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薬の番人、旅をする  作者: 田上 祐司
番人の涙 編
58/78

第57話 

 襲撃の翌日。

 荒れに荒れた村を片付ける村人を尻目に何人かは村の中央に集まって来ていた。


 「負傷者はかなりのもんだ……死人もな」 


 顔を伏せながらそう話すマブト。

 声に全くはりが無かった。


 「連れてきました」


 「ご苦労」


 そんな時、賊を追いかけていたロレッタが人間を引きずるようにして連れてきた。

 そしてロレッタが連れてきた人間を見て、暗かった村人の表情が怒りに染まる。


 「そいつは……昨日の野郎じゃねぇか!!」


 「なぶり殺しにしちまえ!」


 「生皮剥いでやれ!」


 「目ん玉繰り出せ!!」


 口々にそう叫ぶ村人達、だが今は止めなければ情報が引き出せない。


 「ほら、今すぐ吐きなよ。そうすれば僕から彼らに言って助けてあげる」


 「……俺たちは元々傭兵だった」


 表情の消えたロレッタに怯えながら、彼は口を開いた。


 「けど最近戦争も無くて、俺達を雇う人間も減った……だから」


 「村を襲って金目の物をかっさらうか?言い訳にしても糞だな」


 「俺だってやりたくてやったわけじゃない、けどそうしないと俺達も生きていけないから」


 「……もういいからさ。仲間の居場所と数吐きなよ」


 嫌悪の表情を隠そうともしないロレッタ。

 面倒だと言わんばかりに首筋に湾曲した短剣の刃を押し付ける。


 「か、川の河口に拠点を作ってる。数は100人ちょっと……ほ、本当だ!」


 「そう、教えてくれてどうもありがとう。さあ皆さん好きにしてどうぞ」


 「ま、待って!!話が違……」


 怒り狂った村人の前に彼を突き出すとすぐさま全員で取り囲んで殴る蹴るの暴行を加え始めた。

 断末魔の悲鳴を聞きながら、アダン達は今後の事を考える。

 

 「100人か、結構な数だな。傭兵崩れとなればちょっとは腕も立つだろうし」


 「けど腹は決まってるだろ?アダンちゃん」


 「勿論だ」


 連中を潰す。

 アダンの頭にはそれしかなかった。


 「俺達もいくぞ。死んでった奴らのかたき討ちだ」


 「分かった。武器はあるか?」


 「農具とかだが……あとは木の槍とかだな。ところでアンタら一体何者なんだ?」


 「ただの旅人さ。ちょっとばかし腕に覚えのある」






 「あの子は死ぬ必要も理由も無かった」


 剣を研ぎながら、装備を確認するヘルガがいた。

 短剣4本、そして胴を覆う鎧が一つ。

 この鎧は布を膠で何枚も張り合わせたもので見た目以上に強度がある。

 彼女は一通りそれらを確認し終わると装備していく。 


 「貴方の仇、私が討つわ」


 彼女の蒼い瞳には爛々と憎悪の炎が燃えていた。

 

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