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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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香りを追いかけろ3


「だんだんニオイ分かんなくなってきた」


「僕も…………」


 二人の鼻でニオイを辿って移動してきた。

 今のところ順調であるとは思うのだけど、二人は少しゲンナリとした顔をしていた。


 ニオイを辿るのはいいけれど、甘いニオイばかり嗅いでいると具合が悪くなってくる。


「大丈夫か?」


「だいじょばない……ジケ君、ちょいちょい」


「なんだ?」


「すぅーーーー……はぁー!」


「……ピコちゃん?」


 手招きされてジケはピコに近づく。

 ピコはジケの胸に顔をうずめると、思いきり息を吸い込む。


「きくぅ〜」


 ピコの尻尾が伸びてビビビと震える。


「こらっ!」


「あでっ!」


 何が効いてるんだとジケはピコの頭にチョップを落とす。


「嗅覚リセットだよ!」


「人のニオイでリセットするな!」


「ジケ君はいいニオイだよ!」


「ならいっか……とはならないからな」


 ちょっと臭うのかな、とジケは思わず気にしてしまう。

 それで鼻がリセットされるのかはジケにとっては謎である。


「我が娘よ! 父のニオイなら……」


 オツネが手を広げる。

 ニオイを嗅ぐなら自分がいると猛烈アピールだ。


「お父さん汗くさいよ」


「なっ……」


 ピコが呆れ顔で答える。

 散々走ったオツネはだいぶ汗をかいていた。


「おじさんくさいし」


「うっ!」


「ジケ君の方がいーニオイがするんだよ」


「くっ……」


「オツネ……」


 ピコの言葉にオツネはガックリと肩を落とす。

 ナルジオンも同じく娘を持つ身として同情的な目を向ける。


「でもお父さんも普段のニオイは嫌いじゃないよ」


「ピコォ……」


「今はクサイから近づかないで」


「くぅ……」


 襲撃騒ぎの時にみんなに遅れないようにと必死に走った結果がこれである。

 親子関係というのは簡単には行かないものであるとジケは苦笑いを浮かべるしかなかった。


「私はダメだよ」


「えぁ……はい」


 ピコがジケで鼻をリセットしたならとトースがチラチラとウルシュナのことを見るが、当然ながらウルシュナはそんなことを許すはずがない。


「交代でニオイを探していこう」


 二人同時に鼻を使っていてはニオイも分かりにくくなってくる。

 ここは二人に加えて、鼻がきくリアーネの魔獣であるケフベラスも加えて交代で追いかけることにした。


「スンスン!」


「なあ、俺臭ったりする?」


 ピコが鼻をきかせて甘いニオイを追いかけていく。

 ジケはどうしても自分が臭うのか、気になってしまってエニに聞いてみる。


「別にクサイと思ったことなんて一回もないよ」


 お金のない貧民の時から一緒だけど、ジケが臭うと思ったことはない。

 毎日清潔にしていたわけでもないが、体が汚れすぎると病気の可能性も上がるのでそこら辺は気をつけていたりした。


 幸い、自由に使える井戸はあったので水に不自由はなかった。

 なので頭から水を被って、ボロ布で体を拭くぐらいのことは時々していたのである。


 雨風防げる家もあって野ざらしにされることはなかったし、ジケが臭っていたことはないとエニは思う。


「むしろジケのニオイは落ち着く……あっ、そんな、嗅いでるわけじゃないけど……」


 変なことを言ったとエニは顔を赤くする。


「そうですね。ジケ君の香りは落ち着きますよ」


 リンデランがエニに同調する。

 なんのニオイがするということでもないけれど、ジケのニオイを嗅ぐと落ち着く感じがする。


 同時にちょっと興奮する感じもすると思うのは秘密である。


「……私はあんまり分かんないかな」


 ウルシュナは困ったように笑っている。

 ジケのニオイとやらを嗅いだような記憶はあまりない。


「ただクサイなんて思ったことはないかな」


「まあ、みんながそう言ってくれるなら大丈夫かな」


 ジケとしても体は綺麗に保っている。

 今でこそお湯を使ってお風呂入ったり体を拭いたりできるが、それよりも前から体は綺麗にしていた。


 過去の知識があるので、フィオスに体の汚れを食べてもらうというスライム入浴を度々していたのだった。


「なんかクサイ……」


「えっ?」


 ピコと交代したトースが顔をしかめる。


「ジケじゃないよ。なんだろ……なんか、焼けるニオイ?」


「これは死体が焼けるニオイだ」


 風に乗って漂うニオイをナルジオンも感じていた。

 クサイと言ったのはもちろんジケのことではなかった。


「急ごう」


 死体が焼けるニオイなんていうものだから、不安になって足を速める。


「うわぁ……」


 森の中を進んでいくと、ジケたちにも嫌なニオイが感じられるようになってきた。

 そして程なくして、森の中に真っ黒に焼けこげた人の死体のようなものがいくつか転がっているのを見つけた。


「もしかして……」


「そうじゃないことを願おう」


 さらわれた学者たちではないか。

 そんな嫌な予感もするが、個人の判別ができないほどに焼かれている。


「……学者たちではなさそうですね」


 ちょっと死体には触りたくないので、周囲から観察してみた。

 残念ながら身元が分かりそうな持ち物もなさそうだと思っていたが、ここでヘレンゼールは剣を抜いた。


「ここ……切り傷があります」


 剣の先で死体の一つの脇腹を軽く持ち上げる。

 焼かれているために分かりにくいが、次第に筋のようなものがある。


 それは何かで切られた痕跡のように見える。


「相手は学者たちには手を出さなかったと聞いています。何かの理由で邪魔になったとしてもここを攻撃する理由はない」


「戦いで怪我した襲撃者……ということですか?」


「その可能性が高いでしょう」


 死体がカグノーズを含めた学者たちである可能性がちょっと低くなった。

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