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お説教

「ご主人様ぁ。その2匹は異世界、異世界言ってないですよぉ。」

落ち着きを取り戻したリファがそう告げる。まぁ2匹認定されてる時点でアレなんだが。

あれ?そうだっけ?言ってなかった?異世界っ!異世界っ!って。いやでもたぶん言うから。きっとたぶん言うから異世界っ!異世界っ!って。言わなかったらゴメン。心の中の八つ当たりが溢れ出してしまっただけだから。ところでリファさん短剣何処にしまったの?太もも?やっぱり太ももなの?


リファさんも落ち着いた所で下級神、和装、黒髪を並べて正座させる。

「さて、では改めて経緯を聞きましょうか?」

私のにこやかな笑顔に3匹はビクつく。

「で?ニンニルは転生やっちゃって、勇者の称号を与えたと?」

「は、はい。迷える魂を救う為に今回は致し方なく…け、決して主神様の意に反する行いをしようとした訳では御座いませんっ!」

下級神は必死である。そりゃ自分が転生させた異世界人が迷惑かけたら評価だだ下がりだもんね。

「てか、何で勇者?勇者って転生じゃなくて召喚転移系じゃない?」

「そ、その。みんなと違う様にしようかなぁーと…」

バカなの?違うの求めるなら先ず勇者を外せ、外れてないわ、王道ド真ん中だわ。あとフェンリル付けるな、それも王道だわ。飽き飽きなんだよ、のじゃフェンリル。

「す、す、すみません。」

私の言葉に下級神は凹みまくりだ。

「だいたい使命って何なの?定番外して面白い事でもやってくれるの?それなら主神様も全然OKだと思うんだけど?」

「し、使命は与えておりませんっ!フェンリルも転生者のサポートになればと…」

ん?使命は与えていない?和装は与えられた使命があるって言ってたけど?

チラッと和装を見ると、和装は和装で困惑した様に黒髪を見ていた。

「黒髪。下級神は使命は与えてないらしいけど?」

私の言葉に黒髪は意を決した様に話しだす。

「い、異世界転生で勇者は魔王を討伐するのが定番ですっ!」

いや知らんけど。その定番異世界コース止めてくんない?もう飽き飽きなのよ。あと君そんな声だったんだね。喋んないから置物かと思ってたよ。

「あー。ごめんね黒髪君。この異世界に討伐対象の魔王はいません。」

そもそも魔王ならさっきカフェでお茶会してたよ?何か同担の会合?みたいな事言ってたよ?ちょっと周りにいる人達の鼻息荒かったんで詳しくは聞いてないけど。


私の言葉に黒髪は「じゃあ何で勇者なんて…」と落ち込んでいる。いや、それは下級神の仕業だから知らないよ?別に勇者が何かしないとって世界じゃないから。あと君定番勇者やりたいならもっと前に出ないと、後ろでウンウン頷く勇者なんていないでしょ?理想を語る前に行動しなさいよ。


黒髪が「僕が読んだ異世界物では…」とブツブツ言っているのを放置して、最後は和装だ。

黒髪君うるさいよ。ブツブツ言ってる勇者なんていないでしょ?知らんけど。

「で、和装。君はね勇者から使命がーって聞いたんだろうけど、人の話しを裏付けも取らずに信じたら駄目だよ?それだと3000Gぽっきりでーすって言われたのに20万Gのお会計出されるよ?都会って怖いんだよ?」

和装は気が強いのか反論してくる。

「ニンニル様より加護を与えられし者の言う事じゃ、眷属たる妾は神を信じるのみじゃ。」

「いや、だからねその神が使命は出してませんって言ってるの。」

「そ、それは…」

「信じるのと確認するのは別の話しだから。仮にも眷属なんでしょ?確認すればいいじゃん。それを怠ったのは君の落ち度でしょ?」

「し、しかし…」

「いやしかしも何も無いんだって、現に君の信仰する神は間違いを起こして正座させられてるんでしょ?それとも君の信仰する神が全ての神の頂点で間違いを起こさない存在だとでも?」

私の言葉にニンニルは首をブンブン横に振っている。首もげるよ?


和装はぐぬぬとなっている。プライド高いなー。間違いを認めれないと成長しないよ?

