第十三話 これが日常②
その後リオとニクスはクラスへと向かう。
「あっ!ファミエくん!おはよう!」
綺麗に整えられた青髪のツインテールがゆらゆらと揺れている。
「おはよう!エリル!......と、ノール」
エリルの後ろでカールがかかったツインテールが横からちらっと出ている。
「リオ!!あなた!私と決闘よ!!」
出会うといつもこれである。
『決闘』
マギアール魔術学院では毎年、生徒会の役員を決めるためにこの決闘の勝利数で決定する。
決闘では両肩にバッジ付ける。このバッジを壊す、又相手を気絶さた者が勝利だ。
決闘を行うためには担任の教師に申請を出し、学院内の決闘場で行わなければならない。
一日に一回決闘を申し込める仕組みなのだが、彼女は毎回リオに決闘を申し込んでくるのだ。
申し込まれた者は必ず応じないといけないという規則がある為リオは断れない。
リオは生徒会に入る気は全くないのだか彼女との決闘で勝利数はトップである。
「あの、もう許してくれませんかね....」
まあ無理だろう。今までもこう言ってきたのだが....
「もうそれ言うの辞めたらどうですの?もう何も聞かないということは分かっているのでしょう?さあ!決闘を始めますわよ!」
勝ったことないのに....懲りないなぁ....
「主人....もう彼女の攻撃パターンは読めたぞ....もっと他の人と戦いたいのだが....」
いい加減カリューも飽きたようだ。つまらなそうなあくびを含んだ声が剣から聞こえる。
「そう言うなって、一応特訓の実践みたいになってるんだし」
リオは普段特訓して、新しく考えたことを彼女で毎回試している。いい練習台だ。
「何を独り言言ってるんですの!早く決闘しますわよ!」
そしてリオは決闘場へと連れてかれる。
─────決闘の結果は....いうまでもなくリオの勝利である。
約数十秒である。リオの一方的な戦闘であった。
ノールは一歩も手を出せずそのままバッジをこわされてしまったのだ。
「なんでですの!なんで勝てないんですのぉぉぉ!!」
教室に帰ったあとノールは這いつくばってずっと喚いている。
「おいおい!リオ!お前またやったのか!」
『また』そう日課なのだ、これが毎日なのだ。流石に辞めて頂きたいと思うのだか、彼女にもプライドがあるらしくどうしても辞めて貰えない。
「あの....ほんっと!うちの姉がご迷惑をおかけしてます!!一時限目の授業、受けられなかったんですよね?本当にすいません!」
そして、毎度のようにエリルは恐縮して何度も謝ってくる。まるで間違った娘を正す親のようだ。
どうしたら双子でこんなにも性格が変わるのか.......
「大丈夫だって、毎日のことだし、もう慣れたよ」
流石に毎日決闘を申し込まれると慣れてくるものだ。
「よし!次の授業は魔術だ!全員外の決闘場へ集合だ!実際に魔術を展開して授業をする!ほら!全員教室から出てった出てった!!」
フローリエ先生が全員を外に出させる。
二時限目、魔術の授業だ。
六時限目にも魔法という授業があったが魔術と魔法は別物である。
「さあ!二時限目は魔術なのだが、まず質問だ!魔術と魔法の違いは何だ?じゃあ....エリル」
暫く色々な人を見たあとエリルを指す。
「は、はい!えっと....魔術と魔法の違いは、魔術には論理があります。魔法には論理がなく何故この詠唱をすれば魔法が展開するのか解明されていないもの全般を言います」
「よし。ほとんどあってるな。追加で殆どは解明されておらず魔術、魔法を言い分けるのは面倒なので一般では全て魔法と呼ばれている。という説明を入れておくといいな。今日の授業だが──────」
やがて昼休みにはいった。
「ファミエくん!よかったら私とお昼ご飯食べない?」
何やら弁当を持ちもじもじとしながらエリルが聞いてくる。
「別に俺は構わないよ、あっ!おすすめの場所があるんだ、そこで一緒に食べない?校舎から10分程離れた場所なんだけど....」
「10分ほどか....私、移動で時間取っちゃいそうだけど大丈夫?」
「大丈夫、俺が連れてくから!ほら!行くぞ!」
そう言っていきなりエリルの右手を引っ張り校舎の窓から飛び出る。
「ちょ、ファミエくん!」
そして、『ウィンダムフライ』を唱える。
「少し飛ばすぞ!」
そう言ってリオはスピードを上げる。耳に風の音が唸る。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
なんだなんだ!と、生徒の皆が反応するが視覚の妨害魔法を唱えているので彼らには何も見えていない。
光を屈折させる魔法だ。
『ウィンダムフライ』を唱えているところはできれば見られたくない。
『ウィンダムフライ』は軍などの者が取得する。軍用魔術だ。見られてしまったらひとたまりもない。
「主人も大胆だな...」
カリューが小声でリオには聞こえないように呟いた。
「ん?カリュー、なんか言ったか?」
「何も言ってない!」
数分で目的地に着いた。とても眺めのいい綺麗な丘だ。近くに景色を遮るものが一切ない。
「綺麗な丘だね、ファミエくん」
「だろ、綺麗だろ?でも、綺麗なのはこれからだ!」
そう言うとリオは遠くにある林を指さす。
そして、しばらくすると......
