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恋して動く君の時間  作者: 茉莉レイ


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第8話 隙間から感じる視線の正体

 学食に着き2人はカツカレーを注文した。


「はいどうぞ!」


 お店の人が渡してくれた。


「ありがとうございます!」


 私はお礼を言って受け取った。


「見て莉亜羅! 超美味しそう!」


「衣サクサクなの見ただけで分かるね!」


 香恋の喜ぶ顔を見られて良かった。

 昨日までの香恋が嘘のようだった。



「ご馳走様でした! 美味しかった!」


「ご馳走様! だね!」


 香恋と私はそう言いトレーを返却口まで持って行った。

 食事中は楽しい会話しかしなかった。


 昨日の事について聞きたかったが、それで気まずくなったら美味しく食べられないと思いやめた。

 機嫌が戻ったのならあえて聞く必要はないのかもしれない。


 2人は午後の授業のために教室へ戻った。




 その頃アイサは制服の採寸を終え外を歩いていた。


 理事長の手回しで今日の夜には制服が莉亜羅の家まで届くことになった。

 

「手続きと制服の採寸は終わったが、家に入ることはできないしな。何をしようか」


 アイサは莉亜羅の家の鍵を持っていないため、家に入れなかった。

 創造主の力を使えば、非科学的な力を使って家に入ることはできたが彼女はその力をあえて使わないようにしていた。


 彼女自身も無意識ながら普通というものに近づこうとしていたのだ。

 

「適当に外歩いておくか。この時間は人が少ないな」


「ちょっと君」


「ん? なんだ?」


「何だじゃないよ! 学校は? 君何歳なの?」


 パトロール中の警官だった。


「ああ、そうか」


 自分が制服を着ていることを思い出した。

 今まではそこまで目立たないようにしていたが、制服を着ていると当然のように目立つ。


「仕方ない」


 莉亜羅や周りの人に迷惑をかけたくなかったため、力を使った。

 使いたくなかったがやむを得なかった。

 

「あれ? 何してたんだっけ?」


 警官は自転車に乗りどこかへ行った。

 アイサはその警官の、アイサに対しての記憶だけを消したのだ。

 

「目立たないようここに隠れておこう」


 アイサはそう言い建物の間の裏路地に隠れた。




「じゃあまた明日! 莉亜羅!」


「うん! また明日!」

 

 学校が終わり、駅で別れた。


「あれ、そういえばアイサ家帰れてるかな? てか、鍵渡してなくない?!」


 電車の中で1人焦っていた。

 アイサはスマホを持っていないため連絡も取れない。

 もしもの事があったらと私は怖くなってきた。



 駅に着き、急いで家へ向かった。


 その途中例の建物の隙間から視線を感じた。


「ん? 昨日と一緒だ」


 恐る恐る見に行った。


「え! アイサ!」


 そこにはアイサがいた。

 

「莉亜羅か。よく分かったな」


「分かるよ! ってか、もしかして昨日の朝もここにいた?」


「ああ、ここはお気に入りの場所なんだ」


 昨日の朝のモヤモヤがここで解決してスッキリした。


「そうなんだね! あ! そういえば、上手く行った?」


 今日アイサは入学手続きをするために学校へ行ったことを思い出した。


「問題ない。明日から通えるそうだ」


「本当! 良かった!」


「制服も今日中に届くらしい」


「え、はや! 権力って恐ろしいね〜」


「確かにそうかもな」


 若干、いや、確かにアイサの口角は上がっていた。

 笑ってくれたのだろうか、それとも意識的にあげたのだろうか。


「じゃあ、家帰ろっか」


「そうだな」



 家について思ったが、アイサは自然と今日もこの家に泊まる感じになっていた。

 昨日は雨で濡れていて可哀想だと思い家に泊めたが、今日以降泊める理由は無いはずだった。

 

「アイサってさ、このままここに泊まっていたい? 帰る場所とかはない?」


「帰る場所はないな」


「そっか」


 質問したことを申し訳なく感じた。

 聞かなくてもある程度想定できた答えだ。


「私が出て行った方がいいなら、出ていくが」


「そんなことはないよ!」


 私はそんなことを思っていない。

 ただお父さんとお母さんがそれを許してくれるかは分からなかった。


「私は今までもそうやって生活してきたからな。気にするな」


 アイサはそう言いながら外に出て行こうとした。


「待って! お父さんとお母さんに聞いてみるから!」


 アイサが別の人の家に住むくらいなら私の家に住んだ方がいいと思い、そう言った。

 

「ありがとうな」


 その言葉は本心のように感じられた。自然な笑みを浮かべているようにも感じられた。



 通知音が鳴った。

 仕事が終わり私が送ったメッセージを見てくれたのだろう。


『もちろんOK!!』


『問題ナッシング!』


 お父さんとお母さんからそう返ってきてた。

 やけに肯定的だなと思ったが、とりあえずは気にしなかった。


「見てアイサ! 許可もらえた!」


 私はアイサに画面を見せた。


「ありがとな、莉亜羅」

 

「これから毎日色々と話せるね!」


「随分と嬉しそうだな」


「もちろん嬉しいよ! アイサと話すと内側にある感情を全て出せるの!」


「感情全てか。私も色々と学べそうだな」


 アイサの表情は柔らかく感じた。


 

 19時頃、もう少しで両親が帰宅するくらいの時間にインターホンが鳴った。

 宅配便だった。


 荷物を受け取り開くと、制服だった。


「見て! 制服が届いたよ!」


「ついに届いたか」


「せっかくだし一旦着てみて!」


「分かった」


 私と同じ高校の制服。似合わないはずがなかった。


「超可愛いよ! これじゃあモテちゃうかもね!」


「モテるか。愛というやつか」


 言い方はあれだが、愛というやつではあるか。


「ただいま〜」


 アイサと話していると両親揃って帰宅してきた。


「え! アイサちゃんもう制服届いたんだ! 凄い似合ってるよ!」


「本当だ! 莉亜羅に勝ってるんじゃないか?」


「もうお父さん意地悪なんだから!」


 3人で笑い合った。

 アイサも微笑んでいるように見えた。


 これからは4人家族のようになっていくのだろうか。

読んでいただきありがとうございます!


ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!

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