表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1432/1434

詐欺師の目的は3

「ただやはり困難なのは、他国で我々が動くわけにもいかないということです」


 シュトレイブルの存在は周りでも有名だ。

 詐欺師を追うためとは言っても、メクシトロが兵力を連れて他国内を移動するのは無理がある話である。


 基本的にはドカナイに対する防衛を主にしているが、他国に攻め込めるような力を抱えていることも確かなので疑われてしまう。

 やましいことがなくとも、自由に身動きが取れない。


 追跡したくとも取り逃してしまう可能性も大きい。


「つまりはどういうことですかね?」


「非常に心苦しいのですが……ジケ様ご自身で追いかけなさるのはどうでしょうか?」


 どういうこととは聞いたけど、メクシトロが何が言いたいのかは分かっていた。


「うちからも案内役をおつけします。少人数の方が動きやすいし、追跡も早いと思います」


「……そうですね」


 結局楽なんてできないのだ。


「腕が立つものをつけますので安心してください」


 詐欺師がルエンにいる可能性が高い。

 ということでジケたちは本来予定していたドカナイではなく、ルエンという国を目指すことになったのであった。


 ーーーーー


「ゲルシトンと申します。祖父からお話は聞いております」


「祖父?」


「メクシトロお爺様です。私もシュトレイブルなので」


「ああ……」


 次の日、急いで準備を整えたジケたちにメクシトロは二人の男を紹介した。

 一人はバハナイという人で、シュトレイブルの騎士である。


 もう一人はゲルシトンという青年。

 ゲルシトンはメクシトロの孫である。


 つまりケリステンの息子で、クリストフの兄であるということだ。

 おバカに兄がいることは聞いていた。


 しかしあまり話には出てこず、情報はなかった。

 クリストフの方が可愛がられているので、兄のゲルシトンがよほどのポンコツなのかと思えばそうでもない。


 見た目にはちょっと怖い感じの真面目そうな人だった。


「愚弟がご迷惑をおかけしたようで、代わり謝罪をします」


「いえ、なんだか大変なことになってるようですし、もう大丈夫ですよ」


 今のところ人間性は遥かにゲルシトンの方が上回っているように見える。

 クリストフが可愛がられているのは武術の才能があるからではあるが、ゲルシトンも別に弱いわけではない。


 バカなりにチャレンジ精神があるクリストフに対して、ゲルシトンは大人しめだからとか性格的な問題もある。

 だが一番大きいのはクリストフが後妻の子であるためだった。


 ゲルシトンの母親は若くして亡くなってしまい、今のケリステンの妻は一人目の妻が亡くなった後に結婚した相手なのである。

 後妻はそれなりに権力のある貴族の出で、実家からの支援も厚い。


 こんな事情もあったりしたのだ。


「この二人が案内いたします。腕も立つのでお役に立てるでしょう」


 メクシトロとヘスイトスはちゃんとゲルシトンにも目をかけている。

 次の後継者を決めるのはケリステンだから大きく口を挟むことはなかったが、その実力はしっかりと認めていた。


 クリストフが大失敗をした今は、ゲルシトンにもチャンスだ。

 ジケを手伝って功績稼ぎなんて側面もあるのだろうが、ジケも文句を言うつもりはなかった。


「よろしくお願いします」


「例の詐欺師、捕まえましょう」


「それじゃあ、出発しましょうか」


 ゲルシトンとバハナイは馬に乗り、ジケたちは馬車に乗り込む。

 詐欺師たちは馬車を捨てて逃げているので、徒歩である。


 馬車や馬の速度なら追いつける可能性は高い。


「……ミュコ?」


「私もいく」


 歌劇団とはここで別れ、先に帰ってもらうことになっている。

 しかし馬車の中にはミュコがいる。


 もはやこっそりでもなんでもなく、堂々と乗り込み、降りるつもりはないというように腕を組んでそっぽを向いている。

 ニージャッドは非常に困っているだろうが、こうした時のミュコは頑固であった。


「分かった……だけど勝手なことはするなよ?」


 ゲルシトンとバハナイという戦力も増えた。

 ドカナイに行くわけでもないし、ミュコぐらい増えても大丈夫な計算にはなる。


 ここからミュコがついてくるついてこないで時間を消耗するのも、無駄になってしまう。

 ジケはため息をつきながら馬車のドアを閉じる。


 こうなれば自分で頑張って守るしかない。


「いいですか?」


「ああ、いいよ」


 ユディットが馬車に繋いだジョーリオに指示を出して馬車は動き出す。


「ね! 乗っちゃえばなんとかなるって言ったしょ?」


「まあね、ジケは私に甘いから!」


 当然な顔をしてピコも馬車に乗っている。

 ミュコが馬車にいたのはピコの入れ知恵らしい。


 ジケが女の子たちに甘いのはいつものことである。

 こういう時にも、スマートに女の子たちを説得できるような男らしさが欲しいとジケは思う。


「とにかくルエン……だな。ドカナイに逃げられたら…………一旦諦めようか」


 ドカナイに行くのはあまりにリスクが高い。

 ここで詐欺師を捕まえられないなら作戦変更も仕方ない。


 たとえ他の国で評判が悪くなっても死ぬわけじゃない。

 人の評判を使うのはむかつくけれど、詐欺の話が広まると相手も騙されなくなる。


 詐欺が落ち着き、悪い評判が消えるまで待ってもジケは何ら構わないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