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1484 青春白書  作者: 吉倉 光希
 第3章 「塞翁(さいおう)が馬」
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第6節

~登場人物紹介~


道上 準貴:本作の主人公、現在高校一年生。家事全般が得意。

高橋 遥 :主人公の幼馴染。元野球部マネージャーで現在諸事情で入院中。

小室 江美:主人公の隣の席のクラスメイト。パソコン部。ポニーテール。

喜田川 友哉:主人公の親友。黒縁メガネ。妹がいる。

棚木 美月:準貴のクラスメイト。江美の親友。

 「なぁ親父」


時刻は夜の八時になろうかというところ。あの後、結局四人で何も話すこともないままマックで軽食を済ませた。その後五稜郭駅から電車に乗り、たった今自宅に辿り着いた。俺は既に帰宅して今は居間で新聞を読んでいた親父にそう話しかけた。親父は仕事でよく帰りが遅くなったりすることもあるのだが、今日は比較的、というかだいぶ早い帰宅だったようだ。


 「おい、先にただいまだろうがよ。んで、なした?」


 「・・・お小遣いの前借りをお願いしたいんですが」


俺がそう言うと、親父は眉間にしわを寄せ、渋い顔をして新聞を読む手を止める。


 「なした、なんか買いたいものでもあるのか」


 「いや、今日さ。遥のお見舞いに行ってきたんだよ。そしたらあいつ、なんかあんまり元気なさそうだったから、あいつの喜ぶもの買ってあげられたらなぁって思って」


 「そうか、遥ちゃんのお見舞い行ってきたのか。どうだった、様子は」


親父がテレビの音量を下げ、そう真剣な面持ちで聞いてくる。俺はというと、帰宅後すぐにキッチンに立ち、エプロンをしながら制服姿で晩御飯の準備に取り掛かる。うちは対面キッチンなので、今は料理をしながら居間にいる親父と会話をしている構図になる。


 「それがなんか色々深刻そうでさ。別に小遣いの前借じゃなくてもいいんだけど、なんかお見舞いってなにしてやればいいのかよく分かんなくてさ」


 「そうだな。俺もあんまりお見舞いとか行かないから分かんねぇな。昔、上司の奥さんが入院したときには結局、花と百貨店の商品券を贈ったっけな」


 「・・・花はともかく商品券はちょっとなぁ」


さすがに大人の世界のお見舞いと、高校生のお見舞いは一緒に語れないということなのだろうか。商品券送ってもいいけど、多分そんなに嬉しくないだろ。遥の母さん的には嬉しいのかもしれないけど、今回の趣旨とは少しだけ違う気がする。まぁ確かに迷ったら商品券、という考えも分からなくはないが。俺は料理を作りながら、おやじはひたすらなにかを考えながら数十分ほど二人で口論しながら一緒に考えたのだが、結局、良さげな答えは見つからなかった。「こんなとき、母親がいればなぁ」と自分で少し考えたが、考えたところでどうしようもなかった。


 「すまん、ちょっと俺には分からんわ。とりあえず小遣いの前借とは言わず臨時収入はやるから、それでなんか良いプレゼント買ってやれ。あんまり高いものだと相手も気を遣うからほどほどにな。あと言ってくれれば車は出すから、遠慮なく言え」


 「わかったよ、サンキュ」


親父のその言葉に感謝し、出来上がった食材を食卓テーブルに並べる。今日は簡単な野菜の煮物と以前から作り置きしてある切り干し大根、それとご飯と油揚げのみそ汁だ。食卓に食材を並べ終え、ふと今日の病院で見た病院食を思い出す。病院のプラスチックの皿に並べられた食材たちは見た感じ味気なさそうだしこういった手料理作ってあげられれば、と一瞬思ったが、しかしそれではあまりにも一生懸命すぎて引かれるか。そう思い結局、思い留まることはなく思考の隅に埋もれていくのであった。

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