一件落着2
「良いお父さんだな」
「良いお父ちゃんだよ」
ピコがニッコリと笑う。
父親というものは知らないけれど、ピコをピコらしく育てたオツネはきっと良い人で、すごい人のだろうとジケは感じた。
「ええと、ここら辺のはずだけど……」
「あっちだな」
以前来たところよりも、もうちょっと森の奥に入ってきた。
ジケの魔力感知に人の姿が見えていた。
「ん? あれは……」
「あっ、ザーデナーさんだ」
向かってみると調査隊の人たちがいた。
ただ人数は倍どころじゃなくたくさんいた。
残り半分の調査隊が合流したことに加えて護衛に兵士が加わり、安全のためにさらにスイロウ族も増員して雇っている。
「無事だったのか!」
調査隊の人たちが学者たちを見て驚いた顔をする。
「どうもお久しぶりです」
「カグノーズを追いかけたとは聞いていましたが、みんなを助けてくださったのですね」
流石にザーデナーは話の飲み込みが早かった。
「直接こちらまで送り届けに来ました」
「……みんなが無事でよかった」
「相手は捕まえて、兵士に引き渡してあります。あとはバンガルって人も関係者扱いで」
「バンガルが? ……そこまで落ちたか」
バンガルが誘拐に関わっていると聞いて、ザーデナーは深いため息をつく。
「今はまだ情報が錯綜しているようですけど、落ち着いたらちゃんと処理されると思います」
国の中を大移動した。
ケントウシソウの群生地近くを守る兵士に報告はしたが、そこからしっかりと情報が伝わるのにも時間がかかる。
ジケたちを追いかけたという兵士たちにも、もう全ては終わったと伝わるのはまだ後になるだろう。
全部が終わったと末端まで伝わって、事件の詳細な調査なんかがこれから始まるはずだ。
「学者の方々は無事だったのでそのまま調査隊の方でお願いします。カグノーズさんはこちらで引き取っても?」
「ええ、元々調査隊のメンバーではありませんからね。彼の意思を尊重しますよ」
調査隊所属の学者たちはこのまままた調査隊に合流する。
基本的に怪我なんかはなかったので大丈夫だろう。
心のケアの方は調査を休むとかそんな話になるので、調査隊に任せる。
「とりあえずこんなもんかな?」
後で事件に関して話を聞かれることもあるだろう。
だがグリーンスネークの調査なんかはジケの手が及ぶことではない。
「あとはのんびり帰って、まだ石鹸作りかな」
揺れる馬車はもう勘弁。
ちゃんと人が通る道を普通のスピードで走って揺れないように帰りたい。
「まあ、今回はジケが誘拐されなかったね」
「俺だって毎回誘拐されるわけじゃないさ」
いつもならジケが誘拐されていたところだとエニが冗談を言う。
確かに今回は追いかける側だったな、と思うけれども、誘拐なんてそうそうされるものではない。
「何にしても一件落着! みんなお疲れ!」
またしてもジケが問題を解決した。
そんな報告を受けて王様と宰相が頭を抱えることになるのだけど、それはまた別のお話である。
いなくなったカグノーズ事件は、こうして無事に終わったのだった。




