第43話
「なんだこれは?地図にないぞ!」
森の中を歩く兵士が不満の声を漏らした。
彼らが見ている地図には恐らくこの森の地形などが記載されているのだろうが……
「何だこの石壁は!?」
目の前に広がるのは人工的に作られた石を積み上げて作られた壁、それが廃城を取り囲むように作られている。
おまけに……
「見ろよ、これ」
兵士が地面を指さすと落とし穴が作られていた。
木の杭が底に設置され落ちれば足や体を貫くもの。
今見つけたこれのほかにも大量の落とし穴やその他の罠が設置されている。
「皆足元に気を付けろよ」
それから味方が悲鳴をあげるまで、さほど時間はかからなかった。
「ぎゃああああああッ!!」
鮮血と切り落とされた腕が宙を舞い余りの痛みに悶絶しその場に座り込む兵士。
その眼前にいるのは砂金の如く輝く髪をなびかせる美しい女。
「相手は女一人だ!打ち倒せ!!」
手にした剣を女の頭蓋に叩きつけんと迫る彼ら。
だがその剣が届くことは無かった。
「ギャッ!?」
「ガァッ」
「おのれッ!!」
女の得物は切っ先の無い長剣。
それを力任せに凄まじい速度で振るい、兵士たちの腕や足を切り落としていた。
近づけば斬られ、引けば踏み込みながら斬られ森の中に悲鳴が木霊する。
「ええい糞!!」
「頭を低くしろ!射られるぞ!」
別の部隊、廃城の右側面に回り込んだ部隊は矢を射られ攻撃されている。
木の上から矢が飛んできてはいたが、正確な場所は分からずにいた。
狙われているのはこの場を指揮している隊長や恐怖心を和らげようと激励する者。
それらは悉く頭を射られ射殺、そうでない者は足を射られた。
「どう動けばいいんだ!?隊長!!」
「後退だ!後退しろ!早く!」
「急かすな!罠が……」
足が糸に引っかかり無数の杭の付いた板が顔面目掛けて飛んでくる、穴を踏み仕掛けられていた板が持ち上がり胸を杭が刺す。
見えない敵から射られ、敵を探すのに注力すれば罠に引っ掛かる。
かといって逃げようにも罠が邪魔で速度が落ちる。
散々だ。
「話が違うぞ!こっちが圧倒的に優勢なんじゃなかったのか!?」
「無策に突っ込ませた上が悪いんだ!!」
彼等は口々に不満を吐き捨てた。
この日、戦死した隊長格は20名を超え負傷者は200名以上。
兵士達は圧倒的数で勝っているにも関わらず森の外へと押し返された。
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