第7話 いつも通りの親友
リビングへ向かった。
「じゃあ、学校に遅刻しないようにな」
そう言いお父さんは会社へ向かった。
お母さんはすでに家を出ていた。
テーブルの上に目玉焼きとベーコンが乗った皿だけが2つ、ラップされてあった。
「じゃあアイサ、朝食食べたら学校向かお」
「ああ、そうだな」
何とか眠いのを我慢して朝食を食べ切った。
今日の授業は寝て終わるかもなと思いながら制服に着替えた。
「アイサはとりあえずこれ着てく?」
私の中学の制服を取り出した。
見た目は違うが、サイズは合うはずだ。
「これが制服というやつか」
そう言いながら着てくれた。
「どう?」
「問題ないさ」
表情を変えずにそう言った。
私以上に制服が似合っているように見えた。
これじゃあまるでお嬢様だ。
「じゃあ、そろそろ行こっか!」
「ああ、行こう」
学校付近までくると校門近くがいつもより騒がしく感じた。
近くまで行くとその理由が分かった。
「あはは。まじか」
理事長がスーツをビシッと着て仁王立ちしていたのだ。
普段はそこまで表に出てこないため、生徒達は驚きと恐怖を感じているように見えた。
「お! 莉亜羅ちゃん! 話は聞いてるぞ!」
「城山理事長おはようございます!」
「おはよう! その子が例の?」
「そうです!」
「初めまして、アイサと申します」
理事長はアイサの方を見ながら固まっていた。
どうしたのだろうか。
「ああ、ごめんよろしく。とりあえず中入ろうか」
確かに早く中に入りたかった。
周りの生徒からの視線や声が集中砲火しているようで居心地が悪かった。
「後は事務的な作業だけだから莉亜羅ちゃんは教室向かってていいよ! 明日から一緒に通えると思うから!」
「本当ですか! ありがとうございます!」
私はお辞儀をして教室へ向かった。
教室に入るとほとんどの人が既に来ていた。
当然香恋もそこにいた。
机に突っ伏して寝ているようだった。
「香恋おはよう!」
このままよく分からず友達でなくなるのは嫌であったため話しかけた。
返事をしてくれない。
寝ているのだろうか。
「香恋〜?」
私はしゃがみ、香恋の手を掴みながら覗き込んだ。
「なんで、そんな……」
香恋が何か言った。小さくてよく分からなかった。
「え? 何?」
「恥ずかしいから手離して」
「そうだよね、ごめん!」
私は握っていた手を焦って離した。
香恋は怒っているのかもと思っていたが、 そうは見えなかった。
どこか寂しく、切ないような表情をしていた。
そのまま会話を続けたかったが、先生が入ってきた。
もう朝のホームルームの時間だった。
「じゃあまた後でね!」
香恋は無言で俯いただけだった。
その頃理事長室ではアイサと理事長が会話をしていた。
「名前を聞いた時もしやと思いましたが、貴方とは」
「ん? 私のことを知っているのか?」
「私が小さい頃、山の中で遭難してしまって、それを貴方が助けてくれたんですよ」
ああ確かに私、退屈凌ぐために山で生活していた時期があったな。
「そうか、そんなことしてたか」
「そして大学で歴史学について調べていく中、貴方の写真が出てきたのですよ」
「写真?」
「はい。これです」
理事長は机から取り出してきた。
ああ、これはおばあ達になんか撮られたやつだな。
「確かにこれは私だな」
「ということは貴方は、地球の創造主のアイサ様ですね?」
こんなところで私を知る者と遭遇するとは。
早速退屈がなくなる予感がするな。
やはり莉亜羅は特別なものを感じるな。
「私はそんな大層な者じゃないさ。だが、他の者たちや莉亜羅には言わないでくれると助かる」
「分かりました。では、手続きの方はもう大丈夫なので、ご帰宅されても構いませんよ」
「私は何もしてないぞ? 手続きって紙に何か書くんじゃないのか?」
「アイサ様と分かればそのような物は不必要です」
退屈せずに済んで良かった。前に書類を書かされた経験があるが退屈そのものだったからな。
「そうか。アイサ様じゃなくてアイサでいいんだが」
「では、他の生徒がいる時はそうさせていただきます」
「そうか。じゃあ私は帰る」
帰ろうとするのを理事長は呼び止めた。
「後1つだけ、帰りにここのお店で制服のサイズを測っていただけますか? 費用は問題ないので」
そう言うと地図のようなものを渡された。
「お気遣いありがとう」
そう言い部屋を出てそこへ向かった。
午前時の授業が終わり昼休みになった。
「は〜疲れた〜」
疲れたと言ってもほぼ寝ていただけなんだけどね。
あまりの眠さに授業中ずっと寝ていた。
先生に怒られていたかもしれないがそれも分からないほどの眠気だった。
「香恋ごはん食べに行こ〜!」
香恋の席まで行きそう言った。
「私と食べてくれるの?」
「え? 当然じゃん?」
「そっか、嬉しいな! ありがとう!」
今までの不安などが全て吹き飛ぶかのような笑顔を見せてくれた。
本当に今までの香恋の様子は何だったのだろうか。
「今日の学食ね、香恋の好きなカツカレーあるらしいよ!」
「本当! 嬉しい! じゃあ行こ!」
香恋は私の手を掴み学食へ向かった。
離そうとはしなかった。
これじゃあ手を繋いでるみたいだ。
朝は手を握っていただけで恥ずかしがってたのに、どうしたのだろうか。
香恋が考えている事は分からないが、とりあえずいつも通りに戻ってくれたことが嬉しかった。
読んでいただきありがとうございます!
ぜひ、面白い、先を読んでみたいと思っていただけましたら、リアクション、ブックマーク、コメント等していただけると励みになります!




