第十一話 潜む魔の手
─────記憶を遡る───
──綺麗な花畑、奥には男の子と白い綺麗な髪をした美しい女性がいる。顔はぼやけていてよく見えない。
「ねえ!お母さん!これ見て!」
どうやら女性は男の子の母親のようだ。
男の子は無邪気にはしゃいで、手のひらにある大量のどんぐりを見せる。
「あの森で拾ってきた!!」
元気に森の方へと指を指す。
「あら、とっても綺麗などんぐりね」
母親が男の子の持っていたどんぐりをつまんでじっくりと見る。
「これ!お母さんにあげる!」
男の子はどんぐりを全部母親に渡す。
男の子からのプレゼントだそうだ。
「ありがとう。大切にするわね」
母親はどんぐりを大事そうに服のポケットの中に入れた。
すると突然母親が泣きながらこんなことを言った。
「ねえ、リオ.....あなたは元気に育ってね....私は.....もう様子を見てあげられないから.....」
男の子、リオには理解できなかった。
「お母さん?どうしたの?」
リオは問い質す。
しかし、母親は何も答えない。
「リオ、疲れているでしょ?お茶でも飲む?」
急に話題を変えられる。
母親は何事もなかったかのように普段通りに聞いてくる。
「飲む!」
リオは無邪気に言う。
母親は持ってきたカバンからティーセットを取り出しお茶を入れ、リオに差し出す。
リオはそのお茶を一気に全部飲んだ。
「リオ.....元気に生きてね...,」
それを聞いた瞬間、リオは凄い眠気に襲われる。
「おかあ....さん....」
────そして、リオは目が覚める。
ふかふかとしたベットの上だ。しかし、リオの家のベットではない。とてもふわふわしていて寝心地が全然違う。
「主人!!」
目の前ではカリューが安堵の表情を浮かべている。
「主人!無事でよかった!あれから、主人が倒れたあとフローリエ先生が運んでくれたんだ」
首だけを動かし周りを見渡すと一面真っ白な家具で囲まれていた。
「ところで、ここは...?」
リオは見慣れない部屋を疑問に思い聞く。
すると....
「おう!ファミエ!目が覚めたか!」
フローリエ先生が部屋に入ってきた。
そのことで、自分が今どこにいるかがだいたい理解できた。
どうやらフローリエ先生の家らしい。
にしてもとても広い、さすが元軍人だ。
「フローリエ先生、ここまで運んでくださりありがとうございます」
起き上がり先生にお礼を言う。
「お礼はいいからまだ寝てろ、正直まだ歩けそうにないだろ?今日はここに泊まっていけ」
壁にある時計を確認する。
時計の針は午後の6時を指していた。
数時間寝てしまっていたようだ。
「はい...今日は泊まっていきます。ご迷惑をおかけします」
無理をしたため今は全く動けそうにない、言葉に甘えて泊めさせて貰うことにした。
「先生、あの後男の子とその父親は....?」
今一番聞きたかったことを聞く。
「ああ、その事か男の子は親族に引き取られたよ、母親は昔に亡くして二人で過ごしていたらしいからな」
「そうですか.....」
「で、その悪魔化を起こした原因なんだが....なんでも黒いコートを着た男になんかしら唆されたそうだ。そして、魔法限界までを使ってしまった....」
『黒いコート』
リオの国を滅ぼした反乱軍も同じようなコートを着ていた。
「実際、悪魔化した男が黒いコートを着た男と話していたという目撃情報が多数でてきた。男の子も横から何やら話をしていたのを見ていたらしい」
「そのコートを着た男はどこへ向かったんですか?」
リオは少し怒りを込めて聞く。
「そいつはジープ帝国の方へと向かったそうだ、最も何が目的でこのようなことをしてジープ帝国へ向かったのかよく分からんがな....」
リオにはだいたい分かった。やはりそいつは反乱軍の一人だ。リオを誘き寄せるためにこの国で問題を起こしたのだろう。
どんどん怒りが込み上り殺気が増していく。
リオの周りには漆黒のオーラが漂ってきた。
「ど、どうした!ファミエ!」
先生が殺気を感じたのか直ぐに反応する。
「主人!怒りを抑えろ!今は追いかけても何もできん!」
カリューがリオを宥める。
確かにそうだ、今追いかけても相手の手のひらで踊るだけだ。そもそも、この体の状態で数人で軍を壊滅させた一人と闘って勝てる気がしない。
「だけど、カリュー!今が復讐のチャンスだろ!のこのことあっちから現れてくれたんだ!!!」
殺気がどんどんと増す。
我を忘れかけていた時だ...
