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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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ドカナイ、用意周到1

「クリストフ様が敵に拿捕されてしまいました!」


 エニが治療し、ジケたちが連れ帰った兵士の報告にメクシトロは頭を抱え、ケリステンは顔を青くした。

 言葉を失うケリステンの代わりに、メクシトロが言葉を絞り出す。


 この報告聞いていてもいいのか、とジケは思うのだけど、緊急を要する報告をノルシュタがすぐに始めてしまった。

 ジケとしても状況は気になるし、気配を消してこっそりと話を聞いていた。


 ただ今のところ報告の出だしは最悪だった。


「クレインヘルス台地にドカナイ軍が進軍してきました。敵将はデキラウドス・ベッヒオロス」


「ベッヒオロス……だと?」


 ベッヒオロスの名前を聞いて、メクシトロが眉間に深いシワを寄せる。


「どうやってあんな人数を動かしたのかは分かりませんが……クレインヘルス台地の砦はドカナイ軍の攻撃に耐えられず……」


「それでクリストフは逃げきれずに捕まってしまったのか?」


「……ええ、はい」


「……正直に申せ。特にお前を処罰するようなことはない」


 なんだかノルシュタの返事の端切れが悪い。

 そう感じたのはジケだけではなかった。


「クリストフ様は……先に逃そうとしたのですが……功績を立てて早く戻るのだと敵に突っ込み…………」


「身内を殴りたくなったのは初めてだな……」


 もはやケリステンは遠い目をして小さくなっている。

 メクシトロの方は呆れが過ぎて怒りすら覚えているようだった。


 バカはあまり反省していないようだ。

 なぜ周りに迷惑になる選択ばかりし続けられるのか不思議である。


「クレインヘルス台地の砦を中心に南側の国境線まで相手の手の内に落ちました。自分はなんとかこのことをお伝えするべく、逃げ延びました」


「よくやってくれたな。ゆっくり休むといい」


「失礼いたします」


 情報を伝えるためとは言っても、仲間を置いて逃げるという選択は難しいものだろう。

 ノルシュタは難しい顔をしたまま下がっていった。


「ベッヒオロスのやつが動いているのか。ドカナイも本気だな」


 メクシトロがため息混じりに言葉を漏らす。


「早急にロードエスカ平原の状態の確認とクレインヘルス台地からの侵攻の警戒を。救援の要請も行え」


「……今の時期ベルデスが繁殖期に入ります。カーマインの援軍は期待できないでしょう」


「もうそんな時期か。ひとまず空から連絡を飛ばせ。ゼリマンの方にも早急にだ」


 なんだか土地や人の名前が飛び交う。

 一気に戦争の緊張感が高まってきた感じがする。


「お待たせ申し訳ない。見立てがあまく、戦争が始まる前に国を抜けることができず、謝罪いたします」


 ケリステンが色々と処理するために慌ただしく部屋を出ていく。

 メクシトロは眉間にシワを寄せながらジケに頭を下げた。


「いえ、まだ、大丈夫です。状況はどうですか?」


 だいぶ巻き込まれつつあるが、完全に戦中に取り残されたわけじゃない。


「あまり良くはないですね。お聞きの通りクレインヘルス台地が落とされてしまいました。戦略的に重要な土地というわけではないのですが、砦を取られたのは痛手です」


「クリストフさんも捕まってしまったようですしね」


「そちらも頭の痛い問題です」


「そこの問題はシュトレイブルでなんとかしてもらうしかないですね。俺たちは国を脱出できますか?」


 戦争に関わる問題はシュトレイブルで処理してもらう。

 クリストフがどうなろうとジケにできることはない。


 ジケが今気になっているのは戦いに巻き込まれる前に逃げられるのか、ということである。

 今の状況がギリギリなことはジケも理解していた。


「こうなると国内を抜けていくしかありませんね」


 東側にドカナイがあって、北にルエンがある。

 ルエンはドカナイと繋がっている可能性があるためにリスクが高く、当然ながらドカナイにも行けない。


 南側から抜けていくつもりだったのだけど、今やドカナイの手が南側に回ってしまっている。

 となるとイルヒッコクの国内を西に抜けていくしかない。


「ここから繋がっているのはカーマインとゼリマンという土地です。しかしカーマイン領に行く途中、山を越えねばならないのですが、ベルデスという強い魔物がいるのです」


 メクシトロは難しい顔をしたまま会話を続ける。

 これまでの柔らかい雰囲気はなかなか戻ってこないようである。


「普段ならあまり問題にはならないのですが、今の時期は奴らの繁殖期で気が立っています。通行はかなり危険なので通行止めになるのです」


 魔物にも色々な生活というものがある。

 どうしても人側が配慮しなければいけないようなタイミングだって存在しているのだ。


「ならゼリマンの方からですかね」


「そうですね。現実的にはそうでしょう」


「現実的には?」


「……少し嫌な予感がするのです」


 ドカナイの動きはかなり計画的だ。

 隙をついて攻め、攻撃のタイミングも隣接する領地の都合の悪い時を狙っている。


 ゼリマンにも何かがあるかもしれない。

 そんな予感がメクシトロにはあった。


「メクシトロ様! ゼリマンから緊急の用件で人が来ております!」


 そして、悪い予感というものは案外当たるのだ。

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