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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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まずは説得

「四件目!」


 とうとう四件目のクレームが入った。

 今度は長文の手紙が送られてきた。


 直接対応する手間はないけれど、手紙で一方的に怒られては弁解もできない。


「この分だと他にも被害に遭った人がいそうだな」


 手紙を置いてジケは深いため息をつく。

 直接、あるいは手紙でも文句を言う人はまだいいのかもしれない。


 遠い国だからとクレームを言いに来ることすら来ない人だっているだろう。

 まだジケのところに話が届いていないだけで、被害者は意外と多いのかもしれない。


「こんなのほっとけばいいんじゃないの?」


 エニが手紙を軽く覗き込む。

 怒りが伝わってくる荒々しい文字で罵倒するような言葉が並んでいる。


 あまり教育上よろしくない内容で、燃やしてしまおうかとエニは顔をしかめた。


「一応イスコさんに弁解の手紙は出してもらうよ」


 ジケとしてもこんなに酷いことを言わなくてもいいのにとは思う。

 関わりがなければ無視したいところだけど、一応関わることなので誠実に対応する。


 放置して悪口を広められても困る。


「悪口のオンパレード……ここまでかけるのも才能だね」


 ピコが面白そうに手紙の内容を読んでいる。

 誰かを罵倒する言葉のレパートリーを増やすつもりはないが、ここまで人を罵倒できるのも凄いと思っていた。


「流石にこの問題……静観しているわけにもいかない」


「好き勝手やられちゃ……困るよね〜」


 クレームを言いに来ない人を考えると、被害実態は倍ぐらいになるかもしれない。

 国内ではだいぶフィオス商会の話は広まっているから、こうした詐欺に遭う人はいないだろう。


 ただ国外では、まだまだ風の噂ぐらいの商会に過ぎない。

 これから手を広げることも考えていたのに、風評被害ばかりが先行しては困ってしまう。


「それで……どうするつもり?」


 エニはジトーッとした目でジケのことを見る。

 また何かするつもりだ、そんな予感がエニにはしていた。


「……そんな目で見るなよ」


「で、何するの?」


 もはや何かすることはエニの中で確定である。

 

「……自分で捕まえに行こうかなと思ってました」


 勢いよく行こうと言うつもりだったのだけど、すっかり勢いを削がれて静かに白状する。

 フェッツの権力が及ばない他の国の商人ギルドが積極的に動いてくれるとも思えない。


 そうなると自分たちで動いていくしかないのだ。


「フィオス商会の名前に泥塗られて黙っていられないよ」


 商会はここまで育てた子供のような存在である。

 それが知らないところで詐欺に使われているなんて許せるはずもない。


 フィオスの名前まで使っているのだから余計に許せないところもある。


「……それで細かい計画は?」


「んもう、ツンデレ!」


「ピコ!」


「やぁん! 怒んないで!」


 ピコはジケの後ろに隠れる。

 怒ったような態度を見せてはいても、止めるつもりなんてないことはピコにも分かっている。


「はは……まあ闇雲に行ったって難しいことは分かってる。でもクレームが来てくれたおかげで多少は絞り込めるようになった」


 ジケは地図を出して広げる。


「ここまででクレームをつけてきた人はここと……ここ……それに……こことここ」


 一応ちゃんとクレームをつけた人のことも聞き出してある。

 手紙の人もバカ丁寧に自分の住んでいるところを書いていた。


 その四か所を軽く指で指し示していった。


「……それで?」


「私も分かんない」


 ピコとエニはだからどうしたのかと首を傾げる。


「他の国っていうと範囲広いけど、詐欺にあった人の場所を考えてみると意外と関係もありそうな気がしないか?」


「うーん?」


「ふっ……ピコちゃん分からず」


 一瞬分かったかのように笑ったが、流石のピコも関係を見出すことはできなかった。


「たまたまかもしれないけど、四つを繋ぐと割と綺麗な四角っぽくなる」


 クレームをつけた人を線で結ぶと、四角になる。

 点が四つなので四角になるのは当然だが、四角の形は割と綺麗な正方形っぽくなる。


「それがどうしたの?」


「ピコーん! ピコちゃん分かっちゃったね! ここ!」


「ここ?」


 得意げな顔をしたピコは四角の中心となる場所を指差した。


「正解だ」


「どういうことよ?」


 エニはまだ分からずに目を細めてムッとした顔をする。


「考えてもみろ。今回詐欺に使われてる商品は馬車だ。簡単に持ち運べるものじゃなくて、作るのにも時間も場所も必要だ」


 小物なら旅をしながら行く先々で詐欺を働くこともできる。

 しかし馬車となれば一個用意して、ある程度ターゲットを絞り込んで騙しにいっているはずだ。


「どこかに馬車を作って置いておく拠点がある。どの点からも大体同じ距離にあるこの場所……」


「そこに詐欺師の拠点があるってこと?」


「多分な。可能性は高いと思う」


「ああ、ピコちゃんの頭脳の凄さが恨めしい……」


 口先で騙す技術は高いが、すぐにバレるような馬車を作っている。

 そんなに遠くに馬車を運んでいるはずもない。


 となるとそれぞれの点から近いところに詐欺師がいる可能性が最も高い。


「ここら辺を中心に探していく。……危ないかもしれないから、一緒に来てくれるか?」


 危ないから来てくれ。

 矛盾しているようだけど、これがジケとエニの約束だ。


 危ないから連れて行くこと。

 今回だって何が起こるか分からない。


「……しょうがないね」


 フィオス商会を騙るのはエニも許せない。

 なので詐欺師を探しにジケたちは自ら動き出すことにしたのだった。

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