表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1405/1446

月と太陽

「問題解決、ピコちゃんにお任せなさい!」


「……危ないかもしれないんだぞ?」


「危なくなったら逃げるのみ!」


 目的地はドカナイ。

 何だかちょっと前に聞いたような国である。


 相手は詐欺師だが、馬車を作ったり騙しやすそうな貴族を調べ上げて相手にしていることを考えるに組織的な動きにも見える。

 メインで動いているのは三人だが、後ろに大きな組織がいる可能性があった。


 そのために今回はジケの騎士たち三人を全員連れていく。

 代わりにクレームで暴れるような人もいるかもしれないので、商会の方は冒険者を雇っていつもより厳重な警備を敷いておくことにした。


「まあ、ピコちゃんがいいなら……」


 いつものようにエニも一緒なのだけど、なぜか普通の顔をしてピコもついてこようとしている。

 危ないということは言っているのだが、それでもついてくるらしい。


 ジケとしても断りにくいところはある。

 今となってはピコの能力の高さはジケも認めるところだ。


 戦闘に関してはからっきしであるものの、それ以外の能力に関しては平均的に高い。

 周りをよく見ているし気が利いて弁も立つ。


 雰囲気を明るくしてくれるので旅のお供にも最適である。

 ピコの能力が役に立つかは分からないが、どこかで役に立つ可能性がないとも言い切れない。


 本人がやる気にもなっているのだから、ついていきたいと言うなら好きなようにさせる。


「それじゃあ行ってくるから。留守番頼んだぞ」


「いってらっしゃい! ギュー!」


「無事に帰ってきてね! ギュー!」


「ああ、軽く悪者退治して帰ってくるよ」


 タミとケリがジケに抱きつく。


「チュッ!」


「私も!」


「ん……ありがと」


 ケリがジケの頬にキスをする。

 不意の出来事に驚いているとタミも逆の頬に唇をつける。


 ただの子供だったタミとケリも少し大人のお嬢さんになってきたものだとジケも照れてしまう。

 家の警備は師匠であるグルゼイがいるから心配はしていない。


 他にもニワトリ巡回隊も度々外を散歩がてら見回っている。

 家の方はまず問題ないだろう。


「ミュコちゃんのこともお願いね!」


「もちろんだよ」


 帰ってくる家がある。

 問題解決も大事かもしれないが、まずは安全第一だとジケは思った。


 ーーーーー


「とりあえず先にイルヒッコクだな」


 詐欺師を見つけ出す。

 これも一つの目的だが、今回はもう一つ目的もあった。


「よろしくね! 一緒なんて珍しいね!」


「うちの歌劇団を守るのも大事な仕事だからな」


 町を出発したジケの馬車にはミュコも乗っていた。

 フィオス歌劇団も遊んでいるわけじゃない。


 普段は歌劇の練習もしながら依頼があれば歌劇を披露しに行ったりする。

 フィオス商会の参加に入って、特定の拠点を置いた関係でジケの国周りで活動することも多い。


 ただ他の国の貴族なんかから公演の依頼が入ることもある。

 ジケたちはドカナイに向かうのだけど、たまたま同じタイミングでフィオス歌劇団に公演の依頼があった。


 ドカナイの隣国にあるイルヒッコクという国で、大きな劇場を十日ほど貸し切って公演する予定なのである。

 隣の国なのでジケたちが護衛がてらそのまま一緒に行くことになったのだった。


「しかし……結構な大規模公演だな」


「うん、そうだね」


 一回限りの公演ではなく、十日間もやってくれというのはそんなにある依頼ではない。

 公演の会場も、イルヒッコクの中でも伝統のある劇場らしいとジケは聞いていた。


「お父さんから聞いた話では、前に王城でやった公演をちょっとだけ見てて気になってたって。依頼した貴族の当主の人が八十歳とかで……その記念で? とか」


「ふーん」


 依頼料もケチることなくしっかりしているし、公演計画までちゃんとしたものが提出されていた。

 半額前金で払うなんて太っ腹さも見せているた。


 まず心配はないだろうと思う。


「何にしてもジケと一緒なのは嬉しいな」


 ジケの隣に座ったミュコは体を寄せる。

 いつもなら歌劇団のみんなと一緒に暇を持て余しながら移動なのだけど、今回はジケやエニも一緒なので機嫌がいい。


「……」


「エニ?」


「何でもない」


 ミュコの逆側に座るエニも少しジケに寄る。


「むっふっふっ〜フィオスゲットだぜ」


 ピコはジケの膝からフィオスを奪い取って、頭に乗せるようにして一緒に窓の外を眺めている。

 思い思いに過ごしながら、まずはフィオス歌劇団のためにイルヒッコクに向かう。


 ついでに歌劇団にも詐欺を注意してもらうつもりだ。

 フィオス商会の名前も広げる機会にもなるし、貴族たちに注意喚起するのにも絶好のタイミングだった。


「ジケも出てくれたら嬉しいんだけどなぁ〜」


「まあ、俺にもやることがあるからな」


 ミュコの剣舞は単体でも綺麗だが、対となる動きがあってもまた美しくなる。

 現状シュレイムドールを守るを披露できるのはジケとミュコだけであり、対となる現場を見せるならジケしか相手がいない。


 でも人前で剣舞を披露するなんて恥ずかしい。

 剣舞はできても人前で披露することはまた別問題だ。


「じゃあ……また私と踊ってよ」


 ミュコはジケの目を見つめる。


「ジケと踊ると……楽しいんだ」


 笑顔を浮かべるミュコはちょっとした妖艶さがある。


「まあ……一緒に踊るぐらいなら」


「約束ね!」


「むぅ……」


「おぉ怖いねぇ」


 満面の笑みを浮かべるミュコに対して、エニは少しムッとしている。

 ミュコが月なら、燃えるようなエニは太陽かもしれない。


 挟まれるジケは大変そうだなとピコはフィオスをムニムニしながら笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