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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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香りを追いかけろ2

「西か南……どちらだと思いますか?」


「それ、俺に聞きます?」


「カグノーズを追いかけているのはあなたですからね」


 西に向かうのと、南に向かうのでは大違いだ。

 単純に人を二つに分ければいいというわけでもない。


 西と南どちらかに決めたとしても、広めに捜索していく必要があるので人手が必要になる。

 二つの方角に分けて十分な捜索を行うような余裕はない。


「うーん……」


「ねねねね」


「なんだよ、ピコちゃん?」


 ピコがジケの脇腹をつつく。

 ジケはくすぐったくて少し身をよじる。


「ここら辺変なニオイしない?」


「変なニオイ?」


「確かに変なニオイするな。あんまり嗅いだことない……甘ったるいニオイっていうか……」


 ピコの言葉にトースが同調する。


「俺には分かんないな」


「私も」


 変なニオイがするというものだからジケは空気を吸い込んでみる。

 ただ二人が言うようなニオイなんてものは感じない。


 エニも同じようだった。


「ニオイ……トース、普段からそんなニオイするのか?」


「いや、しないよ。嗅いだことないし、聞いたこともない」


 トースは困った顔をして肩をすくめる。


「もしかして……これはカグノーズさんがやったんじゃないかな?」


 ニオイ、と聞いてジケは一つの可能性に思い当たった。

 カグノーズはニオイの専門家である。


 普段はないはずで、しかも獣人にしか感じ取れない甘いニオイとやらは明らかにおかしい。

 さらわれたカグノーズが、何かの方法で自分の居場所を伝えようとしている可能性があると思った。


「ニオイ、辿れるか?」


 もう何かを推測できそうなヒントもない。

 西か南かも判断はできない。


 こうなったらニオイというヒントを追いかけてみるしかない。


「このピコちゃんにお任せ! スンスンスンスン!」


「ぼ、僕も頑張るよ!」


 ピコとトースで変なニオイがどこから漂ってきているのかを探す。

 トースはウルシュナに良いところを見せようと特にやる気だ。


「若いのに任せようか」


「そうですね」


 もちろんナルジオンやオツネたち大人もニオイを感じていた。

 ただ嗅覚なんかについては若い方が敏感になる。


 ナルジオンのミミはジケの魔力感知よりも広い範囲をカバーできたが、嗅覚の方はあまり自信がなかった。


「……あっち!」


「向こうだ!」


 ピコとトースが同時に同じ方向を指差した。


「向こうは……南の方になるな」


 指差された方角は大体南の方向であった。


「……よし、そっちに行ってみよう」


 悩んで時間をかけるほどにカグノーズを誘拐した犯人は離れていってしまう。

 他に決断できるような要素もないのだから、ここは二人の鼻を信じてみようと思った。


 残った調査隊の方はスイロウ族に任せることにして、ジケたちはニオイを辿っていくことにした。


「クンクン」


 ピコは顔の向きを変えながらニオイの方向を探っている。


「ん? ここから臭うね」


 ピコは地面に伏せる。


「ここ!」


「そこ? ……本当だ。甘いニオイがする」


 ピコが嗅いでいた場所をジケも嗅いでみる。

 お菓子やなんかとは違う甘いニオイが地面からしていた。


「やっぱり何かしてるようだな」


 何の変哲もない地面から突然甘いニオイがするはずがない。

 カグノーズが何かしたに違いない。


「ただ……」


「うん……これじゃ次探せないよ……」


 この様子だと転々とニオイの素を落としているのかもしれない。

 ただ地面から発せられるニオイが強すぎる。


 次にどこにニオイの素があるのか探したくとも、次の場所のニオイを探すことができない。


「ふっ、任せろ! フィオス、出番だ!」


 トースもピコも困り顔をしているが、ジケはニヤリと笑う。

 言葉の勢いに反して意外と優しく地面にフィオスを置く。


 フィオスが置かれたのはニオイがしているところだった。


「おおっ!?」


「何か染み出してきましたね?」


 ニオイに蓋でもするのか。

 そう思ってみんなフィオスのことを見ていた。


 すると地面から何かの液体がフィオスの中に染み出してきた。


「これがニオイの素だな」


 フィオスが地面に染み込んだニオイの素を分離して取り出しているのだ。

 自分の体内にあるものなら、フィオスはある程度コントロールすることができる。


 金属だけ溶かさないことができるように、水分ぐらいなら分解したりもできるのだ。

 ニオイの素が何なのかは分からないが、地面に目に見える物が落ちていないなら何かの液体だろうと思った。


 フィオスはそれを地面の土から分離して取り出したのである。


「……これなら次探せそう!」


 フィオスの中に白っぽい液体が漂う。

 ニオイの素が無くなったのでピコやトースが感じるニオイが弱くなった。


 まだ空中に漂うニオイはあるが、時折風も吹いているので上手くニオイが風に流されて次を探すのにも都合がいい。


「よい、いくぞ!」


「お任せあれ! スンスン! クンクン!」


 ピコがまたニオイを探していく。


「向こうじゃー!」


 鼻に関してはトースよりもピコの方が良いらしく、ピコの方が先にニオイの方向を見つける。


「くっ! ま、負けない!」


 良いところを見せる機会なのにピコに出番を取られてしまう。

 トースも頑張ってニオイを探す。

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