「君はもっと周りを見て聞いて、自分の世界の狭さを知ったほうが良いよ?君今まで何処に住んでたの?」

「妾は唯一の存在として南の霊山を守護しておったのじゃ。」

「ふーん。そうなんだ。ずっと霊山にいたの?出かけたりはしなかったの?」

「妾は神より霊山の守護を賜ったのじゃ、神の使命がなければ離れる事は叶わぬ」

なんだ引きこもりフェンリルか。そんなヤツには正論パンチだ。


「南の霊山から離れないのに何で自分は唯一の存在だと思ってるの?」

私の言葉に和装はびっくりした顔をしている。

「ぇ?いやフェンリルは唯一の存在で…」

「いや、それは聞いたけど、自分で世界中探し回って自分は唯一の存在だって事?」

「い、いや探し回っては…」

「え!?探し回ってないのに唯一の存在だと思ったの?」

「い、いやそれは…」

「あっ!じゃあ聞いたんだ?ニンニルに。」

「いや、ニンニル様にも聞いてはおらぬのじゃ…」

「えっ!?聞いてもない、探してもない、でも唯一の存在だと?」

「わ、妾の守護する霊山には眷属は妾のみであったし、妾と同等の強さを持った者もおらぬ故…」

「それは守護する霊山の話しでしょ?」

「そ、それは…」

「引きこもって外の世界も知らず、でも唯一のフェンリルだと?」

「……」

「ねぇ何で?何で?何で唯一のフェンリルなの?」

私の何で何で攻撃に和装は怯んでいる。

「てかフェンリルは唯一の存在じゃないからね。」

そうなのだ。和装はニンニルの眷属のフェンリルなだけで、他の神のフェンリルもいるのだ。つか下級神がフェンリル流行らせたせいでフェンリルだらけだ。王都にも5人くらいおるわフェンリル。

そう告げると和装は青ざめて「妾は…」と茫然自失だ。

「ね?分かったでしょ?自分で考えもしない、行動もしないと知りたくない真実を知った時に安易に尊厳が揺らぐんだよ?大丈夫?飴ちゃん食べる?」

和装にとって唯一のフェンリルというのが自尊心を満足させる要素だったのだろう。だから他者にも傲慢になれる、だって唯一の存在だからと。つかフェンリル種はだいたいそうなんだよ。何なの?また異世界モノ流行りなの?フェンリル相手に全く同じ会話してるわ。5人中3人は同じ事言ったわ。


私の説教に凹みまくっている3匹へと告げる。

「君達はもっと考えて行動しなさい。他者に迷惑をかけるなんて常識以前の問題です。いい加減にしないと滅されますよ?」

3匹は理解したのか首をブンブン縦に振っている。

わかれば宜しい。此度は不問としよう。仕事増えるの面倒くさいんだよ。君達に力を行使したら書類書かないといけなくなるでしょ?さっさとエルファさんに謝って散れっ!あとリファさんにも謝れっ!真顔になったら死までカウントダウン寸前だったんだからなっ!


私の言葉に3匹は「「「誠に申し訳ありませんでしたっ!」」」とエルファさんに謝罪をし散っていく。

和装と黒髪は廃れた背中でトボトボと、下級神は頭を下げたまま消えていった。

「使徒様ありがとう御座いました。お陰で助かりました。」

「いえ、偶々近くを通り掛かって良かったです。」

エルファさんとお互いを労う。お互い大変ですな。


「ポーション類は大丈夫そうですか?生産に時間も掛かると聞いていますが。」

「えぇ。大丈夫ですもう少しで鱗も生えてくるので、予約いただいたてるお客様には問題なくお渡し出来ると思います。」

「それは良かった。エルファさんの作るポーションは評判ですからね。」

ではまたいずれと馬車へ乗り我が家へと向かう。

ってか駄馬はいつの間にか戻って来ていた。お前逃げ過ぎだからな?距離の取り方おかしかっただろ。何がバチコーンっていってきましょうか?だよ。真っ先に逃げてたな。そういうの忘れないタイプの使徒様だからな。


「エルファさんのポーションが供給不足にならなくて良かったね。」

「そうですねぇ。エルファ様のポーションは人気ですからぁ。」

リファと良かった良かったと会話しながら帰る。

彼女のポーションを待っている人は沢山いるのだ、彼女があのような些事に時間を取られる事なくポーションを生産出来る事が大事なのだ。

「鱗ももう少しで生えるって言ってたし……」


ん?


鱗?


「鱗?」

自分で鱗って言ってビックリしちゃったわ。

「はぃ。エルファさんのポーションは御自分の鱗を加える事で質を上げられていらっしゃいますぅ。」


えっ!?マジでっ!?


今日1ビックリだわ。


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