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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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舞台の上の決闘4

「このやろ……!」


 クリストフが怒りと恥ずかしさに顔を赤くしながら剣を振り回す。


「ああなったら終わりだな……」


 ヘスイトスは今日何度目かも分からない深いため息をつく。

 心が乱れれば剣も乱れる。


 もはや情けないほどの剣筋だとしか言いようがない。

 対してジケに容赦はない。


 ジケが腕を振るごとに軽快な音が鳴り響き、ジケの仲間たちには笑いを堪えている人までいる。

 もし仮にフィオス棒が真剣だったらクリストフは何度も切られて死んでいる。


「くぅっ!?」


 特にお尻なんて何度も叩かれていて、剣だったらいくつに割れていたことか分からない。


「クソ……何でこんな……ダッ! ケツばかり叩くなぁ!」


「どこ叩こうが俺の自由だからな」


 クリストフがだんだんと涙目になってきた。

 けれどもジケの狙いはケツである。


 しばらく座れなくなればいいとおもう。


「ウッ! ああ、クソ!」


 ジケが後ろに回り込もうとすると、クリストフは異常な警戒を見せる。

 だがケツを守れば前の防御がお留守になる。


 脇腹をフィオス棒で殴られてクリストフは痛みに顔を歪める。

 もうジケに対抗する手段がない。


 魔獣も魔法も禁止。

 使えば負けになってしまう。


 反則負けで決闘を止められるなんて死ぬまで恥ずべきことになる。


「こうさ……ぶっ!」


 それなら素直に負けを認めた方がまだ傷は小さい。

 クリストフはこれ以上の恥を晒すぐらいなら降参しようとしたのだけど、ジケがそうはさせなかった。


 フィオス棒で顔面を叩きつけられ、クリストフがよろめく。

 メクシトロは悩むような顔をする。


 クリストフが降参と言いかけたのは分かっている。

 ただ言い切ってはいない。


 降参しようとしていることはなんとなく分かるのだけど、誇りある決闘を早とちりで止めるわけにもいかない。

 降参つもりがなかったのに審判が止めたと、互いにまた文句の言い合いになることも困るのだ。


「こ……」


 スパンと音を立ててジケがフィオス棒でクリストフの頬をぶん殴る。


「……怒ってるね」


「ね」


 こんな時、普段のジケならさっさと終わらせるだろう。

 だけど無の表情でクリストフをお仕置きするジケは終わらせるような雰囲気がない。


「あのボンクラが泣くまで、ジケ君は殴るのをやめないかもしれないね」


 ジケの静かな怒りをみんなは感じていた。

 それなのにケツを小気味よく叩くものだから、それもまた耐え難く面白い。


「こう……」


 スパン!


「こ……」


 スパン! スパン!


「もうやめてくれ!」


 もはやケツは厚いだけで痛みも分からない。

 降参させまいと顔を殴るので、両頬までお尻のように腫れてきた。


 とうとう、クリストフは泣いた。


「降参する! 悪かった! もうお前にも、あの子にも近づかない!」


 剣を投げ捨て、言葉を止められないように両手で頭を抱えるように守ってクリストフは叫ぶ。


「…………この勝負、ジケさんの勝利だ」


 メクシトロも自分の孫の情けなさに呆然としていた。

 しかしジケの視線にハッとして、決闘の結末を宣言する。


「くっ…………うわああああん!」


「どこまで情けなくなれば……」


 クリストフ敗走。

 泣きながら舞台から逃げ去り、ヘスイトスが一人うなだれる。


 泣きたいのはヘスイトスの方だった。


「ぴょっ……」


「これが本当に罪な男なのね……」


 クリストフが逃げてしまったので、ジケもできることがなくなった。

 勝ちはしたので、これで事態は丸く収まった。


 ミュコを見て、にっと笑う。

 怒った無表情からの思わぬ笑顔にミュコは撃ち抜かれて顔を赤くする。


 きっとジケが起こることはないだろう。

 そう思いながらも怒らせちゃいけないな、とピコは思ったのだった。

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― 新着の感想 ―
それぞれに奥さんは居るのだろうか。 いたとしたらどんな反応するのか・・・。ママにおしりペンペン追加されたらいいんじゃないかな?(鬼)
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