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【祝四周年】スライムは最強たる可能性を秘めている~2回目の人生、ちゃんとスライムと向き合います~  作者: 犬型大
第二十一章

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商売人ジケ3

「お前ら何者だ?」


「遺跡は今調査中だ」


「どうして中に入っちゃダメなんですか?」


 馬車に乗って遺跡までやってきた。

 遺跡の入り口近くにはまた冒険者がたむろっていた。


 馬車で来たジケたちに冒険者が近づいてきて、遺跡に行かないようにと止めてきた。


「中はそんなに広くない。一気に色んな人がいくとむしろ行動の邪魔になってしまう」


「なるほど……」


 これが邪魔してくるって正体なのかとジケは理解した。

 ただ聞いていた話より筋は通ってるなと感じた。


 人がたくさんいれば安全だろうが、狭いところを我先にと人が押し寄せると邪魔になる。

 だからあまり人が入りすぎないように制限しているのだ、と言われれば一定程度の理解もできる話だった。


 先に来ていた冒険者が順番待ちをしている。

 その結果後からきた冒険者が後回しになって入れない。


 それぞれから見たら、それぞれの理由がある。

 一応どちらの言い分にも納得できるところがあるのだなとジケは思う。


「遺跡に入りたいならキャンプで待ってくれ。ここにいる連中も次に入るのを待ってるんだ」


「ほぉー、何だかちょっと印象は違うね」


 キャンプで聞いた話では町の冒険者たちが無理矢理遺跡を独占しているかのようだった。

 しかし実際は遺跡の状態を見て、適切に探索が行えるようにルールを自分たちなりに定めているのが本当だった。


 それがちゃんと伝わらず、軋轢が生まれているみたいだ。


「遺跡に入りに来たんじゃないんです。人を探していて、ここに来たんです」


 一方だけの話を聞いていたのでは分からないことが分かった。

 ただし、今のジケたちは遺跡に入りに来たのではない。


 サンモーウを探しに来たのだ。


「人?」


「ええ、ここにサンモーウという方はいらっしゃいませんか?」


「サンモーウ……俺は知らないな。お前は聞いたことがあるか?」


「ああ、知ってるぞ」


「本当ですか?」


 ここに来てようやくサンモーウという名前をちゃんと知っている人に出会うことができた。


「夫婦で冒険者やってる奴の旦那の方だな。…………ここにはいないから遺跡の中だろうな」


 遺跡の入り口横にいる冒険者をたちを確認して、男は親指で遺跡を指し示した。


「中か……」


 ジケは少し落胆する。

 外にいてくれれば話は楽だったのに、遺跡の中にいるというのならちょっとまためんどくさい。


「どんな人ですか?」


「サンモーウが? 性格の話か、それとも見た目か?」


「両方聞ければ」


 ここまでサンモーウについて何も分からずにきた。

 遺跡から出てきても何も分からないんじゃ本当にサンモーウなのか確かめようもない。


「サンモーウは確か……三十過ぎたぐらいか。割と身なりは小綺麗にしてる。いつも夫婦で活動するからあまり他のやつとは組まないんだ。悪いやつじゃないんだが……奥さんが一筋でな」


 キャンプと違って、遺跡近くにいる人たちはまだ心に余裕がありそう。

 特にピリついた雰囲気もなく、サンモーウのことを教えてくれる。


「まっ、年相応の爽やかなやつだよ。性格も良いが、奥さんといちゃつきたいのか、あまり飲んだりってことはないな。三年ぐらい前にここに来たばかりだからな」


「奥さんはどんな人なんですか?」


 夫婦となるとサンモーウだけ引き連れて行くわけにはいかない。

 こうなったら夫婦で来てもらう必要がある。


 サンモーウの奥さんについても知る必要が出てきた。


「強い女だよ。サンモーウは完全に尻に敷かれてる。ただそれで上手くいってんだからいいんだろうな。長い赤毛を一つの三つ編みにまとめてて、そばかすはあるが顔立ちの綺麗な人だな」


「ふむふむ……」


 知りたかった情報が一気に集まった。

 サンモーウは働き盛りの冒険者で夫婦で活動している。


 奥さんの方が立場的に強いなら、どうにか奥さんの方を説得してサンモーウを引き込みたいところである。


「冒険者としては……まあ、それなりだ」


 言葉を濁す言い方をする。

 同業者である以上、手放しで褒められないところはあるのかもしれないが、言いにくそうな態度を見るに優秀というわけではなさそうだった。


 当人たちが自分の実力をどう評価しているかは知らないが、そこそこの腕前だと自覚しているなら誘える可能性は少し高くなるかもしれない。

 三十前後なら何となく自分の実力も分かってきて、これからのことを考え始める。


 もっと歳を取っても冒険者としてやっていけるのか、あるいは体が無事なうちにどこかで辞めて次を探すのか。

 冒険者はリスクの高い仕事なので、常に辞めて安定した職を探すという選択がチラつくものである。


「どれぐらいで戻るか分かりますか?」


 スカウトできそうな希望は見えた。

 ただそれも本人がいてこそだ。


 つまりはちゃんと遺跡から無事に戻ってきてくれなきゃいけないのである。


「さあな、どれぐらいで出てくるかは分からないな。早いやつは一日で出てくることもあったが、やる気のあるやつは荷物持ち込んでもう三日になるな」


「三日……」


 遺跡が一日で探索できるなら今頃全てが終わっている。

 そう簡単には探索しきれないことは分かりきっていることだ。


「出てきた人はどうするんですか?」


「見ろよ、ここにも入りたくてウズウズしてる連中がいる。もう一度入りたいなら列の後ろに並ぶことだ。それならキャンプに戻るか、一度町まで帰ることだろうぜ」


「そうですか……」


 なかなか難しい問題だ、とジケはため息を漏らしてしまう。

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