第3節
~登場人物紹介~
道上 準貴:本作の主人公、北高商業科一年生。りんごの皮むきが得意。
高橋 遥 :主人公の幼馴染。元野球部マネージャーで現在諸事情で入院中。
石川 彩音:普通科二年生の先輩。スタイル・性格が良い故、彼氏もいる。
「やっぱりうま○棒はサラダ味が定番か。いや、ここは残ったときに嬉しい俺の好きなタコヤキ、いいや、俺の一番好きなのはコンポタージュか。・・・しかしチーズや明太子味も捨てがたい」
スーパーのお菓子売り場で散々○まい棒について考えている男子高校生を見かけたことがあるだろうか。函館で、制服姿で、さらに背が小さければ俺の可能性が十分に考えられるだろう。
結局その日は部活を欠席することを三人に伝え、帰りのHR後、直で例のスーパーへと足を運んだ。今日は美月もバイトがあるから、ということで結局四人揃って部活には行かないことになった。こんないい加減でいいのか?とたまに思うが、もうそれにも慣れ、行くか行かないかは正直自分たちの気分次第とさえ言える。そして俺は予定通り、昨日のスーパーで明日のお菓子選びに傾注けいちゅうしていた。
「・・・ってか、そもそもうまい棒ってありきたり過ぎるか。今年は一風違ったお菓子にするのも悪くはないかも」
そういってお菓子売り場に着いてからかれこれ一時間はお菓子を手に取り、棚に戻すを繰り返していた。いや、お菓子選びって本当楽しいよね。自分が食べるわけじゃないんだけどさ。結局、俺はうまい棒のサラダ味とあと数種類適当に安い駄菓子をカゴに詰め、売り場をうろうろとしていた。最終的には無難なところに落ち着いたってわけだ。
「しっかしでけぇなこのスーパー。でもそこまで安いかって言われるとそうでもないんだな」
そう、実はそこまで安くないということに気が付く。すべての店舗がそうとは言わないが、こういった大きなお店は本当に安いのではなく、「安く見せるのが上手い」店が大半だ。大きな看板にデカデカと文字と価格が書かれており、本日限定特別特価、なんて書かれると買わなきゃ、という衝動に駆られるのも正直分からなくはない。しかし、そこで冷静になってほしい。それ、本当に日買う必要ある?と。しかし、そうは言ったものの、さすがにうちの近くにある商店よりは全体的に安いのは見てわかる。だが、休日に、わざわざJRに乗って買い物をするほど激安か、と言われると正直微妙といったところだ。なんといっても往復一時間はさすがに辛過ぎる。今日はお菓子もたくさん買うわけだし、そこまで多く持てるわけじゃない。今日は七夕のお菓子だけ買って帰ろう、そう思ったのだが、ふと歩きながら昨日、病院で食べたリンゴを思い出す。あれは確かに美味しかったな、自宅用に何個か買うくらいの余裕はあるだろう、そう思い青果コーナーへと足を運んだ。
「あったあった」
そう思いながら、外見美味しそうなりんごを一つ手に取り、カゴへ入れる。そこで何事もなく真っ直ぐレジへ向かえばよかったのだが、俺はその横にあるデカデカとした黄金色の看板に目を奪われてしまう。
『完熟黄金パイン、数量・期間限定の特別大特価!!!』
それは特設コーナーに置かれたパイナップルだった。しかも限定品。数も大量にあるわけじゃない。売り場に出ているのは十個もないくらいだった。いやいや、限定品と謳っておきながらきっといつでも置いてるんでしょ、それに数量限定とか言ってるけどどっかウラに在庫大量に持ってるんでしょ。魅せるのが上手いねぇ。そう冷静にツッコミを入れる。そんな消費者もバカじゃないんだからさ。
「・・・遥のやつに買っていったら、あいつ食べるかな」
そう思い昨日、遥の病室あった大量の果物を思い出す。あんだけあれば腐らせちゃうだろ、と思ったなかに確かパイナップルは確かなかったはずだった。
デカデカとした看板に大きな文字と価格表示につられ、一玉パイナップルをカゴに入れて抱えている男子高校生を見かけたことがあるだろうか。函館で、制服姿で、さらに背が小さければ十中八九、俺だろう。
・・・それ、本当に買う必要あった?




