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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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香りを追いかけろ1

「カグノーズさんとバンガルさんを含めた数人の学者がさらわれた……」


 怪我人の治療も終わった。

 スイロウ族たちが助けた人たちは治療のおかげで助かった。


 しかし戦いの最中に命を落とした人もいる。

 ただ命を落としたのは全員冒険者であった。


 調査隊を助けようとして相手にやられたのである。

 死体はそのまま残されていた。


 こちらの被害は倒された冒険者とカグノーズを含めた学者たちの誘拐である。

 

「だけど相手は相手はわからない……か」


 全く歯が立たないような圧倒的な相手でもなかった。

 護衛だった冒険者が抵抗して何人か相手のことも倒した。


 けれども現場に行ってみると冒険者たちの死体しかなく、相手の死体は無くなっていた。


「証拠を残さないようにするために、わざわざ持ち帰ったのですね」


 ヘレンゼールが膝をついて地面を確認する。

 地面には血の跡と引きずったような痕跡も残っていた。

 

 出血量からして助からないだろう雰囲気のものもあったが、それでも連れていった。

 ジケがそんなことをしたなら仲間を見捨てないとか温情とか言われるだろう。

 

 しかしながら、普通の人は命がかかった場面でそんな優しさの行動をとるわけじゃない。

 どうしてわざわざ仲間を全員連れていったのか。

 

 考えうる理由は証拠隠滅だ。

 襲撃してきた人たちが何者なのかバレてしまう可能性をできる限り比較しようと、たとえ死んでいても仲間を回収したのだと考えられた。


「言葉に訛りがあった、という話もあります。この辺りの住民ではないのかもしれないですね」


 少ないヒントしかないが、なんとか相手が何者なのか考える。

 襲われた調査隊の話では、言葉が少し訛っているような感じだったという。


 そうなるとこの国の人間じゃない可能性もある。

 いくつかの国ではイントネーションが独特だったりすることもあるのだ。


 あるいはもっと遠い、違う言葉を話す国の人ということも考えられる。

 ジケが住む国周辺はほとんどの国で同一の言語を使っている。


 割と世界でも同じ言葉を使っている、とジケはどこかで聞いた覚えもある。

 ただ遠くの国に行くとその地域の言葉だったりするものがあるなんて話も聞いたことがあった。


 こちらの言葉に慣れていないと、多少訛ったように聞こえることもあるだろう。


「でも遠くの国から来たとは思いにくいな」


 船で渡るラグカですら言葉は同じ。

 もっと遠くの、ジケですら噂で少し聞いたことがあるようなところまで行かなきゃ言葉は通じなくならない。


 そんな国の人がわざわざここまで来て調査隊を誘拐する理由がない。

 多少言葉が訛っている、イントネーションが異なっているような国や人なら近くにもいるので、そちらの方が可能性が高そうだった。


「にしてもどこに逃げたんだか……」


 やはり少ないヒントでは相手を特定しきれない。

 そもそも相手の目的も全くもって謎である。


 学者たちをさらって何をしたいのか。

 計画的な誘拐なのか、それとも突発的な反抗なのかもわからない。


 コルモー大森林は広くて闇雲に探すこともできない。


「このまま北に行ってしまうと寒冷地帯……獣人の領域に入ります」


「我々がやったとでもいうのか?」


 ヘレンゼールの言葉にナルジオンが不愉快そうに目を細める。


「そうは言ってません。逆ですよ。このまま北上して逃げていくとは考えにくい」


 北に行くと獣人の領域になるし、身を隠す場所もなくなる。

 逃げる先として北は選ばれない。


 それなら、とナルジオンも納得した顔をする。


「東に向かうと森を横断することになります。川もあるし、スイロウ族と接触する可能性がある」


「じゃあ北と東は除外しましょう」


 北には逃げないだろう。

 東は可能性が低く、他のスイロウ族に話をしておけば警戒もしてくれる。


「西に逃げると、まだ距離はありますが帝国があります。相手が帝国人なら厄介……そのまま帝国に逃げ込むでしょうね」


「帝国の人に帝国に逃げられたら追いかけられないですね」


 仮に犯罪者だろうが、帝国は自分の国の人間を保護する。

 他国で人を誘拐するなんて重罪を犯すなら、帝国そのものが関わっている可能性も否定できない。


 そのような場合、帝国まで逃げられてしまえば終わりと言える。


「それは最悪のパターンですね。もう一つは……南でしょう」


 北、東、西ときたら南になる。

 帝国の人に訛りはない。


 訛りがあるというところから帝国の可能性はやや低く見積もっている。

 ならば南に逃げた可能性が高い。


「コルモー大森林を抜けて、そのまま南下する。……どこに行くのかは知らないですが、南にあるどこかの国かもしれませんね」


「でも南も広いしね……」


 方角が南だと分かったとしても、四方向のうち一つに絞れたに過ぎない。

 南のどこに逃げたのか分からなきゃ追いかけようもないのである。


「手詰まり……か」


「これ以上は推測しようもないですね。ただ追いかければ希望はあります」


「ありますか?」


「死にかけ……あるいは死んだ仲間と、協力的はないだろう学者たちを連れて素早く動くことはできない。まだそう遠くに逃げていないでしょう」


 ただ逃げているならともかく、誘拐の上で逃げている。

 逃走のスピードはそんなに上がらないはずだ。

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