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ゲーム転生系異世界人

駄馬を売り損なった翌日、溜まった書類とあーだこーだと格闘しているとリファから来客を告げられる。

「何やらぁ、昨日の3人組がご主人様にお会いしたいそうですぅ。」

相変わらずな喋り方のリファにそう告げられ私はしばし考える。書類仕事と異世界人の相手、果たしてどちらがめんどくさくないだろうか。むしろ二択にする必要は無いのではないか。第三の選択肢である屋敷からの逃亡も視野に入れて考察すべきではないのか。そんな事を考えていると、私の考えを見透かしたかの様にリファが告げる。

「お客様はぁ、ディープについてお話しがあるそうですよぉ?」

何とっ!それならば直ぐに話しを聞かなくては。きっと買取についてだろう。いやそうに違いない。絶対そうだっ!できれば高値、いや贅沢は言わない、買値とトントンでも。むしろ赤字覚悟の大安売りもやぶさかではない。

きっと駄馬も必要とされている所にいるのが幸せだろう。


そんなことを思いながら応接室へと進む。

リファが扉を開けてくれると、そこには昨日見た3人組が座っていた。

立ち上がろうとする3人組を手で制し向かいのソファに座ると3人組はペコりと頭を下げ話しだす。

「昨日は失礼しました。改めまして、私はイワン、隣に座っているのがパーティーメンバーのオルカとラッツです。」

改めて挨拶する3人を見る。青髪はゲームと言っていたので異世界人だろう、オレンジ髪と白髪はどちらかまだ不明だ。ってか白髪は昨日喋ってなかったな、交渉担当か?


「これはご丁寧に。異世界審問官のルカと申します。昨日は予定がありました為に失礼しました。本日は何かご要件がございましたか?」

私は白髪の挨拶にそう返す。また名乗ってだんまりだったらグーパンチしたくなるからな。

「実は大変不躾かと存じますが、使徒様がご購入されたディープという馬をお売り頂けないかというご相談でまいりました。」

白髪エルフが喋り出す。ほうほう、駄馬を買い取りたいと。即座に良いですよ、とは流石にちょっとアレなので、少しばかり会話のラリーをする。


「それはそれは。しかし当家としましてもせっかく手に入れた馬です。いきなりどうぞとは申し上げられません。何故あの馬なのか理由を伺っても?」

私のそんな問いかけに白髪エルフは顔を歪める。考えてはいただろうが、そんなにすんなりとはいかない。


「買った時の倍の値段で買うからさ、売ってくれよ使徒様。」

青髪が会話に横入りしてくる。こういった場が苦手だから白髮が前面に出て来たのではないのかな?

多少気になりながらも彼の言葉に耳を傾ける。

「売却するかどうかはさておき、倍の値段ですと400万Gを超えますが資金は大丈夫でしょうか?」

私の言葉に青髪は動揺して声を上げる。

「なっ!400万Gなんてありえないっ!あの馬は捨て値で売られていたはずだっ!」

彼の言葉に若干うんざりしながらもリファに目配せをする。彼女は一礼してその場を離れる。

「何を根拠にあり得ないと言われているのかはわかりませんが、倍の値段となるとその値段なのです。このように購入時の書類も御座います。」

戻ってきたリファから駄馬購入時の書類を受け取り青髪の前へと提示する。そこには駄馬の評価額が200万Gと確かに記載してある。

あとさっきから気になっていたが、駄馬が庭に面した窓からコチラをチラチラ見ている。何と察しの良いヤツだろうか。アピールしてくるんじゃない。捨て値で売るぞ。


「そ、そんな大金で…。でも確かにゲームの中じゃ5万Gだったのに。」

いや、知らんけど。ってか駄馬売れ残り過ぎだろ。

「使徒様。大変不敬なのは理解しておりますが、何とかならないでしょうか?事はエルフの森の大事にも関わる事なのです。」

白髮エルフがカードを切ってくる。いや、でも400万Gを10万Gは無理じゃね?

