第45話
攻勢は2週間にわたって続いた。
最後の日、革命党のいる廃城の周囲は軍によって包囲され地下通路の出口も塞がれ、逃げることすらかなわない状況……
「こうなれば全員で突撃して目に物見せてやろうぜ」
バレリオが皆に向かってそう叫んだ。
周りもそれに同調していたがただ一人、アダンだけは違った。
「いや、逃げよう」
「なんだと!?お前正気か!?」
「ああ正気だ。このまま全滅するよりも誰かが残って総統の意志を伝えた方がいい」
「……」
「一人でも多く生き残れ!!自決は許さん!!」
「貴様等の主は何処にいる?」
廃城からの脱出、それは殆ど叶わなかった。
逃げ出した者の多くは殺されるか捕まって捕虜になった。
そして捕虜になった者の中には……
「アダン。お前はこいつらの司令塔だろう?いい加減吐け」
アダンも居た。
敵軍の司令官と思われる男に廃城の中で尋問の真っ最中。
縛られているが他の捕虜も同じ場所に集められている。
「ッハ。お断りだ。どうせ吐いても殺されるんだろうからな」
「……」
彼はふぅとため息を吐いた後、一枚の羊皮紙を出してアダンに見せた。
「……なんだこれは」
「お前は文字が読めるだろう?まあいい、これは命令書だ。お前達の言う『総統』以外は出来る限り捕虜にせよ、そして捕虜になった人間は殺さないようにとな」
「は?」
彼の上官が命令したのだろうか?
なんにせよ意味が分からなかった。
それに何故か彼が憐れむような視線を向けてくるのにも違和感がある。
「お前も、お前の味方の命も保証する。だから総統の居場所を吐け。我々の目標はそれだけだ」
「だから吐かないと何度も」
「おい、あれ持ってこい」
一向に居場所を言わないアダンに痺れをきらし、司令官は部下に言って一冊の冊子を持ってこさせた。
「よほど慌てて逃げたんだな。こんなものを置いて逃げるとは」
「何だそれは?」
「廃城の…倉庫の中に保管されていた。『顧客名簿』だ」
「名簿だと?」
彼はぱらぱらとめくって見せてくるが書かれているのは名前のみで確かに名簿で間違いなさそうだ。
「例えばこれアルノー・リオンヌ。名前に聞き覚えは?」
「……知らんな」
「貴族だ。この国の辺境伯」
「俺が殺す予定だった男か?」
「今我々が逮捕している。芥子の売買でな」
「何?」
アダンの表情が変わった。
「お前の組織は薬の売買に手を出していた。というより殆どそっちが本業だ」
「……」
「組織が保有する土地のいくつかは芥子を育てるための畑になっていた。革命などするつもりなどおそらく総統の頭にはない。貧困層に薬をばらまき、ただただ国を腐敗させていただけだ」
「そんな……」
「おい、この近くにあるこいつらの畑はどこだ?」
近くの仲間を呼び地図を広げる彼。
アダンが唖然としている中、一言二言言葉を交わし、向き直る。
「証拠を見せてやる」
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