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お仕事終了

今日も立派にお仕事をこなしたルカ君は1人意気揚々と応接室を出る。

他の皆は違約金の示談書等の手続きがあるため、これ幸いと1人だけ出てきたのだ。

あらかじめ書類も作ってあったし、そんなに時間がかかる訳ではないだろうが、ランチ難民になる訳にはいかない。食品通りのカフェは人気店なのだ。朝食も抜いた上にランチまで行列に並ぶ事になったら大問題だ。あまりに大問題過ぎてきっと国際問題になるし、天変地異が起こるかもしれない。雪とか降って10メートル積もる気がする。


廊下を通り過ぎ冒険者ギルドのホールへ出ると正午近い為か多くの冒険者がいた。

ギルド併設の食事処を利用したりパーティーで何やら相談事をしている人達だろう。

うむ。よきかな、よきかな。よく食べ。よく働き大きくなるのだぞ冒険者たちよ。

そんなホールを推定2メートルはあろうかというロングな歩幅でトコトコ進んでいると、こちらに気付いた冒険者達が口々に話しかけてくる。

「きゃーっ!使徒様可愛いっ」

「使徒様今日も幼児だな。」

「あれが使徒?」

「なんだあのチビ。」

「使徒様こんにちわー」

はい。黄色い声援のお姉さんこんにちわ。みんなのアイドル使徒様ですよ。

今日も幼児で悪かったな。いつも幼児だわ。

はい。こんにちわ。

チビって言ったヤツ顔覚えたからな。使徒様は根に持つタイプの使徒様だぞ。

そんな声援の中を出口に向かい進む。今日冒険者ギルドに来ていた人達は幸運だ。プリティ使徒様の可愛いお姿を目に出来たのだから。きっと幸運過ぎて使徒様Tシャツを買いに走ることだろう。末代まで家宝にするがよい。

あれよあれよとスイングドアまで進む。

プリティ使徒様レベルになるとスイングドアすら道を開けるのだ。決して身長不足の為に下の空間を通れる訳ではない。

大通りに出て左右を見渡し、さてどのルートで食品通りまで行こうかと考えていると、後からドタドタと走り寄ってくる足音が聞こえた。


「使徒様っ!」

さっきまで聞いてた声だなと思いながらも振り向いてみれば、そこには案の定異世界トリオと使い魔のオオカミがいた。

「使徒様。ありがとうごさいました。俺ら、異世界に急に飛ばされて自分達は被害者だと思ってて、理不尽の中で頑張ってるのに、この世界は優しくないって思ってて。でも異世界の物語読んだ事あったから、実はちょっとワクワクしてたり。自分達だけが主人公な気がしてたりして」

「私も帰れないのは悲しいけれど、異世界に興奮してました。」

「わたしもー。中世ヨーロッパの街並みが素敵だなーって。」


口々に話す異世界トリオ。

きっと頭の中ゴチャゴチャで何を言いたいかわからないのだろう。

「俺達ちゃんと学びますっ!俺らの年でも学校とか行けるらしいし、ちゃんとこの異世界の事知って、魔法の事学んで、それからしっかり冒険者やりたいと思いますっ!」


私は彼らの言葉を聞き微笑む。

彼らの目には希望の光りが灯っている。初めてみた時の様な理不尽に怯える瞳はもうそこにはない。

きっと今の彼らならばこの世界でも頑張っていけるだろう。


私はペンダントに右手を翳し神に願う。


神よ


コイツら異世界、異世界うるさいんで、ちゃっちゃと送り返せないですかね?

男1女2はバランス悪いんで、男だけ返すとか、女だけ返すとか、どうにかならんですかね?

ちょっと勢い余ってグーで殴りそうなんで、パー通り越してグーでいきそうなんですよマジで。


そんな神聖な事を考えながらもランチの時間が差し迫っているので私は言葉を紡ぐ。

「人よ。学びなさい。仲間を作りなさい。賢くなりなさい。きっと世界は平等だから。」

彼らの使い魔のオオカミを撫でながらイイ感じの雰囲気を出してやると彼らは感動したようだ。


「「「本当にありがとうごさいました。」」」


そんな感謝を聞きながら私は歩きだす。

頭を下げた彼らはきっと気付いていないのだろう。

私の右手に噛み付いたままのオオカミに。




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