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薬の番人、旅をする  作者: 田上 祐司
硝子の街 編
42/78

第41話

 「で?お前の目的はなんだ?なぜこの阿保を拉致した?」


 子豚の丸焼きを手際よく切り分けていくバレリオへ不機嫌そうに尋ねた。

 

 「お前、この街に来る前黒服の奴等を襲っただろ?」


 「黒服……?」


 少しばかり思案してみた。

 街……来る前……

 兎と火種を台無しにした男達。


 「あいつらか」


 「あれは俺の仲間でな。そんな目に合わせた奴は一体誰だと聞いたらお前と風貌が一致した」


 「あれは女の子が襲われてたから助けただけだ」


 「あれは俺たちの商売なんだがなァ……まあいい、その後帰ってきた愚図共に話聞いたらお前と似たような顔だったって言ってな。だからお招きしたわけだ。こいつを使って」


 食事に夢中なマブトの背中を叩き彼は激しくむせ混んだ。


 「普通に呼んでくれよ」


 すまんな、と大笑いするバレリオ。

 その後ろではあからさまに敵意をむき出しにしている仲間の姿があった。

 壁に顔面を叩きつけられた二人などは怪我も相まって酷い表情を浮かべていた。


 「おかげで恨み買っちまった」


 座りながら不服そうに仲間を指さす。


 「お前等ァッ!!今日の事は水に流せッ!!いいな!?」


 「「「はいッ!!」」」


 椅子から立ち上がったバレリオが仲間にむかって一喝。

 全員がにこにこと景気のいい作り笑いを浮かべだした。


 「さてと……おめぇら全員どっかに行ってろ」

 





 「で、そこの男はなんだ?友達か?」


 「ただの連れさ」


 人払いをしたあとバレリオは食事に夢中なマブトを指差した。

 

 「あーすまんすまん。けど美味い飯だな」


 ようやく顔を上げた時には口の端に食べかすを付けていた。

 とはいえ夢中になるのも分からなくはない。

 それ程用意された食事は興味と食欲を誘うもの。

 かくいうアダンも詰め物をした鶉に興味津々だ。


 「で?俺を呼んだ理由は?」


 「俺達の仲間になってくれ、アダン」


 食事の手が止まった。


 「お前、まさかまだ……」


 訝しげに見つめるアダン。


 「勘違いするな、総統の組織じゃない。俺が立ち上げた新しい組織で名前を『ムエルト』って言う」


 「残党もいるんだろ?どうせ」


 「いないと言えば嘘になる。俺が束ねていた親衛隊、その残党48名が入ってる」


 「……一体何をする気だ?」


 「組織が壊滅して俺には目標が出来たからな、それの実現の手助けをしてもらう」


 「あのー……」


 おずおずと手を上げてきたマブト。


 「あんたらの言う組織って何?であんたらはなんで薬の番人って呼ばれてんの?」


 マブトの言葉に、二人は顔を見合わせた。


 

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