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従魔

我が家に駄馬とケンタウロスがやってきても日常は変わらず過ぎていく。

駄馬がミリーとリファに〆られて従順になったくらいだ。

今日も今日とて書類仕事後に王都の視察である。

決してランチを満喫する為のお出かけでは無い。

違うったら違うのだ。


そんな訳で今日も駄馬に馬車を引かせて王都をぐーるぐるである。

駄馬はしきりに、「ちょっ姐さんパないすマジで」と上げ発言だ。

うるさいぞ駄馬よ。その太鼓持ちスタイルどうにかならんのか。

リファさんが「うるさいですぅ」って小声で言っているのが聞こえないのか。

上げ発言も度が過ぎれば嫌味だぞ。


そんな和やかな雰囲気でウロウロしていると通りで何やら言い争う声が聞こえる。

「兄貴っ!姐さんっ!何やら揉め事みたいですっ!おれが一発バチコーンってかましてきましょうか。」

だまれ駄馬。お前の兄貴になった覚えはない。

そもそも揉め事に首を突っ込むな。仕事増えるやろがい。


「あっ!使徒様っー!助けて下さーいっ!」

使徒の紋章が入った馬車を使ったせいか、簡単に見つかってしまった。

流石に素通りはイメージが悪くなるので、私は渋々馬車を問題の場所へと向かわせる。

リファが先に降り周囲の安全を確認してから声を掛けてくれる。

場所を降りた先には私を呼んだ竜族の女性。黒目、黒髪の大人しそうな男性、紫の髪をした和装の妙齢の女性がいた。

私は竜族の女性に挨拶する。

「こんにちはエルファさん。何やら揉め事ですか?」

私に助けを求めてきた竜族の女性エルファは何やら困ったように語る。

「使徒様。この女性の方が高品質の魔力ポーションを優先的に融通しろってしつこくて。うちも在庫があれば売りますけど、予約の分まで回せって言うんです。」

そう言う彼女は困った顔で助けを求めてくる。


魔力ポーションか。今は亡き?あの幼なじみハーレム君達もポーションの素材を集めていたが、いかんせんポーション類は保存が効きにくい。予約販売となるのは仕方がないものだが。何故そんなにポーションが必要なのだろう。

私は黒髪と和装の2人を見ると、また異世界人かよと思いながらも挨拶をする。

「初めまして。私はルカと申します。何やら意見の衝突があった様ですが…」


「ふむ。童よ。あまり大人の話しに口を挟むのは感心せぬのぉ。じゃが名乗られたなら名乗り返さねばな。妾はリル。こやつはカナメと申す。」

彼女の言葉に黒髪はペコりと頭を下げる。

なんだ?気弱タイプの異世界人か?あとリファさん。イラっとしたら駄目ですよ。


「それで、高品質のポーションがご入用だとか。ご存知かと思いますが、ポーション類は保存が効きにくく更に予約販売が基本です、個人が大量にお買い求めになるのは少々難しいかと。」

必殺遠回しパンチだ。えっ?知ってますよね保存が効きにくいって?えっ?知らないんですか?プーッwえっ?知ってるなら予約も知ってますよね?少しおバカなんですか?を遠回しに且つ社会人的に優しさで包んだパンチだ。

「それは解っておる。妾達にも理由があっての、冒険者に聞いた所によると、こちらの魔力ポーションが品質が良いとの事じゃったのでのぉ、少し配慮を頼んでおったのじゃ。保存に関しては問題無い。ちと童には難しいかもしれぬが、色々な方法があるのでのぉ。」

更にリファさんがイラっとして殺気を洩らした気がするが、気にしては駄目だ。怒ったリファは怖いのだ。

駄馬っ!お前のせいだぞっ!道中ずっとうるさかったからっ!

あと黒髪!お前ウンウン頷くだけじゃなくて何か喋れやっ!


「当店のポーションを評価いただけるのは有難いですが、やはり予約していただいたお客様が大事ですので。」

エルファさんは毅然とした態度でハッキリ告げる。

彼女の作るポーションは確かに品質が良い。しかも決して暴利を貪らず地域と共にある、そんな彼女のお店には敬意を払いたい。

「ふむ。先ほどから言っておるように、妾達にも引けぬ理由があってのぉ。融通してくれたらお互いにとって良い結果となるのじゃがのぉ。」

自分の事情ばかり話す和装女とウンウン頷くだけの黒髪。うざいなこの2匹。


「そのー、先ほどから仰っている理由とは?」

そもそも何で必要なのか言わないとどうも出来んだろうが。災害救助に必要ならエルファさんも納得して商品提供出来るだろうし、協力も要請出来る。

自分達にも理由があってーとか知らんがな。


私の言葉に和装は少し考えたあと口を開く。

「ふむ。確かにそうよのぉ。理由も言わずとは確かに難しいやも知れぬ。どうせ遅いか早いかの話しだ。仕方ない、心して聞くが良い。」

なんでちょいちょい上からなのか。

リファさん?怒っちゃ駄目ですよー?飴ちゃん食べる?いらない?

駄馬はニンジン食ってろ。


「何を隠そう、此処におるカナメは異世界より召喚された勇者なのじゃ。そして妾は神の眷属であるこの世にただ1匹の始祖フェンリルである。」

彼女はドヤーっと告げる。



あぁ。勇者とフェンリルね。ずっと噛んでる味しなくなったガムだわ。




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