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クロスボウとは

「いやいや、異世界人達で問題が解決しそうならば私の出番は無いほうが良いに決まっていますからね。お久しぶりですねレインさん。」

私は武器屋の店主に声を掛けながら金髪イケメンと挨拶を交わす。

そう、何を隠そう金髪イケメン君も異世界人なのだ。

決してめんどくさいと思ってはいない。


「いや、使徒様こっちチラッと見てカフェに直行してたじゃないですか。」

金髪イケメン君はお黙りなさい。

「なんだぁ?お前も異世界人だったのかよ、なら話しは早ぇ、うちの店の前でゴチャゴチャやってないで使徒様に話し纏めてもらいな、商売の邪魔だ、散れっ散れっ。」

そう手をシッシッとしている店主はこちらに丸投げをご希望のようだ。

「確かにお店の前ではご迷惑になりますね。よろしければあちらでお話ししませんか?」

私はそう言うと金髪イケメン団と黒髪団をカフェへと誘う。

突然の使徒の出現と金髪イケメン異世界人疑惑に黒髪君は困惑しているようだ。


「では改めまして、異世界審問官ルカと申します。異世界人のお悩み相談みたいな事をやってます。」

私の挨拶に黒髪君は更に混乱しているようだ。

「使徒様お久しぶりです。君にはまだ名乗って無かったね、B級冒険者レインだ。君と同じ異世界人だよ。」

爽やかな笑顔で金髪イケメンが黒髪君へと挨拶している。

なんかキラキラとエフェクトが掛かっていそうな挨拶だ。

肩に鳥の糞とかついてないかな?


爽やかなキラキラエフェクトに気圧されたのか黒髪君も挨拶を交わす。

「リョウだ。あんたも異世界人なのか?それに使徒様って…」

「そうだね。僕の場合は転生になるかな。小さな頃から前世の記憶があるよ。だからこそ君のクロスボウの認識の違いに気付けたのだけれど…」

そうだね。この世界の冒険者ならばクロスボウで鉄を貫通するのは無理だとわかっている。

鉄を貫通出来たらそれはもうバリスタだ。城塞兵器だ。


「私はさっきも言った通り異世界人のお悩み相談みたいな事をやってます。まぁ異世界人同士ならばあまり必要無いお仕事ですかね?この世界の常識と異世界人の常識が異なる場合の橋渡しみたいなもんなので。」

私は異世界人同士なんだから勝手にやってくれ感を全面的に出してみる。


「いや、使徒様仕事したく無いだけでしょ。」

お黙り金髪イケメン。髪の毛燃やすぞ。


「使徒様ってのが偉い感じの人なのは聞いてたけど異世界人ってそんなに多いのか?」

「そうですねぇ。実際の所、とても多いです。それも日本人ばかり。それこそ冒険者になったり商人になったり、領主の息子に転生したりね。この世界では色々と勝手が違いますからトラブルもそれ相応に起こります。」

私は領主の息子の所でチラりと金髪イケメンを見る。

金髪イケメンで領主の息子とは何事だ。うらやまけしからん。

私に見られた金髪イケメンは「うっ」っとなっている。まぁ君も大概やらかしてくれましたからね。今でこそ高位冒険者ですけど、ヒヨコの頃は色々とやらかしてましたね。


「じゃあその、俺がいた世界のクロスボウと、この世界のクロスボウが違うって事か?」

「いえ、そこに違いは無いと思いますよ。リョウさんはクロスボウの知識を何処で得られましたか?」

私の質問に黒髪は言いづらそうに口を開く。

「そ、その、異世界召喚の小説で…」

だろうね。ご都合主義の小説だったのだろう。良くある話しだ。

「そうですか。聞かれた事と内容が被るかも知れませんが改めてお話ししますね。」

私はそう言うとクロスボウの有用性や使用目的等を細かに説明する。

それでも黒髪はうーんと唸っている。小説知識が邪魔しているようだ。


「ではこう考えましょう。前提条件として弦の強さは同じとして、クロスボウは構造上引ける長さが15センチくらい、弓は75センチくらい。どちらが早く射出できますか?」

「それは弓だな。」

「そうですね。では弓が出したスピードをクロスボウで得る為にクロスボウの弦を強くしましょう。張力を倍にしたら同じ威力で射出されますか?」

「倍なんだから強くなるだろ?」

「弓は引く長さがクロスボウより5倍長いですよ?」

「あっ…。そうか5倍の長さなら5倍の張力が必要なのか…」

ここは流石異世界人だ。この世界では難しい数式でも簡単な説明さえあれば理解してしまう。やはり基礎教育が高度だと応用の幅が広い。

「そうですね。ではリョウさんが見たことがあるであろう和弓、弓道で使う弓ですが、長さ90センチで張力は15から30くらいとされていました。まぁ一般的なスピードですね。」

「弓道ならテレビで見たことがある。実物は無いけれど…」

「ではそのスピードをクロスボウで出そうとします。先ほどの計算だと75から150の張力が必要ですね。」

「うん。」

「では弓道で出される矢のスピードで鉄板は貫けるでしょうか?」

「……それは、難しいと思う。」

うん。距離が近ければわからないが、的くらいの距離となると難しいだろう。

「たぶん、物凄い近い距離で薄い鉄板ならいけるかもだけど、遠い距離だと難しいかもしれない。」

この子地頭は悪く無いんだよなぁ。


「まぁ実際には鎧の厚さや距離、矢の当たる角度によっては貫通も可能でしょう。しかしクロスボウが万能だという事にはなりません。弓の張力を10上げた場合クロスボウは50も張力を上げる必要があるのですから。」

「確かに…」

「もし冒険者としてならクロスボウより弓の方が取り回しも楽になりますしね。」

クロスボウって重いんだよね。フレームゴツいから。




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