〜第1章2部"少年領主と新たな友"〜 その頃ハーバーは②
一日以上空けたくないと言ってこの始末←
これからも頑張るのでよろしくです(-.-;)y-~~~
…………本当にご迷惑をお掛けしました。
「そんなに褒めてくれると恥ずかしいっすよ〜」
そんな感じで楽しく仲を深め合っていた時、素で忘れかけていた大事な事をハーバーは思い出した。
(あっ!?バルディについて聞かないといけないっすね……)
最初は仲を深めてから聞こうとしていたのだが、割と喋るのと仕事に熱中してしまい、頭から無くなりかけていたのだ。
すんでのところで何とか思い出したハーバーは、すぐに親しくなった一人にさりげなく聞いた。
「そういや……ここにシゲン様が来る前まで代行をしていた"バルディ"さんはどんな感じだったんすか?挨拶だけしたんすけどいまいち分かんなくて」
その問いかけに、彼は隠す事なくすんなりと答えた。
「ああ、バルディ殿についてですか。あの方は見た目はあんな感じですけど、私たちヴェリトルの文官の中で最も優れた、そして民を重んじる方ですね。先代の領主様が最も頼りにしていた方でもありましたから」
「えっ?そんな凄い人だったんすか?」
「はい、見た目は……まぁ、見たままのあの姿ですが。彼は元々先代が気紛れで、貧民街で盗みを働いていたバルディ殿を気に入って、拾って使用人に取り立てたのが始まりなんです」
語られるヴァルディの逸話に驚いているハーバーを横目に、相手の男は笑いながら続ける。
「勿論、始めはスラッとした体型でしたよ?先代がお忍びで視察として街に出た際、バルディ殿が領主だと気付かず、ただ単に金を持っていると思って近づいて、隠れていた護衛にまんまと捕まったんです。その時、その場で罰しても良いものを、何を思ったのか許し使用人として働かせ始めたんです」
更に別の者達も仕事の手を止め、昔を思い出しながら話しへ交じり続けた。
「始めはバルディも警戒してたんだが、屋敷で美味いもんを食わせてもらったら、一瞬で警戒を解いたって聞いたもんだ」
「先代は、其れを使用人として雇ったのに仕事を一切与えなかった。ただ息子の様に甘やかして、いつも一緒に飯を食っていたんだが、流石に申し訳なくなったのか「使用人として雇わせてもらっているのに、何も仕事しないでいるなんて可笑しいです。何か、自分にもやらせて下さい」って、直談判して無理矢理仕事を分捕ったのが始まりだな」
「その時点で色々食わせてもらっているのに、先代がずっと何もやらせようとしなかったからぷよぷよしてきたからな〜、良く自分から言ったもんだよ……まあ、今の体型に結局なったが」
男達は、どんどん話を膨らませて昔を懐かしんでいた。
「偶々人手が足らなくて、政務の手伝いをしてもらうことになって、取り敢えず簡単なもん預けたら一瞬で終わったもんだから、試しにドンと二倍以上やらせて一緒に終わらせたのは懐かしいなぁ」
「あ〜そんな事もありましたわ。終わらせたと報告した時のあの先代の驚きようは、今でも思い出しますな」
そう和気藹々とおしゃべりを楽しんでいる彼らに、ハーバーは仕事の手を止めるんじゃねえと思った言葉を飲み込みながらも、ふと疑問に思った事を聞いた。
「ん〜、先輩方はバルディさんに不満は無かったんすか?聞いてる様だと先代さんが拾って育てたらしいっすけど、庶民がここまで優遇されるなんてどっかから非難される格好の的っす」
ハーバーが言う通り庶民として、貧民街で盗みをしていた男が、使用人として連れてこられても政治に関わるなど滅多に、殆ど存在しない。
この世界は圧倒的に身分社会であるのだ。支配する者と支配される側に分かれている。スタージェイル帝国からのイザコザで、一時期は独立の為に庶民も位をあげる立身出世が可能だったものの、あれから幾年もの歳月が経ってしまい、次第に再び格差は人の運命を決めてしまう様になったのだ。
それに、文官として働くならば身分のフィルターは大変重要だ。
ただ政務をするだけならまだ良いが、他の人と交流、交渉の際には身分が大事になる。
彼らは自分の仕事に誇りを持っている。まあ栄華な暮らしの為に実際は政務をまともに行わず、不正をしまくる不届き者が多くいるが、彼らの仕事である政務を替わりとして庶民がやる様ならば激怒するだろう。
その仕事は庶民如きが触れて良い物ではないと、思っているのだから。
自分は真面目にやらず、替わりに庶民がやると怒るのは大変嘲笑を禁じ得なく思うものだが、其れを当たり前だと大半は信じているのだから仕方ない。
まあシゲンにハーバーやタクト、ウィング達を始めとした彼らは微塵も思ってはいないが。
それでも庶民が文官筆頭となり、前領主が死んだ際には領主代行として行動する彼に対して、良いところ出の彼らがバルディに対して不満を持つどころか昔を懐かしんでいるなど、困惑しかないのだ。故にどうしても聞きたかった。
そして、残念ながらその答えは聞く事が出来なかった。
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