林の奥から水しぶきがあがり虹が浮かび上がってきた。
現実的な事を言えば林の木へ定期的にこの時間に水をあげているだけなのだが.....
「わぁ!綺麗!」
エリルは目を輝かせて虹を見ている。
「な?綺麗だろ?以外と気に入ってんだよね、この場所。日常が感じられるっていうか......落ち着くんだ......それじゃ、早く飯食おうぜ!俺もう腹が減って、さっきからずっと腹なってんだよ!」
リオは胡座をかいて座り、膝に持ってきた弁当を乗っけて広げる。
エリルもゆっくりと座り弁当を出す。
「カリューも見てみろよ!綺麗だろ?」
弁当を食べながらカリューを呼ぶ。
すると、カリューが剣の中から出てくる。
「確かに綺麗だな!さっきの主人の心の声が聞こえなければな」
さっきの心の声....?
「あっ....いや、違うあれはだなぁ....」
必死に理由を考えるが思いつかない。
「カリューって、剣霊の女の子のことですか?」
不思議そうにリオを見つめる。
「あ、ああ。剣霊だよ、こいつにもこの景色見せてやりたくて....」
するとカリューの顔がゆでだこのように赤くなる。
「しゅ、しゅじん.....!」
「ファミエくんは優しいんだね!ファミエくんは剣霊のカリューちゃんのこと好き?」
すると、さらにカリューの顔が赤くなる。
「もちろん!俺は好きだよ!なんたって3年間一緒に過ごしてきた家族みたいなもんだから!」
リオは清々しい笑顔でかえした。
もう、カリューが何も言えなさそうに俯き真っ赤になっていた。
「しゅ、じ、じ、ん!そんな、こ、こといっても、な、な、んにも、でないぞ!!」
カリューは軽くパニックになっている。言葉もちぐはぐしていてうまく聞き取れない。
「別になんも貰おうとなんてしてねぇよ!」
「ふふっ、大体どんなことを話しているのか予想できるわ、二人とも凄く仲がいいんだね!」
エリルも何故か嬉しそうにしていた。
─────そして30分ほど経過した。二人は弁当を食べ終わり、カリューも落ち着き剣へと戻ったようだ。
今は疲れたのかゆっくりと寝息をたてている。
「さあ!授業が始まっちゃうよ!ファミエくん!早く帰ろっ!」
エリルが立って手をこちらへ差し伸べてくる。
「よし!じゃあ戻るか!」
エリルの手を取り立ち上がる。
「次の授業は...歴史だ....苦手教科.....」
リオはジープ帝国の歴史はわかるもののネハル王国の歴史なんてわからない。
なのでリオは歴史が一番苦手なのだ。
「へぇー、ファミエくん歴史が苦手なんだ、私が教えてあげるよ!まだ昼休みあるし、早く教室に戻ろ!」
「おお!教えてくれるのか!ありがと!じゃあ、戻るか、ほら早く手を握って!また、空飛ぶぞ!」
そう言って今度はリオがエリルの手を引っ張り空を飛んでいく。
「うん!ファミエくん!今日は色々といいもの見せてくれてありがとう!楽しかったよ!」
────それを覗き見している、ニクスとノール。何故この場所が分かったのだろうか。
「くぅぅぅ!!リオの奴羨ましいぜ!あんな可愛いこと一緒に食事なんてよぉ!!」
「私がいない間に二人は!!」
こちらもこちらでとても仲良くしていた。
これが日常。日常です。
以上!!!




