第12話
とある鉱山都市にて。
「ああ……疲れたぞ全く」
「ああその通りだ。全く」
日銭を稼ぐ為に鉱山で銀の採掘をしていたアダンとマブト。
その日の仕事が終わった二人は鉱山の近くにある食堂に来ていた。
「仕事が終わって飲む酒は美味い」
「おいアダン。あんたの番だぞ」
採掘に使う道具を足元に置きながら二人は土まみれの手で葡萄酒の入った素焼きの盃を呷る。
そんな疲れきった二人だが休憩しつつちょっとした賭けをしていた。
水を入れた湯飲みに硬貨を交互に入れこぼれたら負けというものだ。
「そんでもってマブト、ここに来る前のあの話。本当なんだろうな?」
「ああ、うん。そりゃね……」
数時間前……
「ああクソ。やっと撒いたぞこん畜生」
「お馬ちゃんありがとう。本当にありがとう」
アダンの次の目的地であった鉱山都市まであと少しという所でようやく追っ手を振り切った二人。
満身創痍の馬を降り、感謝の言葉を投げ掛けつつ馬体を撫でる。
「なあアダン。俺もお前の旅に付いてっていいか?」
「は!?何言ってんだお前!?」
マブトの口から出た言葉にアダンは思わず目を見開いた。
「俺もあの件で失敗したから恨み買っちまってな。戻ったら殺されかけた」
「そうならなかったのが残念で仕方ない」
「まあまあ。けど、悪いとは思ってるんだ。これからは心を入れ換えるから頼む!役に立つぜ?俺」
「…………」
「次裏切ったら熊のいる森に裸で放り込んでやる」
「あらやだ!私を裸にひん剥いてどうするつもりよ!」
「…………」
「悪かったよ。そら、お前の番だ」
冷ややかな視線を向けられ、マブトは思わず視線を湯飲みに向けアダンに次を入れるよう促した。
「ああ……」
そうして硬貨を入れようとした時だった。
いきなり横から白く綺麗な手が伸びて来たかと思うと湯飲みに硬貨を入れてきた。
水はすでに一杯一杯だったが、これで水は溢れだしてしまった。
「ああ、負けね。やっぱり賭けはしないほうがいいわ」
「誰だ?ってうおお!?すげぇ美人!!」
とても澄んだ女性の声だった。
声のする方に視線を向ける二人。
声の主を見たマブトは思わず目を見開いた。
「久しぶりね。アダン」
その女性はこの場にいるのが不釣り合いに思えるほど美しかった。
透き通った白い肌、深く澄んだ蒼い瞳、白金のような流れる髪……
その場にいる誰もが言葉を忘れ彼女に注目している。
「……ヘルガ」
「え?何?お前この美人なお姉さんのお知り合いなの?」
「ああ。この女の名前はヘルガ。俺と同じ組織に属していた人間で生き残った『薬の番人』のうちの一人だ」
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