第60話
「あの女大丈夫なのかねぇ……アダンちゃん」
「分らん。だが俺としては死んでくれた方がこの後楽だ」
「そうですね」
「お前等もうちょい……はぁ、もういいやめんどくさい」
村に別れを告げた3人は南に進んだ。
とはいえ次の目的地までまだかなり距離があり、結局野宿する羽目になった。
今は道の脇の森から木や野草を取り夜に備えている最中だ。
「んなことよりマブト。もうちょっと枝持ってこい。これじゃ足りん」
3本の木を三角錐の形になるように組み縄で固定、その上から葉の付いた枝を刺して出来る粗末な小屋。
それが今日の寝床になる。
「へいへい」
「今日の夕食は粥ですよー」
「冷めないようにな。俺は冷めた粥がこの世で一番嫌いなんだ」
3人でやいのやいの言いつつ拠点と食事を作る。
憎まれ口をたたきつつもアダンはこの作業が嫌いではなかった。
少しづつ完成していく拠点を見ながら感傷に浸れ……
「お前等!!ここを何処だと思ってやがる!!」
なかった。
「誰だアンタ?ってクッサァッ!?」
森の中から現れた人間が突然アダン達に対して唾を吐きながら怒鳴った。
全く落ち度がないと思っているアダンだが、抗議する前に彼から放たれる強烈な悪臭に鼻を押さえることになった。
「一体どうしたんですか師匠……ナニコレクサイ」
こちらに来たロレッタが片言な口調になった。
「おうアダンちゃん、枝持ってオロロロロロ」
マブトは吐いた。
「俺はポール。この森に住んでる『森番』だ」
先ほど森から出てきた彼……ポールはその場に座ると3人に座るように促した。
「もうちょっと離れてくれ、臭い」
「アダンちゃんに同じく」
「オ願イシマスポールサン」
「テメェ等……」
歯噛みしつつも後ろに下がってくれるポール。
案外話の分かる人物のようだ。
「で?一体何で俺達を怒鳴ったんだ?」
「そもそも森番ってなんだ?」
「森の管理をしてる人のことですマブトさん」
「その通り。で、色黒のお前。俺の森から大事なもん盗っていったよな?」
ポールはマブトに視線を向ける。
「大事なもん?」
特に思い当たる節がないが……
「その木だ。俺のものだ。返せ」
「おいおい」
たかだか枝を数本取っただけでこうなるのか?
ポール以外は全員そう思った。
「それが欲しいなら金を出せ。でなければ領主様につき出す」
ポールは意地汚く笑いながら手を出した。




