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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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決闘を申し込む!3

「歓迎されてるな」


 周りの雰囲気を見る限り、ケリステンの帰還は喜ばれているように見える。

 割と若いうちに家督を譲られているが、それなりにちゃんと役割を果たしているようだった。


「そんであれが……クリストフ……」


 ケリステンの横に若い騎士がいる。

 明らかに他に比べて若い。


 ジケたちよりもいくらか年上ぐらいで、青年寄りの少年という感じの男性だった。

 それはケリステンの息子であるクリストフという人である。


 なんとも長生き、元気な家系でひいおじいちゃんのヘスイトスから始まり、ひ孫のクリストフまで四代に渡って勢揃いなのだ。

 貧民や平民に比べて生活が豊かな貴族は長生きな傾向はあるものの、中でも壮健な体を持った一族なのだろう。


「若いうちから戦場に出てるのか。いかにも自信あふれた顔してんな」


 クリストフは将来を有望視されていると話を聞いた。

 兄が一人いるらしいのだけど、そんな兄よりもケリステンはクリストフを連れて小競り合いを解決しに行ったのだ。


 大切に育てられている後継者のクリストフは自信に満ち溢れている。

 領民の歓迎の声に対して手を振りかえしていたりする。


「あんまり好きそうなタイプには見えないけどな……」


 ヘスイトスなんかは謙虚さの中にしっかりとした威厳を感じた。

 年齢を重ねた人から滲み出る威厳で、それを自ら誇る必要などない。


 対してクリストフはケリステンや騎士の名声を、あたかも自分が得ているかのように誇っているように見えてた。

 あくまでもそうジケが感じているという話である。


 若いうちから崇高な人物であったという方が珍しい。


「ジーケー、食べる?」


「ああ、もらうよ」


 騎士たちが過ぎていき、またお祭りの活気が戻ってくる。

 若干クリストフのことは気になった。


 歌劇団の初回公演はジケも招待されている。

 シュトレイブルの人たちも観にくるだろう。


 となるとクリストフと顔を合わせることもあるかもしれない。

 いきなり不躾なことを言うとも思えないが、若い貴族っていうのは色々なことを勘違いしがちなところがある。


 ちょっと気をつける必要もあるかもしれない。


「まあ今はいいか」

 

 お菓子を食べながらジケは、クリストフのことを頭の隅に追いやった。


 ーーーーー


「はぁー、本当に立派な劇場だな」


 日が傾いてきて、公演の時間も迫ってきた。

 ギリギリまでと粘るミュコを劇場まで送って、一度帰ってちょっと綺麗な格好に着替えたジケたちは公演を待っている。


 歴史ある立派な劇場で公演を行うとは聞いていた。

 実際に見てみると噂に違わぬ大きさの劇場だった。


「なんでもシュトレイブル百周年の時に作られたものらしいね!」


「そんなのどこで聞いてきたんだ?」


「さっき屋台のおばちゃんに聞いた」


 相変わらずピコは人の懐に入り込むのが上手い。


「でもピコちゃんもいて良かったの?」


「観たいって言ってたろ?」


「んー、まあね」


 公演を観るのはジケだけでなく、エニや護衛のリアーネとユディット、それにピコもいる。

 初日公演は貴族も多く集まるだろう。


 そんなところに自分がいてもいいのかピコは少し不安だった。


「なら観てけばいいさ。文句を言う奴は俺が許さないからさ」


「……うん」


 ピコとは反対にジケは周りがどうしたという態度である。

 こっちは歌劇団が所属する商会の商会長だ。


 正当な文句ならともかく、ピコが観てて文句をつけてくることなど許さない。

 こういうところはカッコいいものだとピコは思わず尻尾を振ってしまう。


「それにここら辺偏見強くなさそうだし、大丈夫だろ」


 実際ピコに対する目はそんなに冷たくない。

 獣人は差別されがちであるけれども、ジケたちの国に比べて他の国では言うほど獣人は差別されていない。


 むしろ差別や偏見というより物珍しいという感じで見られている。

 それはやはり獣人と接してきた歴史の違いがあるのだろう。


 北の蛮族として戦ってきた国とほとんど獣人を見たこともない国では、違いがあるのはしょうがない。

 多少嫌な顔をする人もいるが、この感じなら攻撃的な態度に出る人もいないはずだと思っていた。


「なんかあったら俺の後ろにいろよ」


「うん!」


「劇場開いたみたいだよ」


「フィオス歌劇団の公演、楽しもうぜ」


 公演が始まる時間がもうすぐ訪れる。

 劇場の扉が開かれてお客が中に入っていく。


「あっ、フィオス商会の皆様ですね!」


 劇場の入り口でジケは入場のチケットとなっている招待状を見せる。


「お席へ案内いたします」


 係員が一人飛んできてうやうやしく頭を下げる。

 ジケたちは係員の案内で席に向かう。


 劇場はシュトレイブル百周年で建てられた。

 現在シュトレイブルが二百年なので、劇場も百周年ということになる。


 中は重厚さを感じる作りをしているけれど、古さを感じることがない。


「……本気で見るんだな」


 良い劇団のVIP席というと横にある二階席ということもある。

 観にくいことこの上ないのだけど、社交的な側面が強いのでそんなことになっている。


 しかし今回案内されたのは舞台正面。

 そこを特別に区切って、余裕があるように席を配置してある観るためのVIP席が用意してあった。

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