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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十二章

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先輩にご相談

「フィオス商会の偽物が出ている……なるほど、それは由々しき事態だな」


 ジケから相談を受けたフェッツの目がギラリと光る。


「しかも同じことが三度……相手も味をしめているようだな」


 ジケは商人ギルドを訪れて、フェッツに偽物の相談をしていた。

 こうした時には商人を守るために商人ギルドも相談に乗ってくれるし、何よりフェッツはフィオス商会の後援である。


 フィオス商会に泥を塗る行為は後ろにいるフェッツにも泥を塗ることと変わらないのだ。

 さらに事態が深刻なのは、ドシボルの一件だけで偽物騒動が終わらなかったということもあったのだ。


 多少忙しかったフェッツの予定が空くまでの間に二件の入った。

 同じく不良品の馬車をつかまされたというものである。


 一件なら偶然とか単発的な事件として忘れることもできようが、二件、三件と発生すれば相手が意図的にフィオス商会の名前を使って悪事を働いていると考えるしかない。


「しかしまさかそんなことをしでかす連中がいるとはな」


 フェッツは思わずため息を漏らす。

 時に専売となる商品を抱える商人のパクリをする人が出ることもある。


 有名な商人の名を勝手に使ったり、後ろ盾がいると嘘をつく人も決していないわけじゃない。

 今回の事件もフィオス商会の馬車の名声がそれだけ広まった証左にはなるが、このまま放置するわけにいかない雰囲気が出てきた。


「どうしたらいいですかね?」


「私の偽物もいるっていうんだから許せないよな……」


 流石のジケも困り顔。

 ジケの後ろに護衛として立っているリアーネは呆れ顔をしている。


 偽物はジケたちっぽい感じも演出している。

 ジケっぽい人とリアーネっぽい人とユディットっぽい人。


 今でもリアーネとユディットはジケのそばで護衛をしてくれている大切な人たちだ。

 ただ商会の仕事として見た時には、若干情報は古いような気もする。


 リアーネは、自分の偽物がどんなもんなのか見てみたいと思っていた。


「とりあえず他の国の商人ギルドに通達を出しておこう。詐欺事件となれば被害者も出るわけだからな。ただそれだけで効果があるかは怪しい」


 横の繋がりがある他国の商人ギルドに詐欺を働く偽物がいる、と連絡を入れることはできる。

 しかしその後どうするのかは各国の商人ギルドに任されてしまう。


 真摯に受け止めて情報を拡散してくれたとしても、伝わるのは商人ギルドに近い商人ぐらいのものだろう。

 そもそも商人が粗悪な馬車を買わされるはずもなく、必要なところにフィオス商会の偽物がいるとは伝わらない可能性が高い。


「ただこうした話をしておけばフィオス商会が責を負わされることはない」


 フィオス商会は販売の記録もつけてあるし、クモノイタという特殊な素材を用いて馬車を作っている。

 知らない相手が現れてもウチの馬車じゃありませんと否定できる。


 商人ギルドに話をして、他国の商人ギルドにまで警告していたのなら訴えられたとしてもフィオス商会はまず負けない。


「ただそれでも……」


「うちの悪評は止められないですよね……」


 ジケはため息をついてしまう。

 責任がなくとも不満はあるだろう。


 クレームを言いにくる人はまだいい。

 偽物の騙されたのだと証明できるし、ちゃんと話をして解決に向かうこともできるのだから。


 だが全くジケたちの関知しないところで騙されて、そのまま文句だけ言っている人はかなり危険だ。

 好き勝手にフィオス商会の文句を言う。


 せっかく積み重ねてきた評判に泥を塗り、傷をつける結果になってしまうのだ。

 クレームを言いにきた人だって、一人はクレームだけ言って馬車を置いてそのまま怒って帰ってしまった。


「どこかでこんな壁にぶち当たる可能性は考えていたが、他国となるとな……」


 国内ならば対処のしようもある。

 けれども他の国だとフェッツの力も及ばない。


「基本的に君にできることもない。こうしたクレームがあった時には誠実に対応する他にはない」


「そうですか……」


「粗悪な馬車を、他の商会の名前で売るのはもちろん犯罪だ。他の商人ギルドがこのことを知って対策に当たれば逮捕される可能性も出てくる」


「それ待つしかないということですか」


「自分で捕まえてしまう、なんて人もいないことはないが……」


「おっ、それいいんじゃないか?」


 ちょっとした閉塞感のある重たい空気が漂っていた中でフェッツが漏らした言葉に、リアーネが反応した。

 

「確かに……それもあるかもな」


 待っているだけというのは性に合わない。

 自分で捕まえる。


 どうしようもないかと落ち込んでいたジケの目がギラリとした光が宿る。


「……どうするのかは任せる。ただあまり危ないことはしてはいけないぞ?」


「まあ……ちょっと考えてみます」


 何かやりそうだ。

 フェッツはジケの目を見てそう思ったのであった。

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