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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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楽器を直して1

「綺麗なもんだな」


 移動の最中も練習は欠かさない。

 楽器の音を立てると魔物が寄ってきてしまうかもしれない。


 だから野営の時に軽くリズムだけをとって、踊りなんかを練習していた。

 ミュコが舞う。


 月明かりの下で、月になって踊っている。

 流して踊っているのにも関わらず、ミュコの踊りには見入ってしまう。


「ふぅ……」


「すごいねぇ!」


 ミュコが踊り終えて、息を吐き出す。

 ピコはミュコに対して惜しみない拍手を送る。


「へへ……」


 ピコのように喜んでくれるとミュコも嬉しい。

 舞台でするようにペコッとお辞儀をして、タオルを取り出す。


「残念ながらピコちゃん音頭では敵わないね……」


 ピコにはピコちゃん音頭という自慢の踊りがある。

 しかし流石に対抗できるとは口が裂けても言えない。


 ただ周りを魅了する不思議な力があるのは、シュレイムドールを守るにも劣らないところがある。


「ピコちゃん音頭も好きだよ」


「ファンが一人……よければ歌劇に取り入れてもいいんだよ?」


「それは……遠慮しとこうかな」


 ミュコは苦笑いを浮かべる。

 ピコちゃん音頭がある種のクセになるものを持っていることは認めるが、歌劇の最中に取り入れるには独創的すぎる。


「ジケはいい? 私と月にならない?」


「魅力的な誘い文句だな」


 ミュコはジケの隣に座る。

 今は声を抑えながらも歌姫の歌唱タイムとなっていた。


 ミュコの誘いは一緒にシュレイムドールを守るを踊らないかというものだけど、ちょっとドキッとするような誘い方である。


「遠慮しとくよ。踊るのも嫌いじゃないけど、月を見ていたい気分なんだ」


「じゃあ、こっち見てよ」


 ミュコの剣舞を見たあとに自分の剣舞を披露する気にはなれない。

 ジケと並ぶミュコは視界に入ろうと体を少し前に倒す。


「いいのか、いい感じだぞ?」


「知らなーい」


 そんな様子をエニは不貞腐れた顔をして見ていた。

 リアーネがイタズラっぽく笑ってエニの頬をつっつく。


「ひひ、まだまだ子供だな」


「……帰ったら料理の練習しようと思うんだけど、リアーネ手伝ってくれる?」


「……あっ、それは勘弁願いたいな……」


「ダメ。食べてもらうから」


 変に乙女心をつついて大失敗。

 怒ったエニの最終兵器を出されて、リアーネは慌ててしまう。


「まず使うのがグリニジアミュジアクラッセ……だっけ? 何だか長い名前だよな」


 イルヒッコクに向かっているのだけど、歌劇団はその前に寄るところがあった。

 グリニジアミュジアクラッセというところで、ざっくり説明するなら音楽学校である。


 ニージャッドを含め、歌劇団の何人かはそこで音楽を学んだことがあるらしい。


「楽器の修理か……大変だな」


 目的は単なる母校訪問ではなく、楽器を治してもらうためだった。

 これまで流しで活動してきたために楽器の整備なども歌劇団が自ら行ってきた。


 しかしある程度の修理や整備は行うことはできるけれど、楽器を修理するプロではない以上限界はある。

 グリニジアミュジアクラッセは楽器の販売もしているし、楽器修理の専門家も抱えている。


 たまたまイルヒッコクに行く途中にグリニジアミュジアクラッセがあるので、立ち寄って楽器をしっかりと整備してもらうつもりなのだった。

 楽器に関しては、ジケも全くの無学である。


 こうしたものは専門家に任せるしかないのだ。


「ジケは楽器やらないの?」


「楽器か……やろうと思ったことはないな」


「そうなの?」


「楽器ってのは……高いからな」


 ジケもリズム感はそれなりにあると思う。

 しかしだからといって楽器に手を出そうと思ったことなんかない。


 楽器そのものも高いし、維持するのにもお金がかかる。

 酒場ではテーブルや酒瓶を叩いたり手拍子でリズムを取って、下手くそでも楽しく歌えればそれでよかった。


 それがジケにとっての歌であり、楽器なのだった。

 ミュコに出会って多少価値観の変化はあるけれど、楽器そのものに強い興味はない。


 剣舞はそれなりに楽しく踊っている。


「ジケが演奏して、私が踊る……そんなのもいいと思うんだけどな」


「ミュコに合わせた良い演奏をするのは難しそうだな」


「そんなことないよ? 一生懸命演奏してくれればきっと良いものになるから」


「まあ、それなら一緒に剣舞を踊るか」


「……その方がいいかもね」


 今から楽器を覚える気はない。

 ジケも今だってやることがいっぱいなのだ。


「ふわ……眠くちゃったな」


 ミュコは大きなあくびをする。

 一曲踊り、少し体の熱も落ち着いてきたら急速に眠くなってきたのだった。


「明日も朝は早いぞ。早めに寝ておけ。馬車使っていいからさ」


 馬車の座席にはアラクネノネドコがクッションとして敷き詰めてある。

 おかげでよりお尻が快適なのだけど、アラクネノネドコは元よりマットレスとして開発されたものだ。


 マットレスとなっているものよりも薄めで、座席の広さしかないので快適とは言えないかもしれないが、地面に寝るより遥かに快適に休むことができる。

 なので馬車は女の子たちが交代で休むようになっているのだ。


 今日はミュコが使う番。


「うん、寝ようかな。おやすみ」


「ああ、おやすみ」


 ミュコが立ち上がって体を伸ばす。

 今の所、旅は何の問題もないのであった。

 

 ーーーーー

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― 新着の感想 ―
>>ただ周りを魅了する不思議な力があるのは、シュレイムドールを守るにも劣らないところがある。 多分、書きたかったのは「勝るとも劣らない」なのだろうけど、文脈的には「負けず劣らず」のほうが適してるのか…
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