第2話 終章①
~登場人物紹介~
道上 準貴:本作の主人公、高校一年生。イケメンだがオタク。
高橋 遥 :主人公の幼馴染。元野球部マネージャーで現在諸事情で入院中。
※この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません。※
そのあと、俺たちは日も暮れてきたということもあり、一旦彼女の病室へと戻ることにした。俺が彼女の病室の扉を開けると、中には遥のお母さんがいた。
「・・・ただいま」
「おかえり」
遥がそういうと、彼女のお母さんが静かに、少し疲れた様子でそう応えた。お父さんはというと、多分もう帰ってしまわれたのだろう。
「・・・」
「・・・」
親子二人の中に部外者の俺がいる形となったのはともかく、何も会話がないのは非常に気まずい。しかし、同時にこのままではいけないというのも分かっていた。
「すいません、遥のお母さん」
俺がそう言うと、遥と遥の母さんが同時に俺の方に注目する。
「遥のやつ、二人が出ていってからずっと泣いてました。ごめんなさいってずっと。でもこいつ、少しずつですがちゃんと元気になってます。食欲だってちゃんと戻ってきてるはずです。それに今、色々話してきて、退院したら北高戻るって話もしました。だからもう少し待ってもらえませんか。きっと彼女なりに整理ができたらお二人に話してくれると思います。それまでどうか、温かく見守ってあげてくれませんか。・・・こんなこと、俺が言うべきじゃないのかもしれませんけど」
他人である俺が言ったところで何の意味もないのかもしれない。親から、大人からしてみれば高校生同士のよく分からない友情ごっこというか、お遊び程度に捉えられている可能性だってある。今の俺たちは遥の母さんからするとどのように映っているのだろうか。そんな心配をしながら俺が深々と頭を下げると、遥の母さんがふふっっと笑って話を始める。
「いいのよなんも。遥ったら、昨日なんて準貴くんが来るって午前中から楽しみにしてたんだから」
「ちょっと、お母さん」
そう言って遥が恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「それに、私たちも色々あってイライラしていたのかもしれない。ごめんね、はる」
「・・・ううん。私こそごめんなさい」
「準貴くんこそ、みっともないとこ見せちゃってごめんね」
「いえ、俺は全然」
そう言って俺は病室に置いてあった例のキャリーケースを手に取る。きっとこれから親子で積もる話もあるだろう。早く仲直りしてくれ、そう思いながら遥の顔をちらっと見やる。
「それでは、失礼します。じゃあな遥、また暇なときにでも来るよ」
「はいよ」
遥が軽くそう応えたのを確認し、俺は病室を後にした。この重い荷物も、彼女のためになったと思えばなんてことはなかった。




