神
「俺死んだな…」
正則は、うっすらと目を開けた。
彼のいるところは雪の上のような、雲の上のような、真っ白な砂浜のような場所だった。
「何処だここ?……まさか、死後の世界か?」
正則は、死後の世界など全く信じていなかった。
しかし、そこは死後の世界としか思えないほど、美しく広大でそして偉大さを感じる場所だった。
「本当に何もないな…」
正則の立っている雪のような、砂のようなものは地の果てまで続いているように見えた。
「福井正則」
「ほへっ!?」
誰もいないと思っていたこの不思議な場所で、突然声をかけられ正則は変な声を出してしまった。
「何変な声を出しているのだ?」
「そりゃ驚くでしょ…ってかあんた誰?」
長く伸びた雪のような白い髪、同じく長く伸びた髭、彫りの深い顔に、金色の眼からは、威圧感を感じられる。……まさかこいつ……
「神だ。」
(やっぱり…)
「……おいそこ驚くとこだろ!神だぞ神!!驚けよ!!」
「…と言われてもなぁ。」
「まあ、それよりも本題に入ろうか…まずお前は死んだ。」
「あれで死ななかったらおかしいわな…」
「ただ、死んだ場所が問題なのだ。」
正則は交差点で死んだことの何が問題なのか、いくら考えても分からなかった。
「実は交差点の辺りの世界の境界が、薄くなっていたのだ。そこに、お前が叩きつけられたので境界を越えてしまい、無の空間で死んでしまったのだ。」
「そもそも、なぜ境界が薄くなっていたんだ?」
「それはその…わしが視察に行ったからだ。決して暇だから遊びに行った訳では無いぞ!!」
神は非常に分かり易い性格だった。
「それはともかく、お前は無の空間で死んでしまったために天国に行けないのだ。」
「え……それって幽霊になるってこと?」
「それならまだいい、この場合永遠に天国に行けないのだ。しかも気が狂う可能性が高い。」
正則は自分が気が狂ったりするとは思えなかったが、永遠にこのままというのは流石に嫌だった。
「そこで、魂はそのまま新しい肉体に入れようと思う。」
「出来るの?そんなこと。」
「ああ、肉体なら造ることが出来るからな。ただし、赤ん坊の肉体に入れるぞ。赤ん坊の時からでないと肉体に馴染めないからな。それと、お前の元いた世界とは違う世界だがそれでいいか?」
新たな人生を送れるのならと正則は即答した。
「それでいい、というかそれがいい。」
「それでは、早速」
そう言って神は空間を切り裂いて、その中に正則を放り出した。
次回、異世界に行きます。




