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薬の番人、旅をする  作者: 田上 祐司
硝子の街 編
37/78

第36話

 さて、火をつける方法は色々とある。

 火打石、板に棒をこすりつけるやり方、弓で棒を回してつけるやり方などだ。


 「糞おおおおお全然火がつかねぇええええええええ」


 「早くつけてくれよー。いつまでたっても飯食えないぞー」


 道端に寝っ転がったアダンが茶化す。


 「手伝えよ!!」


 今マブトが行っているのは板に棒をこすりつけるやり方だ。

 もっとも煙すらまだ出ていないが。


 「だぁッ!!やってられるかよ!!糞!!」


 「早くしてくれ」


 「アダン!!お前は飯取って来るって言ってただろうが!何処に飯があるんだよ!!」


 今アダン達は毎度おなじみの野宿の最中だった。

 日が暮れる前になりアダンは食料確保、マブトは寝床と火を担当している。

 寝床は比較的早く作り終わったが火が付かず彼はいらいらしていた。

 おかげで今もこうしてアダンに当たっている。


 「飯?ほれ」


 「……ごめんなさい」


 後ろに隠していた兎を2匹出すと彼はおとなしくなった。


 「もういっそ生で食わない?」


 「腹壊すのは御免だ。仕方ない俺に貸せ」


 結局アダンがすぐに火をつけにかかった。


 「ほう……手慣れたもんだな」


 「だろう?じゃこれを……」


 できた火種を草に移そうとした時だった。


 「うぉッ!?」


 「何だあ!?」


 火を移そうとした瞬間突然馬蹄の音が鳴りひびき、アダン達の目の前を凄まじい速さで馬が駆け抜けていった。


 「くそったれ!!火種が!!どうしてくれるんだ糞野郎め!!」


 「ああ兎も!!踏み散らされて……待ちやがれ!!」


 食事と火種を消され恨みのこもった視線を向けると一騎の白馬を追いかける三騎の騎馬……


 「おいアダン!!追いかけようぜ!!」


 「おう!!あの馬食ってやる!!」


 




 「待て!!止まれ!!」


 「止まるわけないでしょう!!この馬鹿野郎共!!」


 白馬に跨り追いかけてくる者達を罵る一人の女……

 そして後ろからは黒い頭巾で顔を覆い隠した者が黒馬に乗って追いかけてきている。

 

 (このままじゃ追いつかれる!!)


 そう思った時だ。

 

 「うわぁッ!?」


 「何!?」


 黒頭巾の一人が素っ頓狂な声を上げながら盛大に落馬した。


 「誰だきさ……」


 次は喋っている途中で落馬。


 (矢……?)


 不思議に思いながら落馬した黒頭巾を見る。

 人間に異常は無いが問題は馬だ。

 倒れた馬の後ろ脚に深々と矢が突き刺さっている。


 「「待ちやがれ!!このくそったれ共!!」」


 視線を前に戻した瞬間。

 恨みと怒気のこもった男の声が二人分、完璧に合わさって聞こえてきた。

 

 「何だ貴様等!!」


 「そりゃあ!!」


 「なぁッ!?」


 彼の言う事など聞く耳持たず。

 黒頭巾の頭に、並走してきた何者かが麻袋を被せてきた。


 「前が見えな……ギャアアアア!!」


 「じゃあな!!」


 頭に麻袋を被せた後、馬の腹を思いっきり蹴り上げ暴走させると態勢を崩した黒頭巾はあっさりと落馬した。


 「な、なにアンタ達?助けに来てくれたの?」


 「いいや違う」


 女の問いに怒気を多分に含んだ声で返す男。


 「「俺たちの飯を返せ!!」」


 二人の声に女の乗っていた白馬が盛大に暴れた。

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