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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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舞台の上の決闘1

 突如としての公演中止に少しのざわめきはあった。

 しかしお祭りの喧騒が、すぐに劇場前に集まっていた人たちを非日常に飲み込んでいったのだった。


「この馬鹿者が!」


「申し訳ありません……」


 町の人たちが知らないところで、決闘騒ぎは大きなうねりとなっている。

 ニノサンによって決闘の話はヘスイトスとメクシトロに伝えられた。


 自分が招待した劇団を買収しようとして断られた挙句、女性をかけて決闘しようとしていると聞いて、二人は大激怒であった。

 少なくとも二人がケリステンとクリストフを擁護するような人でなかったことだけは、ジケも安心した。

 

「男は決めたことを貫き通せと言ったのは曾祖父様ではないですか!」


「何を貫き通すかよく考えろ!」


 ケリステンはヘスイトスの杖フルスイングでぶん殴られてすっかり小さくなっている。

 できた息子だとチヤホヤしてしまった結果がこれだ。


 確かにそれなりに才能あって上手くやっているのかもしれないが、精神的にまだ未熟なところが多い。

 しっかりと制御して常識を教えていくべきなのに、ちょっと歌劇団が欲しいと言ったぐらいで引き抜きかけるバカ親父なのは、ケリステンも親として激甘なところがあった。


 ヘスイトスがメクシトロを怒り、さらにヘスイトスとメクシトロがケリステンとクリストフを怒った。

 ケリステンはもはや意気消沈しているが、若さが故の怖いもの知らずなクリストフの勢いは少し怒られたぐらいじゃ止まらない。


「僕があの子と歌劇団を助けるのです」


 もはや暴走と言っていい状態のクリストフの頭の中では、ジケは金に物を言わせてミュコを手篭めにする悪い奴になっていた。

 決闘でジケを任せて、歌劇団というよりはミュコを手に入れようとしている。


 そんなことを考えているクリストフに対してジケも相当怒っている。


「ケリステン……」


「はい、なんでしょう?」


「お主にはまだ息子がおったよな?」


「……お、お祖父様! そのようなことをなさるのはおやめください!」


「今そのようなことが言える立場だと思うか、ケリステン?」


「父上も……なんとかなりませんか?」


「上手くやっていると思ったのにこの体たらく……家督を譲るのが早すぎたようだな」


 ケリステン自身まだ当主となって日が浅い。

 歴史あるシュトレイブルを率いていく責任を背負ったが、同時に色々な力を持って調子に乗っていた側面は否めなかった。


「全てを私たちに相談しろとは言わない。お前が当主なのだからな。だが何も言わずにこんなことをしようとしたのは……分かっていたからだろう?」


「……そう、です」


 この歳になって父親に怒られるとは、とケリステンは情けなくなった。

 ケリステンには多少のコンプレックスがある。


 ケリステンから見て祖父になるヘスイトスは、ドカナイの大規模侵攻を追い返した英雄的な人であった。

 そしてメクシトロも、諦められないように攻めてくるドカナイから領地を守り切った。


 二人は武名で名を馳せたのに対して、ケリステンは武名としてはあまり誇れるものはない。

 ケリステンが弱いから、ではない。


 ちょうどケリステンの勢い旺盛な時期に、ドカナイの侵攻がだいぶ落ち着いていたのだ。

 戦いの後の酒を美味しく飲むためだけのような小規模の戦いが続いていて、ケリステンは戦いの腕よりも堅実な政務能力を買われて当主となった。


「クリストフを可愛がるのはいい。だがお前がしっかりせんでどうする?」


 戦いで名を上げられなかったことに負い目のようなものがある。

 しかし当主となって、またドカナイの侵攻の勢いが強くなってきた。


 そこでケリステンの息子であるクリストフが頭角を現し始めた。

 ケリステンが期待を寄せて、可愛がるのも当然だったのである。


 そんなクリストフが歌劇団を欲しいと言った。

 だから少し声をかけてみるつもりだったのに、こんなに大事になるとは思いもしなかった。


「決闘がどんな意味を持つかお前も分かっているはずだ」


「…………はい」


 決闘でかかっているのは互いの誇りである。

 貴族、そして武名で名を知られた人ほど決闘を重く見る。


 クリストフは単にミュコをかけた戦いだと思っているが、シュトレイブルの家名やクリストフそのものの全てをかけられていることに気づいていない。


「彼が大事にしなくて助かったな」


 今はお祭りの期間として他の貴族も多くシュトレイブルを訪れている。

 クリストフが決闘を自ら仕掛けたなど、周りからすればいい見せ物のようなものとなってしまう。


 勝っても歌劇団、女の子を対象にしたと嘲笑されるだろうし、負けても負けたと言われ、決闘をどうにか止めてもプライドはないのかとバカにされる。

 どう転がっても良い結果にならない。


 ただジケは決闘について素早くヘスイトスとメクシトロに伝えて、他には口外しなかった。


「……この際負けてしまえばいい。このような決闘で勝ったとて鼻が高くなるばかりだ」


 ヘスイトスはフンと鼻で笑う。

 今は三人は観客席にいる。


 先日ジケたちと公演を見た劇場の観客席だ。

 そしてその視線の先には舞台の上に立つジケとクリストフがいたのだった。

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― 新着の感想 ―
決闘の条件が気になるー かけたこと、勝敗判定、続きが待ちどうしい
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