駄馬。ウルウルした瞳でコチラを見るんじゃない。気持ち悪いぞ。


「もし本当にエルフの森に危機が訪れるのであれば、使徒として精一杯の助力をお約束しましょう。ただ、現状では貴方達の言葉を鵜呑みには出来かねます。」

私の言葉に白髮エルフは青髪と目配せをし、意を決したように語る。


「実は使徒様。コチラにおりますラッツは未来予知が出来るのです。」

はいはい。未来予知ね。めんどくさい。

「その未来でエルフの森を守る為にどうしても使徒様のご購入された馬が必要なのです。どうかご理解いただけたないでしょうか。」

白髮はそう言うと頭を下げる。エルフの森の危機ねぇ。

「貴方の未来予知ではエルフの森の危機は必ず起こるのですか?」

私は青髪に尋ねる。

「未来予知ってか、ゲームの話しなんだけど、終盤でエルフの森が魔王に襲われるイベントがあるんだ。」

でたよゲームと同じ世界だ!タイプの異世界人。めんどくさ。


「あの。ゲームの中とおっしゃいましたか?」

「あぁ。ちょっと説明しにくいんだけど、この世界は俺がやっていたゲーム、リテュティスクロニクルの世界なんだ。だからこの先起こる事がわかるんだ。」

はぁ。脳みそ腐ってんのか?


「失礼ですが、何故そのゲームの世界だと思ったのかお聞きしても?」

「ん?まずは俺が主人公と同じ名前だった事、村の名前、都市の名前、登場人物が同じ名前だからな。」

……

うん。そんだけ?いや、結構な確率だよ?名前が一緒って。でもだからといってゲーム通りとは限らないんじゃないかな?現に君は馬買えてない訳だし。


「その。それだけですか?」

「ん?それだけだぞ?名前も一緒なんだからゲームの中だろ?」

あぁ。あかんやつや。コイツあかんやつやで。

「その。ゲームの中では馬を5万Gで絶対買えたんですよね?現状買えてないのですから、既にゲームのシナリオ通りというのは破綻してませんか?」

「い、いやそこは順番を飛ばしてる弊害とかで…」

「弊害が出てもシナリオ通りに行く根拠はありましたか?それとも私とのこの会話もゲームの中で同じやり取りがあったりしましたか?」

「そ、それは無いけど…」

無いけど何やねん。無いならシナリオ通りにはならんやろ。

ゲーム転生はだいたいこんなヤツばっかりだ。最悪だと転生した瞬間にゲームの中だと理解したとか言いやがる。そうでなくても家の名前、家族の名前でゲームの中だっ!となるヤツね。

いや、まだ良いのよゲームの世界だけど、もしかしたらシナリオが起きるかもしれないからとか、シナリオが変化したかもって行動する系は。

最悪なのは絶対シナリオが起きるって前提で行動してるヤツ。あ?1から10までゲームの中でしか見たことない会話しかしなかったのか?ゲームってのは選択肢多くないんだよ。シナリオ通り進むならシナリオ通りの会話と行動じゃないと結末に行き着かないの。前提条件間違ってんだよ。

違う会話、行動したけどゲームの中だから?いや知らねぇよ。序盤から終盤で手に入れる武器で楽々強プ?序盤から終盤の場所に行ける時点でゲームの中として成立しないだろ。もし世界がゲームの中と同じシナリオ辿るなら終盤の武器は終盤しか取れないようになってんだろ。都合良すぎなんだよね。


若干イライラしてしまったが、ゲーム転生系異世界人は非常にめんどくさい。

「もしゲームの中に私との今の会話が無いのであれば、もうそれはゲームのシナリオとして成立しないのではないですか?」

私の言葉に青髪は、ぐっと口籠ってしまう。

「因みにエルフの森が襲われるのは何時でしょうか?」

そんな問いかけに青髪は少し考えた後に言葉を告げる。

「2年後の冬にグレゴアと言う魔王がエルフの森を壊滅に追いやる。」

あー。うん。どんまい。グレゴアってゴリラの同僚だろ。


「あのー。合ってるかわかりませんが、グレゴアさんなら西区の冒険者ギルドで職員をされてますよ?いや、一応同じ名前と魔王っていう共通点があるだけですけど、4本ツノに隻眼だったりします?」

「えっ?」

いや、えっ?じゃなくて。


「職業柄この世界の魔王は全て把握してるんですが、グレゴアと言う名前だと西区冒険者ギルドの職員さんしか該当が無いと思います。急に同姓同名が誕生しなければですが。」

魔王というヤツは人数が決まっている。んで全ての魔王の所在と名前は把握されている。

グレゴアさんは現在ゴリラの同僚だ。ゴリラ仲間だ。

「えっ?」


いや、こっちが、えっ?だわ。



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