「主人....」
カリューが目に涙を浮かべてゆっくりと歩み寄りリオを抱きしめる。
「主人...落ち着け....落ち着くんだ....」
カリューはいっそう強く抱きしめる。
「っ!」
リオの頭の中にある記憶がフラッシュバックする。
「リオ....」
父親、クロオス・ファミエだ。
父はよくリオが泣いているときや困っている時に何も言わずによく抱きしめてくれた。
リオはわれにかえる。
カリューは何も言わずにずっとリオを抱きしめている。
「カリュー.....ありがとう......もういいよ.....」
リオの殺気はすっかり消えていた。
「主人....チャンスはいくらでもある....もっと強くなってから挑めばいいだろう.....」
カリューがリオを抱きしめる手をいっそう強くし話す。
「そうだな....ごめん....心配かけた.....」
カリューは怒りが収まったことを確認して抱きしめていた手を離す。
リオは謝り、起こしていた体を横にする。
「ファミエ、お前いい剣霊に選ばれたな」
フローリエ先生はいつの間にか構えていた、鞘から抜いていない剣をおろして言った。
「はい、フローリエ先生、先生の家だというのに我を忘れてしまって....すいませんでした」
リオは恐縮して先生へ謝罪する。
「別にいいんだ、結局なにもしていないんだし。そんなつまらない話なんてしてないで!早く飯にしよう!ほら!ニール、カリュー!デザート大量に用意してあるぞ!」
「「デザート大量!!!!」」
ニールとカリューはすぐに反応し部屋の雰囲気ががらっとかわる。
「リオはそこから動けないだろ?飯は私が持ってきてやろう」
フローリエ先生はそう言って食事を取りにいった。
ニールとカリューもその後をぴょこぴょこと嬉しそうについていった。
黒いコートを着た男....
なぜ、俺がこの国で生きているのを知っているんだ!
他にも疑問が残ったが、リオは考えるのを辞めた。
今は学生だ、軍でも警備隊でも騎士団でもない。
だから今はまだ闘わなくてもいい。
もうしばらくしたら皆殺しにできるのだ。
リオはそう心に言い聞かせる。
「おう!ファミエ、持ってきたぞ!」
「主人!ここのデザート!最高にうまいぞ!!」
フローリエ先生とカリューが食事を持って部屋へきた。カリューに関してはとても嬉しそうだ。片手にチーズケーキを持っている。
「先生、わざわざありがとうございます」
「いいんだよ!明日には回復するんだろ?明日も学校だから早く食って寝ろ!」
先生はそう言うと食事を置いく。
「それじゃ、おやすみファミエ、食事は食い終わったらそのままでいいからな!メイドに片付けさせるから」
メイドいるのかよ!?
どんだけ金持ってんだ、この先生....
フローリエ先生の懐の暖かさに驚く。
「は、はい!おやすみなさい!今日はありがとうございます!」
フローリエ先生はリビングへ向かった。
「主人....今は我慢するんだ....その時になったら必ず力を貸すから....」
カリューはそう一言、言い残すと部屋を出ていった。
リオは飯を食べたあと、もう一度眠りにつくのであった。
第十一話いかがでしたか?
次は学校のお話ですね、カリュー以外の女性キャラをどんどん出していきたいと思います!
読んでくだりありがとうございました!




