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【コミカラ二巻出たよ】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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香る男が見つからない6

「調査隊に問題が発生した。助けを呼びにいくところだった」


「問題? 何があったの?」


「襲われた」


「襲われた?」


 ジケとトースは顔を見合わせる。


「相手は誰だか分かっていないが……調査隊に怪我人が出てる」


 スイロウ族も調査隊に自由にさせているわけじゃない。

 調査隊の監視役をつけていた。


「俺たちが向かおう」


 どの道、調査隊のところには向かうつもりであった。

 戦力はナルジオンを始めとして十分であるし、治療にはエニがいる。


「案内お願いします」


「……分かった」


 タミラスアダルは一度トースを見る。

 トースが頷いて、元来た道を戻り始める。


 ジケたちはその後を追いかけていく。


「調査隊もバカじゃない。魔物の対策として戦えるやつも同行させていた。そいつらが戦ったけど……相手の方が強かった」


「じゃあ調査隊は無事なの?」


「近くにいた俺たちが駆けつけたから、襲ってきた奴らは追い返した。あの辺りは俺たちもあまり行かないからと警戒していて助かったな」


 明るい雰囲気だったのに、急に緊張が走る。

 とりあえず調査隊は無事なようであるが、怪我人がいるのなら安心はできない。


「エニやリンデランは大丈夫そうか?」


 突然走ることになってしまった。

 ジケは中でも体力が低そうなエニとリンデランのことを心配する。


「これぐらい平気」


「私も……あ、でもダメって言ったらおんぶしてくれますか?」


「その質問の仕方だとまだ平気だって分かっちゃうだろ?」


「いいえ、だいぶ疲れました」


 顔を見ればエニもリンデランもまだ平気そう。

 元貧民で走り回っていたエニはともかく、リンデランも意外と体力がある。


 ジケに置いていかれないように普段からちょっと運動を頑張ったりしている結果が出てきていた。

 でもちょっとぐらい苦しいふりしたら心配してもらえるかな、なんて考えるようになったのも少し悪い成長をしているのかもしれない。


「へぇ……ひぃ……」


「情けない……」


「おとっつぁん……」


 中でも一番苦しそうにしているのはオツネであった。

 娘の前で脱落するわけにはいかないと一人で気を吐いていたが、もうヘロヘロなことは見て分かる。


 ナルジオンがため息をつき、ピコは渋い顔をしている。


「タミラスアダル、早かったな」


 走っていくと小川の近くに出た。

 そこに調査隊と何人かのスイロウ族がいた。


「途中で彼らに出会った」


「彼ら……なるほど」


 見た感じではスイロウ族は無事なようだが、調査隊と思わしき人たちは地面に寝かされている。

 スイロウ族たちはまずナルジオンを見て、次にジケを見た。


 少し前に族長をボコボコにした実力者とコルモー大森林を救った英雄が一緒なら、ありがたい援軍だと文句もない。


「エニ」


「分かってる!」


 地面に寝かされている調査隊には、酷い怪我をしていることが見て分かるような人もいた。

 すぐにエニが動き出す。


「怪我が軽い人にはこれを」


「これは……」


「スライム印のポーションです」

 

 ジケは荷物の中からポーションが入った瓶を取り出してスイロウ族に渡す。

 中身のポーションはフィオスが作ったものである。


「ふ、ふぅ……」


「大丈夫、お父さん?」


「これぐらい……余裕だよ」


「痩せ我慢は体に悪いよ?」


 仮にダウンしていたらナルジオンに抱えられていたことだろう。

 しかしオツネは何とか持ち堪えて最後まで走ってついてきた。


 ピコがため息をつきながらも、オツネの汗を拭いてあげている。


「いますか?」


「……いえ、ここにはいませんね」


 ジケはその場にいる人を見回すヘレンゼールに声をかけた。

 いるか、と聞いたのはカグノーズのこと。


 ヘレンゼールはカグノーズと面識があって顔を知っているので、ここにいるのか尋ねたのである。


「ここにいる人が全員ですか?」


「ああ、幸い死者はいない。追い払った時にいたやつは全員、ここに集めてある」


 ジケは調査隊の人たちのことを見る。

 しっかりと武装しているのが、調査隊を護衛するための冒険者だろう。


 比較的軽装の人たちが調査隊の学者たちである。


「すいません、大丈夫ですか?」


「助かりましたよ。ポーションありがとうございます」


 ジケは軽傷で済んで、ポーション治療の終わっている年配の調査隊に話しかけてみる。


「バンガルさん、という方はいらっしゃいますか?」


「バンガル? いるが…………ん? いや、いないな」


 年配の調査隊はキョロキョロと周りを見回して眉をひそめる。


「バンガルだけじゃない……他にも何人がいなくなっている」


「どういうことだ?」


 ジケも周りを見るが、調査隊が何人いたのかすら知らない。

 いなくなっている人がいると言っても全く分からなかった。


「すいません」


「どうかしましたか、ジケさん?」


「調査隊の人が何人かいないようなんです。本当に他に人はいなかったんですか?」


 もう一度スイロウ族の獣人に話を聞いてみる。


「何人かいない……そういえば、駆けつけた時に逃げていく奴らが。人を抱えていたかもしれない。戦うのに夢中でよく見ていなかったし、残った連中を守るのに追いかけもしなかったから……」


「つまり……誘拐された?」


「また複雑なことになってそうだね」


 怪我人のようにぐったりしているオツネは放置されて、ピコはジケの隣に立っていた。

 話を聞いて、何が起きているのか推理していますみたいな顔をしている。

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