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【シリアス】社会不適合者の卵
【お題:灰色、小学校 テーマ:価値観 文字数:500字】
学校で一番苦手な科目は? と聞かれたら、たぶん僕は道徳と答える。
『ありがとう』は温かいとか、思いやりの気持ちは美しいとか、ズルで自分だけ得するのは悪だとか。
全員が同じ善悪の基準を教え込まれる授業。
気持ち悪かった。まるで集団行動に適合させるためだけの教育みたいで。
他の科目だってそうだ。
国語は作者の主張の押しつけだし。
算数と理科は決まった解答しか認めてくれないし。
社会なんて矛盾しすぎ。戦争はダメとか言いながら、どうして戦国時代は肯定的なんだ。
結局どの科目も、大人が決めた価値観を教わって、大人が決めた基準で採点されるのは変わらない。
そして今日、ついにキモチワルサが限界になって。
二時間目の道徳の時間……僕は仮病を使った。
「ハルって絵じょうずだよね」
ベッドの上で絵を描いていたら、保健室の先生が僕のノートを覗き込んできた。
だけど少し残念そうな顔。……何が言いたいのか、もう想像がついた。
「でも全体的に灰色ね。もったいないよ」
「……なんで?」
「だって明るい色のほうが綺麗じゃない」
知ってる。暗い灰色は『よくない』色なんでしょ。
図工の先生にも同じ事言われた。僕はこの色好きなのに。
……やっぱり苦手だな、学校。




