相変わらず賑やかに
「お団子食べる?」
「うん、もらおうかな」
「私も食べる〜」
「ではお一つ」
ピコが大きな葉っぱで作った包みを開くと、タミケリお手製のお団子がお目見えする。
エニを始めとして、ウルシュナとリンデランがお団子に手を伸ばす。
ピコは時々団子を作ってはどこかで練り歩きながら売ったり、知り合いになったお店に置かせてもらったりしているらしい。
お団子は巷でちょっと話題になっているようだけど、ピコとタミとケリの気分次第なので意外と貴重な品になっている。
不定期販売でいつ手に入るか分からないところもまた評判になっている一因かもしれない。
馬車に揺られながらみんなが団子を食べる。
「なっ! 私にもくれよー!」
御者台からリアーネが声をかける。
「ほいほい」
ピコは御者台の方にある小窓を開けて、団子を差し出す。
「あんがと。ジケはいいのか?」
「んー、じゃあもらっとくかな」
小窓のそばにいたジケも団子を一つもらう。
「ユディットは?」
「私はいいです」
「あとで欲しいって言ってもないからねー」
今ジケたちはコルモー大森林に向かっている。
いつものことながらエニやリアーネ、ユディットなどのジケ周りの人がいるのはもちろん、リンデランとウルシュナもいる。
リンデランはカグノーズを紹介するといった手前、最後まで責任を果たすとついてきた。
ただ一応メインの目的としてはスイロウ族に会いに行くというものであり、話を聞いたウルシュナもついてくることになったのだ。
メインの目的がうっすいものであることは否定できない。
実際はカグノーズを探しにいくのが目的である。
「うん、美味いな」
今回はピコもついてきている。
スイロウ族は獣人だ。
北方以外に住んでいる獣人がどんなものかと気になったらしくて来ている。
リンデランはカグノーズのことをあまり知らない。
「……全く、面倒ですね」
ジケたちはカグノーズの顔も知らないので、ヘギウス商会からリンデランの護衛兼カグノーズ捜索のための人員としてヘレンゼールも来ていた
カグノーズの顔も知っているし、なぜかヘレンゼールはカグノーズに気に入られているらしい。
曰く、危険な香りがする男とヘレンゼールはカグノーズに呼ばれていた。
そんなみんなで移動中。
大所帯ではなく、いつものメンバーである。
「開発……というか調査みたいなことをしてるんだな」
コルモー大森林で新種ということはいいのだけど、禁猟地となっているはずのコルモー大森林に入っている人がいるのかという疑問があった。
そこでソコイにちょっとばかり調べてもらった。
どうにも今はコルモー大森林にも人が入っているようだ。
密猟者の一件で、色々と踏み荒らされることになった。
スイロウ族は魔物を狩ったり、植物を採取してコルモー大森林の維持管理に寄与しているが、自然環境の専門家ではない。
ジケたちのおかげでスイロウ族の警戒心も多少下がったし、コルモー大森林の環境調査が現在行われているようだった。
カグノーズに手紙をくれた相手は学者で、調査に同行している人である。
「大森林は広いしな」
ここまでコルモー大森林にはほとんど不可侵のような状態だった。
しかし流石に放置もできなくなってきたのだろう。
「もしかしたら獣人のこともあるのかもな」
北方の獣人たちとの関係も改善した。
国となった獣人たちとの交流も始まっていて、少しずつではあるが獣人に対する意識も変えようと努力している。
スイロウ族も獣人である。
そのルーツは北方の獣人たちと同じなのだ。
かなり昔に北方から出てきた一族らしく、何かが違っていたらスイロウ族もまだ北方にいた可能性もある。
獣人と交流を持ち始めたからスイロウ族とも関係を深めよう、そんな意図もあるのかもしれない。
「ちゃんと水源地には入らないようにしてるのか」
カメのことも心配だったが、そこらへんにはちゃんと近づかないように調査を進めている。
「今のところ……怪しいものはないな」
ソコイからもらった資料に目を通してみたが、カグノーズがトラブルに巻き込まれるようなことはなさそう。
「なーにあったんだろな……」
ソコイの情報にもカグノーズの名前は出てこない。
何があったのか、行ってみなければ分からない。
「楽に終わるといいけど……」
「ジケが関わると大体複雑になるからね」
「俺のせいか?」
「かもしれないね」
確かに関わらない方が実はあっさり解決しちゃったりするのかもしれない。
エニに指摘されてジケもそんなことをうっすら思ったのだった。




