第十七話 光と闇
リオは『セインプファイル』が飛んできた方向へと『ウィンダムフライ』で空を飛び、向かう。
念のためリオは剣を鞘から出して、カリューも剣の中に戻っている。
「主人、このあたりだ....警戒しておけ......」
「ああ....」
着いた所は林の中だった。隠れられる場所も多々ある。
リオは目を閉じ気配を探し出すことに集中する。
すると、気配のない方向から『セインプファイル』が襲いかかってきた。
「主人後ろだ!」
カリューの声でやっと気づく。
リオは声を聞くのと同時にかわし、飛んできた方向へ無詠唱で容赦なく火属性の高位魔法『プロミネンスエクリシス』
を唱える。
太陽のような巨大な火の玉が形成され放たれる。
ゴォォォォォ....
と大きな音を立て一面焼け野原になるが....
「ほうほう、《紅の騎士》流石ですね....あの広い林を一面焼け野原にするなんて、普通の若造じゃあんなの唱えられませんよ、しかも、無詠唱で高位魔法を唱え、魔法を二重展開ですか....少々侮ってました」
いつの間にか後ろに黒いコートを着た男が拍手をしてリオと同じ高さまで飛んできていた。顔はよく見えないがフードの正面の真ん中には蛇と剣のマークが書かれていた。
「お前が!お前が!!故郷を滅ぼした!!!」
怒りがどんどん増してくる。
「主人!落ち着け!怒りに呑まれるな!」
カリューの一言でハッと我に返る。
「おお、怖い怖い、そんなに怒んないでくださいよ、せっかくのクールな顔が台無しですよ」
「うっせぇ....カリュー、いくぞ!」
リオがカリューの返事を待たずにすぐさま斬りかかる。
が、空を裂く音が鳴り響いた。
「危ない危ない....おや、その剣....剣霊ですか....ちょっと面白くなってきましたねぇ!いいでしょう!戦いましょう!」
そう言うと男も剣を出した。独特なデザインの刀身も含め全身真っ黒な剣だ。
「主人!あの剣!剣霊だ!!」
「剣霊!?」
「あの黒い剣.....ネグロか!」
「おお!よくわかったねぇ〜、久しぶりぃ〜、カリューちゃんっ!」
剣から少女が出てきた。黒い長髪に何をも染めてしまいそうな漆黒の瞳だ。鋭い目つきは針のように刺さりそうだ。
「ネグロ!お前.....!」
「あらあら、お知り合いでしたか。カリューというのですか!とても可愛らしいお名前で!では、早速殺らせて頂きます!」
一気に間合いを詰めて斬りかかってくる。
「主人!ネグロに斬られると魔力が吸い取られるぞ!今すぐかわすんだ!」
リオは攻撃をかわした、と思ったのだが
「くっ....」
リオの腹部に激痛が走った。
「主人!」
「あ〜、斬り心地がいいですねぇ!」
斬られた!?確かにかわしたはず!
剣と腹は相当の幅があった、かすりもしない範囲だったはずだ。
腹からは赤黒い血がどんどん溢れ出てきている。血の出すぎか視界がぼやけてきた。
リオは即座に回復魔法を唱え傷口を塞ぐ。
「主人!あれは剣技の一種だ!」
「お〜、カリューちゃんよくわかったねぇ、速くて見えてないと思ってたんだけどなぁ〜、流石私を殺した人だねぇ〜」
「見えるわ、その速い動きは剣霊になっても変わらないな....」
「剣霊なっても!?どういう事だ!」
「主人!説明は後だ!早く殺るぞ!」
回復が終わったリオはカリューの合図で男へと突っ込む。
ガキィン!!
剣と剣が交差し、火花が飛び散る。
「さぁ!後生き残りはあなただけです!3年前は逃がしてしまいましたからねぇ!」
「お前、何が目的だ!」
剣を交えたまま男に聞く。
リオにはただ無差別に殺しているようにしか思えない。
「目的ですか?そんなの私が楽しいからという理由に決まってるじゃないですかぁ!この子も楽しそうですし♪」
ネグロの剣からはずっと不気味な笑い声が聞こえる。
「そんなもののために!!みんなを殺したのか!!」
「そんなものとはなんですか!私にとってはこれが生きがいなのですっ!」
そして剣お互いの剣が止まる。
「もう一度聞くぞ....なんのために仲間を殺した!」
「さっき言った通りですよ」
その声を聞いた瞬間リオは男の頭へと剣を叩き込む。
「ほう....やりますねぇ」
男は剣で防御したものの、地面へと叩き落とされる。
そして、リオは急降下し地面にいる男に追撃を加える。
男はその攻撃を全て剣で捌いていく。
「主人!剣技を使え!」
すぐにリオは剣技『エペ・ルス・ルークス』を使う。
「光属性の剣技ですか!それでは私は闇属性で!」
男は闇属性の剣技『エペ・オスクロ・オプス』を使う。
「カリュー!いくぞ!」
「ネグロさん!殺っちゃいますよ!」
光と闇がぶつかり合う、
「カリューちゃんやるねぇ〜、私もうちょっと本気出そうかなぁ〜」
ネグロがそう言うと闇の力がいっそう強くなる。
「昔よりは強くなったじゃないかネグロ...!」
カリューも光の力が強くなる。優しく包み込むような光だ。
「おもしろくなってきましたねぇ!──ん?」
男へとどこからかやってきた大量の魔法の矢が降かかる。
「ネハル王国第一警備隊だ!抵抗を辞め、今すぐ同行願います!」
勇ましい男性の声が二人の戦闘の間を横切る。
ネハル王国第一警備隊。ネハル王国の警備隊の精鋭だ。
「警備隊ですか....少々めんどうですね、今日はこの辺にしときますか....あなたに死なれると私の楽しい遊び相手が居なくなってしまいますからねぇ!殺す機会はまた次としときましょう!行きますよ!ネグロ」
男はそう言うと気配を完全に消して林の中へと消えていった。
「逃げられたか......大丈夫ですか?」
警備隊の隊長らしき男性が話しかけてきた。
「大丈夫です、ありがとうございます。なんでここで戦ってるとわかったのですか?」
すると、男性は後ろを振り向いた。
そこにはニクスが笑顔で元気よく手を振っていた。
「あの方が避難を呼びかけてくれていまして、そしたらあなたが林の方で戦ってると聞いたので。お若いのに無茶をしましたね、この状況で死ななかったのは運がよかったからです。もう無茶はしないでください、これ以上国民が死ぬところは見たくありませんから」
寂しそうな顔をして忠告する。
過去に何かあったのだろう。
「すいません、気をつけます」
運がよかったのは確かだ、腹部の傷も完全には癒えていない、このまま戦っていたら間違いなく殺られていただろう。
「全隊員!帰投!」
「「了解!」」
隊長の一言で全隊員が、帰っていった。
「やっぱ警備隊はかっこいいよな!」
ニクスが元気よく話しかけてくる。
「ああ、そうだな。....なあニクス....ありがとな」
「ありがとうなんて言うなよ!当然だろ?親友を助けることなんて」
「いや、それでも、ありがとな、あのままだと間違いなく死んでた」
「おうよ!」
ニクスは笑顔を絶やさない。
「主人....家に帰ったら話がある」
カリューはそう一言言うと家に帰るまで一言も話さなかった
第十七話です!
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