもりだ。

セリオンはそれを難なくかわす。

トイフェル・ヘルの一撃は屋根を粉砕した。

グラグラと建物が揺れる。

トイフェル・ヘルはさらにセリオンを追撃してきた。

今度は鋭い爪でセリオンを切り裂くつもりだ。

トイフェル・ヘルの腕が風と共に振るわれる。

それをセリオンはジャンプしてかわすと、大剣でトイフェル・ヘルの頭を斬りつけた。

セリオンの攻撃はトイフェル・ヘルに何のダメージも与えなかった。

トイフェル・ヘルには傷一つつかなかった。

「ちっ……硬いな」

トイフェル・ヘルが左腕で切り上げてくる。

トイフェル・ヘルはセリオンに怒ったようだ。

セリオンはこの攻撃を見切ってよけた。

セリオンは後退して、トイフェル・ヘルと距離を取った。

トイフェル・ヘルは大きく口を開いた。

トイフェル・ヘルの口の前に邪悪な炎が形成される。

トイフェル・ヘルの「邪炎弾」である。

トイフェル・ヘルは邪炎弾をセリオンに放った。

黒い炎の弾はセリオンに対して正確に飛来してきた。

セリオンは大剣を輝かせた。

セリオンは光の大剣で邪炎弾を撃ち落とした。

ギロッとトイフェル・ヘルがセリオンをにらむ。

トイフェル・ヘルは大きく息を吸い込んだ。

トイフェル・ヘルは口から紫の息「デーモン・ブレス」をはいた。

焼けつく息がセリオンに迫った。

セリオンはブレスを待ち構えると、光の斬撃を繰り出し、ブレスを霧散させた。

トイフェル・ヘルの目が光った。

セリオンはすぐさまその場からどいた。

トイフェル・ヘルの目からレーザーが出たのだ。

トイフェル・ヘルの「邪眼」である。

トイフェル・ヘルは闇力をセリオンに向けて放った。

セリオンはそれを待ち構えると、光輝刃で闇の円を一刀両断にした。

トイフェル・ヘルの多弾・闇黒弾。

トイフェル・ヘルは闇の弾をセリオンにばらまくように撃った。

セリオンは冷静に光の大剣で闇の弾を斬り払った。

トイフェル・ヘルが莫大な魔力を集めた。

セリオンはそれに気づいた。

「!? なんだ? 闇の魔力が集まっている……何をする気だ?」

トイフェル・ヘルは闇のゲート「カーオス・トーア(Chaostor)を発動した。

セリオンの周囲に闇が噴き上がる。

これはトイフェル・ヘルの最終奥義だろう。

トイフェル・ヘルは切り札を使ったのだ。

これがトイフェル・ヘルの全力だった。

セリオンは雷の力を収束させた。

そして屋根に大剣を突き刺すと、全方位に雷光を噴出させた。

セリオンの技「雷光閃」である。

セリオンのこの攻撃によってカーオス・トーアは吹き飛ばされた。

トイフェル・ヘルの顔つきが変わった。

トイフェル・ヘルは明らかに動揺していた。

セリオンはトイフェル・ヘルに接近した。

トイフェル・ヘルが右手で薙ぎ払ってくる。

セリオンはジャンプでそれをかわすと、光子の斬撃をトイフェル・ヘルに叩き込んだ。

トイフェル・ヘルは真っ二つに叩き割られた。

トイフェル・ヘルは倒れ、黒い粒子と化して消滅した。



セリオンはトイフェル・ヘルを倒し、現実空間に戻ってきた。

「あー、あー! まさかあの悪魔を倒して出てくる奴がいるとはねー! さすが、セリオン・シベルスクといったところか……」

「おまえは?」

「俺はレクス。サタン教団のサタニストだ」

「サタン教団……クヴィンツ教会を爆破しようとした奴らと同じ組織の者か!」

「ヒャーハハハハ! その通りだぜ!」

レクスはニヤリと笑った。

「クックック! それにしてもあの亜空間から出てくるとはね。さすがだねえ、青き狼様?」

レクスは片手剣を取り出した。

セリオンも大剣を向けた。

「ヒャーッハッハッハ! 行くぜえ!」

レクスがセリオンに斬りつけてきた。

「この俺がてめえを冥土に送ってやるぜえ!」

レクスはセリオンを斬り刻むように剣を振るった。

セリオンはそのすべてをガードする。

「火炎槍!」

レクスは炎の槍を出した。

「氷結刃!」

セリオンは氷の剣でレクスの火炎槍を無力化した。

「火炎剣!」

レクスは炎の剣でセリオンに斬りつけてきた。

セリオンは氷の剣でレクスの剣に対抗する。

氷と炎――相反する属性が互いに火花を作り出す。

「はっ! これをくらいやがれ! 火炎突!」

レクスは炎の剣でセリオンを突き付けてきた。

「ぐおああああ!?」

しかし、レクスはセリオンの剣に押されて吹き飛んだ。

レクスはなんとか着地する。

「ちいっ! まさかここまでやるとはな! だが、これで終わりだぜ! 邪炎剣じゃえんけん!」

