〜第1章2部"少年領主と新たな友"〜 馬車の中にて
次から本格的に始まります〜
明日は9時にしっかり投稿できる予定です!
――――馬車に揺られて街道を進んでいる時、
何気なしに、ふと車窓から外の景色を眺めてみた。
ちょうど日が昇る頃合いで、昨日は小雨が降ったからか、道行く野原や草木に付いている水滴が朝の陽光を浴びて、キラキラと光ってとても綺麗に見えた。
今世に産まれてからは、ずっと邸宅の中で殆ど過ごしており、外に出たのは五歳になった時に帝都でやったハンブルク三世主催のパーティー以来で、それ以外で出る機会など全くと言っていいほどなかったからかとても新鮮に感じた。
……それに前世の時は、友人と設立した会社を大きくする為に身を粉にする勢いで必死に働いていたから、こんな風に見る機会は無かった。
だから、
「自然って、綺麗なんだな」
と、ポツンとつい声に出してしまうのも仕方ないだろう。
「どうかしたのか?お前らしくない」
一緒の馬車で移動しているからか、小さい声ながらクロノスには気づかれて笑われてしまった。クロノスは、気になったのか俺を押しのけて外の景色を眺めたものの、心底不思議そうに
「こんな景色のなにがいいんだ?ただの景色じゃん」
と、言いやがった。……うん、お前ならそう言うと思ったよ。
尚も不思議そうに外を眺めていた。
そんな中、それまでのんびりとしていたタクトがいきなり自分達の方を向いてきた。
「目的地に着くまでまだ時間が掛かるから、今の内にシゲン様が領主を務める土地について説明しとくっすね〜」
そう言ってドンドン喋り出してきた。自分が良いとは言ったけど、急だな、本当に、、
「これから二年間シゲン様が住む所は"ヴェリトル"と言う小さな町で、その周辺にある村落二十あまりも合わせて統治するっす」
そう言うといきなり指を一本前に出した。
「このヴェリトル及び周辺の土地は、シュバルツ家に長年仕える爺さんが良く統治してたっすけど、一月ほど前にぽっくりと病死しちゃって。うちらが行くまでは領主代行として、爺さんの次席に位置する人が統治していたっす」
それを聞いて、何故自分がその土地で領主をするのか理由がわかった。
「ちょうど良く空いた土地が出来たからそこで学ばせる事にしたんでしょう?聞いた通りにその爺さんが長年良く治めていたって事なら、亡くなってまだそんなに時間が経ってないから不安定かもしれないけど」
そう言うと、ハーバーはケラケラ笑った。
「そうっすよ。まあどのみち一度領主としての力量を試す必要があったんで、たまたま此処になっただけっす。まあ、自分が一緒に派遣される事は本当は無かったんすけど」
「どういうことですか?」
はあ?ハーバーは一緒に来る事は無かっただって?確かに大公爵家でも一二を争う内政官だとタクトから聞いていたからついてくるって、父さんから聞いた時は不思議に思ったけど。
すると、タクトは自分の耳元にコッソリと口を近づけた。
「実はここだけの話、、というか当主から言っても良いって言われてるんで話をするっすけど、その爺さんの領主代行をしている男に黒い噂があるんすよ。なんでも代行をしてから税の取り立てを無理矢理行って、大公爵家に納める量を増やしてご機嫌を取ろうとしてるだとか」
「それは本当ですか?」
いきなりの話に驚きながらも質問する。
「実際納められる税が増えたのは間違いないっす。でもそれで気に入れられようとした動きはないっすのでその検証に来たんす。まあ、それは表向きの話しで……」
うん?表向きだと?
そう話すと、いきなり姿勢を整えて自分に向き直って、普段の飄々とした態度が嘘のようになった。
そして彼は言った。
「この私、"ハーバー・トライライト"は、これよりシゲン・シュバルツ様にお仕え致します」
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