レクスが黒い炎の剣を出した。

「くくく! これは闇の炎の剣だ! こいつでとどめを刺してやるぜえ!」

レクスは邪炎剣を振るった。

セリオンは氷星剣を出すと、レクスの剣をはじき飛ばした。

「なっ!?」

すぐさまセリオンはレクスに一撃入れて斬り捨てた。

「ぐはっ!? う、うそだろ!? この、俺が……」

レクスは倒れた。



ルキウス先生が教室に入ってきた。

「ルキウス先生!」

「無事だったんですか!」

「もちろんだよ、みんな。でもサタニストの要求で職員室まで行かなくてはならないんだ。シエル君、君についてきてほしいんだ。これも奴らの要求でね」

シエルは不安な表情を見せた。

「は、はい。わかりました」

シエルはイスから立ち上がった。

「それじゃあ、シエル君。いっしょに職員室まで行こうか」

その時のルキウス先生の表情が、シエルにはひどくぶきみに見えた。



「こ、これは!?」

シエルは自分の目を疑った。職員室には教師たちの死体が折り重なっていた。

「さあ、シエル君……君はあの魔法陣に入るんだ。そうして君はサタン様のいけにえになるんだよ」

「サタンのいけにえ!? ルキウス先生!? あなたは!?」

「フッフッフ。君は勘がいいね、シエル君。そうだとも。この教師たちを皆殺しにしたのはこの私だよ。実は私もサタン教団の一員でね。今回の事件は私が首謀者だったんだよ。審問官ルキウス――それがこの私だよ。さあ、シエル君……君はサタン様のいけにえになるんだ」

ルキウスが剣を出してシエルに迫ってきた。

シエルは後ずさる。

そこに光の刃が放たれた。

「なっ!? 反応できなかった!? この私が!?」

ルキウスは背後を振り返った。

そこには大剣を持ったセリオンがいた。

「セリオンさん!」

「ほほう、君がセリオンか。うわさは聞いているよ。教団にたてつく犬がいるとね」

「犬ではなく狼だ」

「では、訂正しよう。我々に歯向かう狼が一匹いるとね」

「おまえがこの事件の首謀者か?」

「その通り。ひそかに教団のサタニストを学校に招き入れたのはこの私だ。これもすべてはサタン様のため。だから、殺した、教師たちもね。それにしても、トイフェル・ヘルを倒すとはね。やるじゃないか。これではわざわざこの私が、審問官ルキウスが相手をしなければならないね」

「審問官……サイーゼやエファイアも審問官だった。審問官とはなんだ?

「フッフッフ! 審問官とはサタン教団の幹部のことだ。教団は我が君、ネーフェラ様とその幹部たる審問官、そして一般の兵で構成されている」

「ネーフェラ?」

「それはサタン教団最高指導者=Führerinのことだ。さあ、情報はこの程度でいいだろう。君はどうせここで死ぬのだからな!」

ルキウスが剣を構えた。

ルキウスの剣を闇が覆っていく。

「闇黒剣!」

セリオンは光輝刃を出した。

光と闇が衝突し合う。

「ほう……やるね。しかも光か! 忌々しい!」

ルキウスは闇の剣で斬り払ってきた。

セリオンは後方に退避する。

ルキウスの剣技。

セリオンはそれに立ち向かう。

ルキウスがスピードを上げる。

セリオンはそれについて行く。

「フッフッフッフ! やるね。だが、それもこれまでだ! 私にはこれがある!」

そう言うとルキウスはポケットからあるアイテムを取り出した。

「それは何だ?」

「フッフッフ! これは闇のアーティファクト。その名は『闇の目』だ。これを使うことで絶大な闇の力を得ることができるんだよ! ハアアアアアアアア!」

ルキウスの全身から闇が放たれた。

「フハハハハハハ! これが闇だ! これが力だ! 闇の刃をその身に受けるがいい!!」

ルキウスは闇の刃を連発した。

セリオンは光の刃で対抗する。

ルキウスは闇の波を放った。

セリオンは光輝斬で迎撃する。

「フハハハハハ! どうだ、この力は! すばらしいだろう! 君もこの力を理解したまえ! そして死ぬがいい!! ぐはっ!?」

ルキウスは気づいたときすでにセリオンの大剣に貫かれていた。

「なっ、こんなはずでは……!? こんな……こんなことが……」

「ただ暴走した力に頼っているだけじゃあ俺には勝てない。終わりだ!」

「おの、れ……」

ルキウスは絶命した。

「セリオンさーん!」

シエルがセリオンに跳びこんできた。

「シエル、もう大丈夫だぞ」

泣きじゃくるシエルを、セリオンはやさしく包み込んだ。

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